帰宅した時に犬が喜びすぎるのは問題です
毎日仕事から帰宅すると、愛犬が大喜びで玄関に迎えに来てくれて大はしゃぎ。「ただいま、お留守番できてお利口だったね!」と抱きしめると愛犬は益々興奮して飼い主さんの顔をなめ、嬉しさのあまりおしっこをしてしまう。
こんなこと、ありませんか。もし、あなたのご家庭の光景がこのような状況に似ていたら、それはかなりの問題をはらんでいる可能性があります。
飼い主が帰宅すると毎回大喜びする犬の心理
1.喜びはマイナスの裏返し
平常心をゼロと考えた場合、飼い主さんの帰宅時に大喜びする愛犬の気持ちは、プラスの方向に突出しているといえます。ずっと平常心を維持していた場合、嬉しさのあまりおしっこをしてしまうほど興奮してしまうことはありえません。
留守番中に、愛犬の気持ちがマイナスの方向に突出していたため、飼い主さんの帰宅で一気に気持ちがプラスの方に振れたのだと考えられます。
では、留守番中や飼い主さんが帰宅した時の、愛犬の気持ちについて考えてみましょう。
2.留守中の不安
幼稚園児だった頃、親がどこに何をしに行ったのかを知っていても、ほんの短い時間の留守番中に、強烈な不安を感じて泣き出してしまったという経験はありませんか。
愛犬が飼い主さんに依存している場合、飼い主さんの姿が見えなくなることで、犬も不安を感じると考えられています。幼稚園児のように、飼い主さんへの依存度が高ければ高いほど、その不安は大きくなると考えられます。
3.留守中の恐怖
飼い主さんのご家庭に迎えられる前に、保護施設で複数の人に世話をされていたとか遺棄された経験がある犬や、留守番中に大きな地震や大きな物音などの怖い経験をしたことがある犬の場合は、その経験がトラウマとなり、より大きな不安や恐怖を感じていると考えられます。
4.飼い主の反応に煽られてさらに興奮
飼い主さんの帰宅を喜んでいる時に、飼い主さんからさらに「お留守番、偉かったね!」などと声を掛けられ、なでたり抱きしめられたりすることで気持ちが煽られてしまい、さらに愛犬の興奮度を増してしまうということもあります。
こんな行動も見られる場合は「分離不安症」かも
飼い主さんの帰宅時に愛犬が玄関まで出迎えに来てくれるのは、微笑ましい光景です。しかし、それが前述のようにあまりにも激しく興奮する場合は、もしかすると分離不安症かもしれません。
分離不安症とは、飼い主さんと離れてしまう不安が原因で、精神的・肉体的な不調をきたしてさまざまな問題行動を起こしてしまう精神疾患です。
飼い主さんの帰宅時に大喜びする以外にも以下に示すような行動が見られる場合は、分離不安症が疑われます。少し愛犬との距離感を見直した方が良いかもしれません。
- 飼い主さんがいる時は、いつも飼い主さんの後ろをついて歩く
- 飼い主の姿が見えないとパニックになる
- 飼い主さんが外出しようとすると鳴き続ける
- 留守中に問題行動を起こしている
留守中の問題行動にはさまざまありますが、主な問題行動を挙げると下記になります。
- 長時間鳴き続ける(吠える、クンクンと鳴く、遠吠え等)
- トイレ以外の場所で排泄をする
- 破壊行動(物を噛む、掘る、ひっかく等)
- 毛が薄くなり皮膚が炎症を起こすほど同じ場所を毛づくろいする
他にも、下痢や嘔吐、食欲不振などの症状を表す犬もいます。
分離不安症を疑える場合の注意ポイント
外出前の行動
愛犬を興奮させないよう、気づかれずに外出することが望ましいです。そのため、外出の準備は愛犬に気付かれないようにします。特に、出かける前の10分程度はなるべく愛犬との接触を避けましょう。
市販の知育玩具の中に愛犬が好きなフードを隠したものを複数用意し、愛犬がそれに夢中になっている間に出かけるといった工夫をしてみましょう。
帰宅後の行動
帰宅後も、10分程度はなるべく愛犬との接触を避けて、刺激しないようにします。特に「お留守番できて偉かったね!」などと声を掛け、なでたり抱きしめたりすると、愛犬の興奮度を増幅させるので厳禁です。
愛犬が落ち着いた後に「オスワリ」などの指示を出し、上手にできたら褒めてあげるといった接し方を考えましょう。愛犬を興奮させることは、ストレスを与えることだと考えましょう。
まとめ
分離不安症は犬の精神疾患です。特に一人暮らしの飼い主さんと愛犬といった1対1の関係の場合は、お互いの依存度が高くなって分離不安症を招きやすいと考えられています。愛犬とは適度な距離感を保つことが、愛犬の精神安定のためにも大切です。
愛犬の症状が重い場合は、動物病院やプロのドッグトレーナーに相談するとよいでしょう。
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20代 男性 匿名