犬は『人の死』を理解しているのか
今回は、犬が『人の死』を理解しているのかどうかについて、現段階でわかっていることを解説していきます。
よくネットニュースやSNSなどで、飼い主が亡くなった犬のエッセイや漫画などを目にします。どの体験談も、犬がまるで飼い主の死を理解しているかのように描かれていることがほとんどです。
例えば、飼い主が亡くなってしまった後、その人の飼い犬が途端に元気がなくなってしまったり、あるいは後を追うようにして亡くなってしまったりといった話をよく見かけます。
このような体験談を見ると、「やっぱり犬は飼い主が死んでしまったことを理解しているんだ」と思います。では、本当に犬は人の死を理解しているのでしょうか。
犬には『死』という概念はない
『死』という概念があるのは、人間だけだと言われていることをご存じでしょうか。現段階で、犬が『死』を理解しているかどうかは判明していないため、犬にはそもそも『死』という概念はないという考えが一般的です。
人間は命が尽きると「死んでしまった」「もう会えない」「悲しい」と考えることが多いですが、犬は人や他の犬の命が尽きたことで「もう会えない」「死んでしまった」と認識することはないと言われています。
飼い主の死で犬の元気がなくなるのはどうして?
しかし、先ほどお話ししたように、ネットニュースやテレビ番組などで、飼い主が亡くなったことをまるで理解しているかのように、飼い主が亡くなった直後、途端に元気がなくなり衰弱し始めた…という犬の話はよく見かけます。
前述した通り、犬には『死』という概念がないため、「飼い主さんが死んだから悲しい」という理由から元気がなくなったとは、現段階では考えられません。
では、飼い主の死で犬の元気がなくなるのは、どうしてなのでしょうか。最も有力な説として、飼い主の死に対して寂しい思いを抱いているのではなく、飼い主が自分の前から姿を消してしまったことに対して悲しみを感じているのではという説があります。
犬は「飼い主が死んでしまった」ということを理解していないからこそ、なぜ突然飼い主がいなくなってしまったのか、遊べないのかが理解できず、不安や恐怖、寂しさに襲われるのです。
こうした状況が強いストレス要因となり、食欲がなくなったり、元気に遊ぶ気力が無くなったり、最悪の場合、ストレスによって心身のバランスを崩し、体調不良や自傷行為、衰弱死といった結末を迎える犬がいるのだと考えられています。
犬は『人の死』を予見できるという話は本当?
たまに、「愛犬が家族のことを異様に気にするような素振りを見せ、違和感を感じていたら、その後に家族が亡くなってしまった」など、犬が『人の死』を予見できるのではと思わずにはいられないような話が語られることもあります。
しかし、人の死を予見するという話は、非科学的である上、犬には『死』という概念がないため、「もうすぐこの人が死んでしまう」と予見できているとは考えられません。したがって、現段階では、犬は人の死を予見できないと結論づけられます。
ただし近年、犬は嗅覚を使い、人の体にがん細胞があることを見抜く能力があるなど、医学的な研究は大きく前進しています。
実際、訓練された犬を使ってがんが発症しているか否かを特定する活動や、犬が普段とは違った反応を見せることで検査に行ったら、がんが見つかったというような話は、すでに世界中で知られています。
この事実から考えると、犬はその人が病気を患っていることを臭いから察し、それに気付かず病気が進行してしまったために、「予見していたのでは?」という話に繋がっているのではとも考えられます。
まとめ
今回は、犬が『人の死』を理解しているのかどうかについて解説しました。現段階では、犬は『人の死』を理解していないと考えられています。
しかし、飼い主が姿を見せなくなったことに悲しみ、ストレスから体調不良に陥ることは多くあります。『死』という概念はないものの、環境の変化を敏感に察知していると考えられるでしょう。
ユーザーのコメント
20代 男性 匿名