賢さの表し方
人間の場合は知能テストなどでIQをはかることができますが、ほかの動物たちにはテストを行うことはできません。そのために動物たちの知能は「脳化指数」という数値を使って推測します。
脳化指数
脳化指数とは体重相応の脳の大きさに比べて、どの程度大きな脳を持っているかを比較するための数値となり、脳の重量を体重2/3乗した数で割った値を利用します。例外的なものもあるようですが、一般的には体重に比較して大きい・重い脳を持っている動物の知能が高いと考えられています。
この脳化指数を動物別にみてみましょう。人間の場合、多少の差はありますが脳の重さは1.2キログラム~1.4キログラムです。体重に対して脳の重量が占める割合が多く、脳化指数は7.5~8.5程度です。イルカの脳化指数は5.3程度、チンパンジーでは2.3程度、クジラにいたっては1.8程度と言われています。
ここでイヌの脳化指数をみてみると、0.5(資料によっては1.4などとも)と言われていますね。ネコが1.0、ウシやブタが0.5前後というデータを見ると、イヌの知能がそれなりに高いということがわかります。
面白いことに、スズメやハトの脳化指数が1.0程度なのに対し、カラスが1.3~1.4程度ということです。一般的な犬よりカラスの方が「賢い」ということになります。確かにカラスは人の顔も覚えますし、道具を使って餌をとることもできるので知能の高さという点では納得です。
脳化指数と知能レベル
脳化指数の8をヒトの大人程度の知能レベルと考えると、5.3程度の脳化指数を持つイルカは6~7歳レベルといわれています。小学1年生くらいでしょうか。これならヒトの言葉を理解して指示に従ったり、人間と遊んだりするのも十分可能ですね。
また脳化指数が1.4のカラスの場合、知能レベルはイルカよりちょっと低い3~4歳といえるようです。脳化指数がカラスよりほんの少し低いイヌは、未就園児の2~3歳程度といえるでしょう。人間でも、ちゃんと話して聞かせれば大人の言うことを理解してくれる年齢ですね。
犬種による賢さの違い
犬の場合、犬種による体格差が大きく用途によって品種改良を進められているため、犬種によって訓練性能が違います。これを賢さの違いと一概に言えるものではありません。しかし、しつけのしやすさや訓練性能が高い個体が多い犬種というのは確かに存在しています。
優劣をつけるわけではないのですが、しつけのしやすさや多様な遊びが可能かどうかなどを中心に、いくつか「賢い犬種」を挙げてみましょう。
ボーダーコリー
イギリスの牧羊犬として生み出された犬種で、一説には全犬種の中で一番知能が高いと言われたりもしています。200種類程度の人間の言葉を聞き分け、理解して行動をすることができます。
言葉以外にも表情や声音などを判別する能力にも長けており、自立心も旺盛なタイプなのでしっかりした信頼関係を築けないと勝手気ままに行動してしまうので、飼育の際は注意が必要です。フライングディスクやスポーツドッグなど、有り余るエネルギーを発散できる環境ですと無類の強さを誇ります。
プードル
フランスで改良された犬で、大きさによって名前が少しずつ違います。大きい方からスタンダードプードル、ミディアムプードル、ミニチュアプードル、トイプードルに分けられます。
特にスタンダードプードルは体も大きく、警察犬や盲導犬などのお仕事もこなせる賢い子です。しかし、こちらもボーダーコリー同様、自立心も旺盛なのでしつけを行う際にしっかりと信頼関係を築いていかないといたずらも派手になる傾向があります。定期的な被毛のカット(トリミング)が必要ですが、抜け毛も少なく室内犬にするには最適です。
ジャーマン・シェパード・ドッグ
ドイツで生まれたこちらの犬種は、日本でも警察犬などで大活躍しているので、その賢さをご存知の方も多いのではないでしょうか。とてもメンタルが強く、学習能力も高いシェパードですが、体が大きく力もあるので飼育には少し工夫が必要です。
強面なイメージもありますが、意外と甘えん坊で遊び好きな一面もあり、小さなお子さんのいる家では頼りになること間違いなしです。
ゴールデンレトリバー
イギリスで生まれた猟犬です。知能が高いのはもちろんですが、何より人間と一緒にいることが大好きなので、ボーダーコリーやプードルに比べて甘ったれな一面を持つ犬種です。
しつけのコマンドをすぐ覚えて、常に人と一緒に遊ぼうとします。人を喜ばせることが大好きで、いたずらも好きですが叱られることにめげないタイプも多いため、しつけの際は「叱る」より「ほめる」を繰り返す方が身につくでしょう。
まとめ
犬や動物の知能は人間でいうところの幼稚園児や未就園児程度です。しかし、これは何もしなくても発揮される能力ではありません。経験や学習を繰り返すことで身につくことも多く、中でも犬の学習能力は相当高いと言われています。
また犬種によって多少の差もありますが、潜在的な能力は十分あるといえるので、愛情をもって信頼関係を築けていければどんな犬たちも飼い主さんに応えてくれるでしょう。