犬に大根を食べさせても大丈夫!
「医者が奨める冬野菜NO.1」といわれる大根は、インフルエンザや風邪、胃腸の痛みなどを解消してくれる、冬には欠かせない野菜です。そして、その成分は犬に対しても健康効果をもたらしてくれます。
ここでは、大根がもたらしてくれる健康効果と、それを有効に取り入れる方法をお伝えします。
根っこは消化を助け血液をサラサラにする
昔から「大根どきに医者いらず」といわれるほど、大根には高い健康効果が期待できます。大根の白い部分に含まれる豊富な栄養素は、犬の健康にもよい成分ばかりです。
まず、大根の辛み成分の素となるイソチオシアネートには殺菌作用や血栓予防の効果があり、強い解毒作用と抗酸化作用によるガン予防効果も注目されています。
また、消化酵素のジアスターゼは胃腸の調子を整える効果があるので、老犬に与えることで衰えた消化器官をサポートしてくれるでしょう。
オキシターゼは魚の焦げ目などに含まれる発がん性物質を解毒する作用があるといわれています。
大根葉は立派な緑黄色野菜
大根の葉にも大事な栄養素が含まれていますので、捨てずに活用しましょう。
葉に含まれるβカロテンは強い抗酸化作用を持つ栄養素で、体内でビタミンAに換わると皮膚や粘膜を保護したり、免疫機能を正常に保ったりする効果があります。
抗酸化作用のあるビタミンC、高血圧を予防するカリウム、貧血を予防する鉄分が含まれていることなどから、大根の葉は立派な緑黄色野菜だといえるでしょう。
白い根っこの部分ばかりに注目が集まりがちな大根ですが、その葉にも愛犬の健康維持に効果的な栄養素が詰まっているのです。
水分補給に最適
大根の90%以上は水分からできています。そのため、水をあまり飲んでくれない犬の水分補給に最適です。
暑い夏の時期はもちろんのこと、冬場も空気が乾燥して水分が不足しがちになります。旬を迎えてみずみずしく実った大根をおやつとして与えたり、普段の食事に追加したりしてみましょう。
水分補給だけでなく、食感の変化が愛犬の食欲アップにも効果をもたらしてくれるかもしれません。
犬が1日に食べてもいい大根の量
いくら大根が健康によいからといって、与える量が多ければいいわけではありません。与えすぎるとミネラルの過剰摂取により体調を崩したり、食物繊維を消化しきれず下痢を引き起こしたりするため危険です。
特に1歳未満の子犬は消化器官が未発達なので、与える量はほんのひとかけらにとどめましょう。体力のない子犬が嘔吐・下痢で脱水症状を起こすと、命に関わる可能性もあるのです。
犬に与えてよい大根の量は、体重に比例して増えていきます。犬の体重ごとに目安となる摂取量について、以下で紹介するので、実際に愛犬に与える場合は参考にしつつ、様子を見ながら少しずつ与えるようにしてみましょう。
〈超小型犬の場合(3kgまで)〉
超小型犬の場合、一日の摂取量の目安は25g程度までにとどめましょう。直径7㎝厚さ1.5㎝の輪切り大根1枚の半分が目安です。
〈小型犬の場合(10kg程度)〉
10kg程度まで小型犬の場合は63gまで。これは先ほどの輪切り大根1枚と3分の1程度の量です。体重が5kg程度なら32g、輪切り大根3分の2枚程度にとどめましょう。
〈中型犬の場合(20kg程度)〉
体重20kgくらいの中型犬なら105g程度が適量です。輪切り2枚プラスひとかけら分が目安となります。体重15kgであれば85g程度が適量でしょう。
〈大型犬の場合(30kg以上)〉
体重30kgほどの大型犬の場合、一日の摂取量の目安は140g程度です。輪切り大根に換算すると2枚プラス4分の3枚くらいが目安。体重が40kgになると178gが目安で、これは輪切り大根3枚半程度です。
犬におすすめの大根の与え方
大根は栄養価の高い野菜なので、できればその栄養を逃さず愛犬に与えたいと思うでしょう。根と葉では含まれる栄養素が違うため、効率よく吸収できる調理方法も違います。
ここでは、愛犬の食事に大根を取り入れる際の調理方法や、おいしく食べるためのちょっとした工夫をお伝えします。
皮をむいて小さく刻んだり大根おろしにする
大根おろしは大根の栄養素を上手に摂取する最もよい方法でしょう。
大根の辛み成分の素となるイソチオシアネートは、細かく切ったりすりおろしたりすることで酵素と混じって生成されます。胃腸の調子を整えてくれるジアスターゼは熱に弱いため、生で摂取すると効果的です。
大根おろしにして、もしくは細かく刻んでフードに混ぜるなど、生のままを与えることで効率よく栄養素を吸収することができます。
大根の葉は生のままでは消化しにくいため茹でる
反対に、葉を食べる際には熱を加えた方がよいでしょう。大根の葉は意外と硬く、生のままだと消化不良を起こしてしまいます。
ビタミンCは熱を加えると壊れてしまいますが、βカロテンや鉄分は加熱しても変化することがないため、茹でて食べても十分に摂取できます。βカロテンは脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂るとより効果的です。
大根の葉は細かく刻み、茹でてから与えましょう。茹でた葉にオリーブオイルなどを少量混ぜるのもおすすめです。
犬が食べやすい辛味の少ない部位を選んで与える
多くの犬は生の大根の強い辛味を苦手とします。大根の根の部分は、先端に行くほどイソチオシアネートの濃度が上がり、辛味が強くなります。
大根おろしを作る際、先端部分を使うと人間でも辛くて食べられないことがあるでしょう。特に生の大根を犬に与える際には、辛味の少ない葉に近い部分を選んで与えてください。
犬に大根を与える時の注意点
栄養価が高くうれしい健康効果を期待できる大根ですが、犬に与えるときはいくつか注意が必要です。
与えるときは1日の摂取カロリーの10%以内にとどめ、ドッグフードの栄養バランスを崩さないようにしましょう。そのほか、与える際の注意点や与えない方がよい場合についてもお伝えします。
人用に味つけして調理・加工した大根は避ける
人間用に味つけされた大根は、犬に与えないようにしましょう。おでんや漬物の大根は人間にとっては味が染みこんでおいしい調理方法ですが、犬には塩分が多過ぎるため、腎臓に負担をかけてしまいます。
また、刺身のつまは生の大根を細かく刻んだものなので、成分としては問題ありません。しかし、上に乗っている刺身の種類によっては、中毒症状を起こす危険性があります。
スーパーなどで長時間置かれて雑菌が繁殖している可能性もあるため、与えるべきではありません。
食後にアレルギー反応や消化不良が起きないか見る
大根に対してアレルギー反応を起こす犬もいます。初めて大根を与える場合は、まずは少量食べさせてみて、食後にアレルギー反応が出ないか確認してください。
大根にアレルギーを持っている場合、嘔吐や下痢、または皮膚のかゆみなどの症状が出ます。アレルギー反応が見られた場合は大根を与えるのをやめましょう。
また、アレルギー反応以外でも嘔吐下痢が見られる場合があります。イソチオシアネートは、摂りすぎると胃腸を刺激して消化不良を引き起こしてしまうのです。
最初は少量与え、食べた後の様子を注意深く観察しながら少しずつ与えてください。
甲状腺に持病がある場合は与えるのを控える
大根を含むアブラナ科の野菜には、ゴイトロゲンという成分が含まれています。ゴイトロゲンはヨウ素の取り込みを阻害して甲状腺ホルモンの分泌を妨げ、甲状腺腫を引き起こします。
健康体の犬であれば問題ありませんが、甲状腺機能の治療をしている場合は大根を与えないようにしましょう。
尿路結石ができやすい場合は大根葉に注意する
大根の葉には、結石の原因になるシュウ酸が含まれています。
ただし、シュウ酸を多く含むことで知られるほうれん草の17分の1、ブロッコリーの7分の1程度の量なので健康な犬であれば気にするほどの量ではないでしょう。また、シュウ酸は熱に弱いため、茹でて洗い流すこともできます。
しかし、体質や遺伝により結石ができやすい犬もいます。一度でも結石ができたことのある犬には、大根の葉は与えないようにしてください。
まとめ
「大根どきの医者いらず」。犬の場合も同じことがいえるでしょう。大根はその根っこだけでなく、捨ててしまいがちな葉の部分にも栄養が詰まっています。
根には殺菌成分や抗がん作用も期待されるイソチオシアネート、消化吸収を助けるジアスターゼやオキシターゼなどが含まれていて栄養豊富です。
大根おろしにして生で与えればイソチオシアネートが活性化し、熱に弱い消化酵素も効果的に摂ることができます。また、葉にはβカロテンやカリウムが多く含まれ、根にはない豊富なビタミン類も含まれています。
風邪予防や胃腸の調子を整える効果が期待できるので、愛犬の健康に問題がなければ大根をおやつやフードのトッピングとして日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。