「噛む=嫌な味」で物へのいたずら防止
犬がテーブルやイスの脚、クッション、スリッパ、洋服など、家の中にあるものを噛んで困っているという人は少なくありません。特に好奇心旺盛な犬や留守番時間の長い犬、歯の抜けかわりでむずがゆいと感じている子犬などに多く見られますが、とても困ってしまう問題だと思います。
物を噛んでしまうときの対策として「噛まれて困るものは犬が届かない場所に片付けて噛んでいいものだけを出しておく」というもの。
確かにそれができれば理想的ですが、家具などは片付けるわけにもいかず、なかなか犬のためだけに環境を整えるというのは難しいと思います。
そこで、もうひとつの噛み癖対策として「あえて噛ませる」という方法が注目されているのです。このしつけ方法で欠かすことができないアイテムが『苦味スプレー』です。『ビターアップル』という商品が最もメジャーですが、舐めたときに強い苦みを感じる味がついた液体が入っているスプレーです。
噛まれると困るものに吹きかけておいてそのまま自然に放置し、犬にあえて噛ませることで噛んだときに苦い思いをさせるのです。そうすることで噛む=嫌なことがあるということを学び、自ら噛むことをやめるようになるというしつけ方法です。
『ビターアップル』などの苦味スプレーは、犬の体に悪影響のない自然由来成分でできているものばかりなので健康上の心配はありません。いくつかの種類があり、それぞれ味が異なるので愛犬が最も苦手とするものを見つけてみてくださいね。
「噛む=遊んでもらえない」で甘噛み対策
子犬の甘噛みのように人の手や足を噛んでくるときには、噛んだら徹底的に無視するというしつけ方法がおすすめです。おもちゃで引っ張りっこ遊びをしたりして、あえて犬が手を噛んでくるまで待ち、噛まれたらすぐに犬がびっくりするように大きな声で「痛い!!!!!」と言います。その後すぐに犬を無視して立ち上がって背中を向けて無視します。
犬がどんなに「あそぼう!」とアピールしてきても目も合わせず、声もかけず無視してください。そのまま犬を置いて部屋を出て行ってしまっても構いません。1分ほどして犬が落ち着いた頃に何事もなかったように戻り、また遊びを再開します。また遊びの中で犬が噛んできたら同じように無視。それがわざとでもそうでなくても、人の手に歯が当たった時点で無視してください。
遊びの中であえて犬が手を噛んでくるまで待って無視し、「歯が当たったら遊ばない」ということをしっかりと教え込みます。このしつけ方法をするときは必ずこのルールを徹底してください。歯が当たっても遊び続けることもあれば無視されることもあるという対応では、「歯が当たったら遊ばない」というルールを犬が理解できません。遊びを続けたいのであれば犬自身が歯を当てないように気をつけるように学ばせるのです。
犬が噛んでいいものを与えて欲求を満たす
犬に噛まれて困るものや人の手足などは、上記の方法で噛んではいけないことを根気よく教えていく必要があります。そしてそれと同時に「噛んでいいもの」を与えてあげることも大切です。
犬にとって何かを噛むということは本能であり、ごく自然な欲求です。周囲にあるものを噛まれて困るのは人間側の都合であり、その都合に合わせてもらうことになるのです。すべてのものを噛んではいけないことにしてしまうと、犬は本能が満たされず欲求不満になるでしょう。
それが吠えや暴れなど他の問題行動となってあらわれてしまうことがあるので、噛むという欲求もきちんと満たしてあげなければなりません。ロープのおもちゃやコングのような強度のあるシリコンおもちゃをいくつか用意し、犬が思う存分噛めるものを与えてあげましょう。犬にもそれぞれ好きな噛み心地というものがあるので、愛犬の好みのおもちゃを見つけてあげてくださいね。
まとめ
犬の噛み癖のしつけ方法として、あえて噛ませるという考え方があります。あえて噛ませて苦味を感じさせることで「噛む=嫌なことがある」と身を持って経験させたり、あえて噛んでくるまで待って「噛んだら遊ばない」ということを伝えたりするのは、とても効果的だと思います。
犬の噛み癖を直すには「あえて噛ませるといい」ということを断片的に聞いて、ただ噛ませっぱなしにしてしまう人もいるようですが、それでは意味がありません。噛ませっぱなしにしてしまうと良くなるどころか噛み癖が強くなって悪化してしまう可能性が高いと思います。そのため、あえて噛ませる方法で噛み癖のしつけをするのであれば、その方法とルールをしっかり理解して実践するようにしましょう。