犬にきゅうりを与えても大丈夫?メリットや適量、与え方の注意点

犬にきゅうりを与えても大丈夫?メリットや適量、与え方の注意点

夏場に体を冷やしてくれて生でも調理しても食べられるきゅうりは、犬に与えても良い野菜なのでしょうか。犬にきゅうりを与えるメリットや注意点などをまとめました。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬もきゅうりを食べられる!

犬もきゅうりを食べられる

夏場には体を冷やしてくれる効果があり、そのままでも調理しても美味しいきゅうり。そんなきゅうりは、犬にも与えることができます。

きゅうりには栄養が少ないイメージがあり、食べる利点として水分補給しか思いつかない方もいるかもしれませんが、実は少量ながらも様々なビタミンやミネラルも含む夏野菜です。

人はきゅうりを生でそのまま食べたり、ドレッシングやマヨネーズなどの調味料を付けたり、漬物にしたりと豊富なレパートリーを楽しむことができます。しかし、犬にきゅうりを食べさせる際には人とは違う注意点や工夫が必要になることもあります。まず、きゅうりに含まれる栄養素について解説していきます。

豊富な水分量で水分補給に

きゅうりは水分量が豊富で、約95%が水分です。

夏野菜の中でも上位にランクインする水分量を誇るきゅうりは、夏場の暑い散歩から帰ってきて火照った犬の体を冷やすのにうってつけの野菜かもしれません。

散歩から帰ってきて時間が経っても水を飲まないことがあるワンちゃんやもっと水を飲んで欲しい場合に、きゅうりが水分補給の補助として役立つかもしれません。

βカロテンは皮膚や粘膜の健康維持に

きゅうりに含まれるβカロテンは、皮の部分により多く含まれています。犬の体内に取り込まれたβカロテンはそれ自体が抗酸化作用を示す物質であるとともに、「ビタミンA」に変換されて、皮膚や粘膜の健康維持に必要な物質となります。

βカロテンの抗酸化作用は、がんや心臓病の予防、免疫力向上などにも効果があると言われています。

ビタミンKは血液凝固、骨形成に必要

きゅうりに含まれる「ビタミンK」という脂溶性のビタミンは、血液凝固や骨の形成に欠かせません。

健康な犬であれば、ビタミンKは体内で合成され、また栄養基準を満たすフードはそれだけでは足りない分を補うのに充分な量のビタミンKを含んでいます。しかし、病気や体調によっては体内での合成量が減り、摂取するビタミンKを増量したい時もあります。

カリウムの利尿作用

細胞や体が正常に機能するために必要なミネラル成分の1つである「カリウム」には利尿作用があり、体内の水分量を調節してくれます。

ホスホリパーゼの脂肪分解作用

きゅうりに含まれている「ホスホリパーゼ」という酵素は、脂肪を分解する効果があると言われています。

ただ、犬での効果やどの程度食べれば効果があるのかは不明です。しかし、きゅうりは「世界一低カロリーな食材」とギネス記録に登録されるほど低カロリーな野菜ですので、脂肪分解効果が期待できないとしても、きゅうりはダイエット中のわんちゃんのご飯のかさ増しに最適な食材と言えるでしょう。

食物繊維

きゅうりには少量ながら食物繊維が含まれています。腸の動きを活発にしてくれる不溶性食物繊維を多く含むので、水分量が多いことと併せて便秘の改善に役立つかもしれません。

犬が1日に食べてもいいきゅうりの量

犬が1日に食べてもいいきゅうりの量

犬は1日にどれだけの量のきゅうりを食べても大丈夫なのでしょうか?

一般的に売られているきゅうり1本の重さは約100g、1本当たりのカロリーは、約13kcalと野菜の中でもとても低いカロリー量です。体のサイズ別に、下記の量を目安にすると与え過ぎにならないでしょう。

  • 超小型犬 (4kg以下):25g (1/4本)
  • 小型犬 (10kg以下):63g (3/5本)
  • 中型犬 (20kg以下):105g(1本)
  • 大型犬 (25kg以上):120g(1本+1/5本)

年齢や運動量、生活環境などによっても異なりますが、基本的に犬におやつやトッピングとして与えて良い主食以外の食べ物の総量は、主食の10%程度までと言われています。1日に与えている食事のカロリーを把握し、おやつやトッピングの量を加減して与えてあげましょう。

ただし、低カロリーという点ではきゅうりは与えやすい食べ物ですが、水分量が多いこと、漢方の考え方では体を冷やす野菜でもあることから、与えすぎには注意しましょう。

犬におすすめのきゅうりの与え方

犬におすすめのきゅうりの与え方

子犬や老犬に与える場合や、一気食いや丸飲みをしてしまう子の場合など、ひとつずつ確認していきましょう。

食感を楽しむなら「生」のきゅうりがおすすめ

健康で元気な成犬の場合であれば、きゅうりの食感自体を楽しんで食べる子も多いかもしれません。よく洗った生きゅうりのヘタを取ってから与えると、シャキシャキとした食感を楽しめます。

小型犬であれば、きゅうりを半月切りの状態で与え、中型犬や大型犬であれば、きゅうりを棒状に切って与えてもいいかもしれません。

といっても、犬が食感に夢中になって、おねだりされるがままに与えてしまうと食べ過ぎてしまう危険性もあります。きゅうりを食べ過ぎて満腹にならないように注意しましょう。

丸飲みを防ぐため細かくカットして/すりおろして与える

普段ドッグフードを勢いよく食べてしまう子や、大きなものでも一気に丸飲みしてしまうような子であれば、丸飲みして喉で詰まってしまうことなどを防ぐためにも、細かくカットするかすりおろして与えるようにしましょう。

基本的に犬は、食べ物を丸飲みする子が多く、人のようにしっかり噛んで飲み込まないことが多くあります。

ですので、くし型や角切りといった食べやすい形にカットしてから与えると、丸飲みして喉に詰まらせる危険性を減らして安全に与えることができるでしょう。ただ、小さく切ってしまうことによって噛まずに丸飲みしてしまう子もいます。そのような子には、噛まないと食べられないような大きさに切るか、とても細かく切ったりすりおろしたりしてあげた方が良いでしょう。

子犬や老犬には皮の部分がない方が消化に良い

子犬や老犬は、消化器官が未発達だったり衰えていたりするので、かたい皮の部分を取り除いて与えると消化しやすいでしょう。ただ、皮により多く含まれる栄養素もあります。

また噛む力が衰えた老犬には、きゅうりをすりおろしたり、加熱した上で与えたりするのもおすすめです。すりおろしたきゅうりは、よりお腹に負担をかけずに食べられるでしょう。

犬にきゅうりを与える時の注意点

犬にきゅうりを与える時の注意点

腎臓病を患っている犬や、胃腸の弱い犬などは、与える前に獣医師に相談した方が良いでしょう。与える際の他の注意点も紹介します。

漬け物などの加工品や味つけしたきゅうりは避ける

人間が食べるために作られた漬物やきゅうりの加工食品は、犬に与えてはいけません。

漬物は塩分濃度が高い食品ですので、塩分の摂り過ぎや心臓、腎臓などに悪影響を及ぼす可能性もあります。そのため、漬物や味付けされたきゅうりを食卓に並べる際には、愛犬に盗み食いされない様に気をつけてください。

きゅうりへのアレルギー反応

きゅうりはウリ科の野菜の一種ですが、人ではブタクサに対するアレルギーを持っている人がきゅうりに対してもアレルギー反応を起こすことがあるそうです。

このような反応は交差反応と呼ばれ、ブタクサに含まれているアレルギー物質と同じまたは非常によく似た物質を含む野菜や果物を食べた際に起き、口腔アレルギー症候群(花粉-食物アレルギー症候群)の原因となっています。

食べ慣れない物を愛犬に与える際には、最初はほんの少量から試してみて、異変の有無を確かめながら徐々に増やしていくよう心掛けてください。

持病のある犬は獣医師に相談する

持病、特に腎臓病や内分泌系の病気を患っている犬では特に注意が必要です。カリウムを含むきゅうりを与えても問題はないのか?を必ず事前に獣医師に相談をしてください。

腎臓の働きが悪い犬は、カリウムを上手く尿から排出することが出来ず、カリウムを多く摂取すると高カリウム血症を起こしてしまう可能性があります。

まとめ

きゅうりは水分量が多く、低カロリーなので与え過ぎなければ犬が食べても問題のない野菜です。

ただし、水分量が豊富ですので、与え過ぎるとお腹が緩くなって下痢や軟便になってしまったり、きゅうりの水分でお腹がいっぱいになって主食が食べられなくなったりする場合もあります。また、カリウムも含んでいるので、持病のある子には注意が必要です。

きゅうりを食べると、尿路結石になりやすいと言われることもあるようですが、きゅうりに含まれているシュウ酸やカルシウム、マグネシウムは心配するほどの量ではないと考えられます。もちろん、ミネラルを摂り過ぎないためにも与え過ぎてはいけません。

夏場の暑い時期、手軽な水分補給に最適な野菜ですので、おやつ代わりに与えてみるのは良いかもしれませんね。

【参考サイト】

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 ろん

    普段生野菜を与えることが多いです。キャベツ・大根・きゅうりなど・・小さく切ると丸飲みしてしまうため、ある程度の大きさで渡して齧らせています。便の状態を見てもちゃんと消化できるほどに噛めているようです。
    野菜を与えた日・与えなかった日を比べると、おトイレの回数が違いますね。カリウムの影響かなと思います。野菜を出すだけで嬉しそうな顔をするのですが、与えすぎには気をつけたいところです。旬の野菜は栄養も増すので、これからが旬のきゅうりは与える頻度を増やしてもいいかな~と思っています。水分が多いので夏バテ対策にもいいですよね。
    他の飼い主さんはどの程度お野菜を与えているのか気になります。生だったり茹でだったりそれぞれに与え方は違うと思いますが、どのくらいが適量か?いつもうちのわんこの様子を見て考えています。
  • 投稿者

    女性 ぽんぽん

    タイトルを見たときにドキッとしたのですが、記事を拝見して安心しました。
    うちのわんこは食べ物にアレルギーのあるものがあるようで、獣医さんと相談の上、犬用のお菓子を与えることをやめています。現在のドッグフードは特にアレルギー用ではないのですが、
    ・ドッグフード(毎回同じもの)・歯磨きガム・お水・キャベツやきゅうりのお野菜
    食べ物をこの内容に統一をしてからはアレルギーの症状が出てこないので2年近くこの食生活をしています。
    適量を守ることや味をつけないこと、大切ですよね。うちのわんこはすっかり味をしめたようで、キャベツやきゅうりを切る音がすると飛んできます 笑。細かくちぎったり包丁で切ってあげていますが、たまねぎなどの犬に害があるものと同じ包丁にはならないよう注意しています。犬の健康を守ってあげれるよう、これからも気をつけていきたいと思います。
  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    畑から収穫したキュウリがなくなっている!バケツから、取り出してはキュウリを食べていました
    匿名の投稿画像
  • 投稿者

    女性 もんぶらん

    うちの子たちはキュウリが好きなのですが、細めのスティック状にカットしたものを私が手に持ったまま食べさせています。細めのスティック状にして手に持ってあげる事でしっかり噛んでくれるので、はいとあげると急いで食べてしまう子には手に持ったまま与えるのがオススメです♪
    あまり冬にはキュウリはあげていなく(他の野菜をあげてます)夏場にあげる事が多いです。カットしてそのまま与えられるのも良い点ですね。
    うちでは栄養としてよりかは、おやつとしてあげているので、あげる頻度は少なめです。オヤツとしてあげる事が多いので少量しか与えてませんが、田舎のわんちゃんだと畑で採れたてのキュウリを一本丸ごとボリボリ食べてるわんちゃんもいますね。しっかり噛んでお腹を壊したりしなければ、キュウリはほとんど水分なので良いと思います!

    ドレッシングをかけたものは、水で流してもほんのすこしはキュウリに染みている場合もあるので、あげるのは控えた方が良いかもしれません。ドレッシングによっては、玉ねぎやニンニクなど犬にとって危険な成分が入っている事もありますし、塩分など残っていると健康を害します。微力で健康に害になる量はありませんが、こういった積み重ねが愛犬には良くないんですね。
    与える際はあらかじめ、別に切り分けてあげると良いでしょう。
    元々お腹の弱いわんちゃんには、避けた方が無難かもしれませんが、夏場の水分補給にキュウリを使ったレシピなどもあるので、七夕の時などちょっと特別な日のご飯に手作りご飯はオススメです♪
    食べているときのシャキシャキって音が可愛くてたまりません〜♪
  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    我が家の愛犬はきゅうりが大好きです。
    与える時はおろし器ですりおろして与えています。
    また、ささみをボイルした時もすり鉢でほぐして与えています。
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