犬の寿命と肥満は密接に関係
肥満の主な原因は、摂取カロリーが消費カロリーよりも上回ること。それは、人も犬も同じです。「肥満は万病の元」と言われている通り、肥満は糖尿病、呼吸器疾患、骨や関節の病気、膵炎、心臓病、尿路疾患など、さまざまな病気の原因になります。また、犬の寿命と肥満は密接に関係しており、肥満によって犬の寿命が短くなることが研究によって明らかになっています。
どの犬も、食べすぎや運動不足が続けば肥満になってしまいますが、肥満になりやすい犬種もいます。今回はその中から、5犬種をご紹介したいと思います。
肥満になりやすい犬種①パグ
愛嬌たっぷりの風貌で、安定した人気を誇るパグ。その名の由来は、頭部の形が似ていることから、ラテン語で握りこぶしを意味する「パグナス」からきているという説や、パグと呼ばれていたキヌザルの顔に似ていたからという説など、諸説あります。
筋肉質でがっしりとした体型が特徴ですが、食欲旺盛で太りやすい体質なので、しっかり食事量と運動量をコントロールすることが大切です。毎日30分程度の散歩が必要ですが、暑さと寒さに弱い犬種でもあるので、夏場と冬場の散歩は時間帯を選ばなくてはいけません。
肥満になりやすい犬種②ビーグル
「スヌーピー」のモデルとなった犬種として有名なビーグルは、とても古い歴史を持つ猟犬です。紀元前のギリシアでウサギ狩りに使われていた犬が祖先と言われています。獲物のにおいをキャッチして追跡するセント(嗅覚)ハウンドの一種で、現在ではその鋭い嗅覚を活かし、検疫探知犬としても活躍しています。
食いしん坊で太りやすい犬種と言われており、フードを与えれば与えただけ食べてしまったりするので、飼い主さんが食事量を管理しないとすぐに肥満になってしまいます。
肥満になりやすい犬種③ダックスフンド
ダックスフンドのダックスとは、ドイツ語で「アナグマ」の意味で、もともとはアナグマ狩りのために作られた猟犬です。巣穴に潜り込んで、アナグマを追い出す仕事をしていました。胴長で短足なのは、アナグマの細長い巣穴に潜りやすいように作られたためです。
サイズは大きいほうから「スタンダード」「ミニチュア」「カニンヘン」と3つあり、最初にスタンダードが作られ、その後ウサギやテンなどの小さい獲物に合わせて小型のダックスフンドが作られました。
もともとは猟犬なので、体格の割に運動量が多く食欲も旺盛なため、食べすぎによる肥満が起こりやすいです。ダックスフンドは椎間板ヘルニアの好発犬種であるため、太りすぎには要注意です。
肥満になりやすい犬種④キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キング・チャールズ・スパニエルが祖先のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、活発で明るく温和な性格のため、飼いやすい犬種と言われています。ただし、遺伝的に僧帽弁閉鎖不全症という心臓病にかかりやすいため、定期的な健康診断を欠かさないようにすることが大切です。
また、太りやすい体質なので、毎日の運動と食事量の管理に配慮が必要になります。太り過ぎは心臓に負担がかかるので、肥満は大敵です。
肥満になりやすい犬種⑤ラブラドール・レトリーバー
かつては、厳寒な海に潜って漁師の手伝いをしたり、鳥猟で水に落ちた鳥を回収する仕事をしていた犬種です。現在は、温和で優しい性格から、家庭犬として人気のある犬種です。また、盲導犬をはじめとする使役犬としても活躍しています。
家庭犬としても使役犬としても優秀なラブラドール・レトリーバーですが、じつは太りやすい犬種の代表格です。食いしん坊で、際限なく食べてしまう傾向にあるため、しっかり食事量を管理しなくてはいけません。盗み食いや拾い食いにも要注意です。
イギリスのケンブリッジ大学の研究において、ラブラドール・レトリーバーの食欲旺盛さには、POMCという遺伝子の変異が関係していることが明らかになっています。この遺伝子変異を持つ個体は、お腹がいっぱいであることを伝える脳内物質の生成が阻害されて満腹感が得られず、食べても食べても食べ物を欲しがってしまうそうです。ラブラドール・レトリーバー以外の38犬種のPOMC遺伝子を調べた結果、変異が見られたのは、フラットコーテッド・レトリーバーのみだったといいます。
まとめ
肥満はさまざまな病気の原因となり、寿命も短くします。愛犬が健康で長生きするためには、肥満にならないことが重要なのです。でも、犬は自分で体重管理をすることはできません。飼い主さんが食事量や運動量に注意を払い、愛犬の肥満予防に努めましょう。
特に、肥満になりやすいと言われている犬種は、食べすぎや運動不足に十分気をつけてあげてくださいね。
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