犬の寿命について

【獣医師監修】犬の寿命について

犬の寿命は人間より短いため、より充実した生活を送れるように、飼い主さんがしっかりとケアしてあげる必要があります。また、より長く一緒に暮らせるように、日々出来る限りのことを考えて、実践してあげましょう。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の寿命

くつろぐ老犬

犬の平均寿命は体の大きさや犬種によって差がありますが、おおよそ10歳~15歳だと言われています。

大型犬よりは小型犬の方が長生きと言われており、犬種にもよりますが、大型犬は10歳前後、小型犬は12~15歳くらいが平均です。

では、なぜ大型犬の方が寿命が短いのでしょう?
一般的に、動物は体の大きさに比例して寿命も長くなります。

たとえばハムスターの寿命は約2年くらいですが、犬は10~15年、馬は約20年、そしてゾウになると50年以上です。

もちろん人間のように例外(人間はゾウよりも長生き)は多少ありますが、動物はほとんどが体の大きさと寿命が比例します。

しかし、犬は逆で、大きいほど寿命が短い傾向にあります。

それは、他の動物と違って、犬の体の大きさは人間の手で作り出されたもののため、時に自然では作りえない特徴があり、特に大型犬は、体に負担がかかりやすくなっています。

たとえば、全身に血液を循環させる心臓も、体が大きくなればなるほど、血液を送り出す力もかかります。

しかし大型犬では、体が大きくなったからといって、心臓もそれに合わせて強くなっているわけではないので、早く機能低下してしまい、寿命に影響するようになると言われています。

このように大型犬の場合は、体の大きさに合わせて、すべての機能もビックになっているわけではなく、中型犬や小型犬に比べて様々な身体的な負担が大きくなっており、それが寿命に関係していると考えられます。

短い命を全うする犬たち

眠る犬

犬の寿命は、人間より短く、ほとんどの場合で飼い主は犬の最期を看取ることになります。

少なからず動物病院では、その看取りを一緒に迎えることがしばしばあり、私自身もこれまでのキャリアで幾度となく最期のお別れを見つめてきました。

その中では「もっとこうしてあげれば良かった」「この子は本当に幸せだったんだろうか」と思い悩んでしまう方もいらっしゃいます。

そういった場面を経験してきたことから言えることは、犬の短い命を全うさせるために、人間ができることはたった一つだということです。

そしてそれは「犬と双方向のコミュニケーションをとる」ということです。

つまり、人間の一方的な愛情だけでなく、犬からの思いもしっかりと感じてあげること、これが一番大切なことだと思います。

なぜなら、犬にとっての幸せとは、「一緒に暮らす仲間の役に立つ」ことだからです。

つまり、一緒に暮らしている間も、そして最期のときにも、一緒に暮らす飼い主や家族の心が穏やかでいてくれることこそ、一緒に暮らす犬にとっての幸せなのです。

それに対して飼い主である人間は、犬のことをもっと理解し、人間だけでなく犬も満足するような日常生活を送ることが大切です。

でないと、犬のことを理解しないままコミュニケーションを取っていると、人間が良かれと思っていたことが、実は犬にとっては負担になっていた、なんてことになりかねません。

しかも犬は「仲間の役に立つ」ことに幸せを感じるため、しばしば人間の一方的なコミュニケーションに我慢して付き合ってしまいます。

もちろん、それは犬にとって決して好ましいことではありません。

もしそれが日常的なものになっているのであれば、犬には知らず知らずのうちにストレスを抱えてしまうことになるでしょう。

ですので、人間も満足し、そして犬も満足できるコミュニケーション、つまり双方向コミュニケーションこそ、犬にとって最適な暮らしを送る上で必要なことなのです。

言葉を話さない犬とのコミュニケーションは、一見、難しそうに感じますが、犬は長い歴史の中で、人間社会の中で生きて行く術を身につけ、人間社会に順応してきました。

ですので、犬のコミュニケーション方法については、かなり分かるようになってきています。

その代表的なものがカーミングシグナルと呼ばれるもので、耳やシッポの動き、あるいは犬の行動パターンによって、犬の心をかなりしっかりと読み取ることができます。

たとえばシッポを振る動作、これは一般的には「うれしい」という感情表現と考えられていますが、実は「心が高ぶっている状態」であると考えられています。

すなわち喜んでいる時だけでなく、不安や緊張で気持ちが高ぶっている時にもシッポを振ることがあります。

たとえば、もしそれに気づかず、シッポを振っている行動をただ安易に喜んでいるとしかとらえられなければ、場合によっては、それが犬にとってストレスになってしまいます。

ですが、正しいカーミングシグナルを知っていれば、そういった事故も防げますし、逆になぜ不安なのかを考え、それを取り除いてあげることで、犬はより快適な生活を送ることができるのです。

つまり、ちょっときつい言い方をすれば、犬は人間社会、すなわち家庭内に依存して生きていますので、その短い寿命を全うできるかは、人間である飼い主次第です。

さきほども書きましたが、犬の性質としてその社会(=家庭)に役立つことに喜びを感じますので、コミュニケーションが取れない、つまり人間が犬の仕草を理解できなければ、あるいは犬のことを無視するようなことがあれば、日常生活は犬にとってはただただ精神的に辛いものになるでしょう(それでも仲間のためにがんばろうとしますが)。

一緒に暮らしている動物のことを理解することは、そんなに難しくはありません。

ぜひ犬の特徴や人間との違い、そして犬とのコミュニケーション方法を知ってあげ、犬にとってもより良い生活が送れるよう、しっかりと飼育してあげてください。

愛犬の寿命を延ばして長く一緒にいるために

犬は家族の一員

上記の「犬と人間の双方向コミュニケーション」は、犬の生活を良くするだけでなく、健康にも寄与するため、結果的に寿命を延ばすことにもつながります。

ストレスは人間において、様々な病気を引き起こす要因となっていることがわかっています。

もちろん犬についても同じことが言えると思います。

また、双方向コミュニケーション以外にも、犬と少しでも長く暮らすために気をつけていただきたいことは、食事、予防、デンタルケア、病気の早期発見です。

食事

犬は自分で食事を選ぶことができません。

何を食べられるのかは、すべて飼い主の手に委ねられています。

もちろん食事が寿命に関わることは言うまでもありません。

粗悪な食事やその犬に合わない食事は、身体的なストレスを与え、結果として様々な病気を引き起こします。

ですので、その犬にとってなるべく合う食事を探してあげましょう。

近年、ドックフードも品質はずいぶん向上しました。

その品質、種類は実に多岐にわたり、どれを選んでもそうそう粗悪なものには当たらなくなっています。

しかし、最低限、ペットフード公正取引協議会あるいはAAFCO(米国資料検査官協会)が定める栄養基準を満たしているもの、1kg=1000円を目安としたそこそこの価格のものを選んであげるようにしてください。

そしてドックフードを選んだあとは、必ずそれを食べている犬の体調を観察してあげてください。

もし何かしらの原因で、フードが合ってないようであれば、嘔吐や下痢といった消化器症状を示すこともありますし、また、毛づやが悪くなる、うんちの量が増える、うんちのにおいがきつくなるというようなこともあります。

こういった症状がみられた場合は、フードを変えてみるか、動物病院に相談するようにしましょう。

予防

狂犬病予防接種、混合ワクチン接種、フィラリア予防、マダニ・ノミ予防、そして内部寄生虫の定期駆虫は、犬が長生きするための必須の予防と言えます。

混合ワクチンで予防できる病気やフィラリア症、さらにはマダニから感染するバベシア症などは、かかってしまうと「死」に直結する病気ですから、ぜひとも予防してあげたいところです。

また、狂犬病は日本ではおよそ50年、発生のない病気ですが、法律で定められた予防接種であることだけでなく、狂犬病予防接種を受けていない犬が、万が一人間社会でトラブルを引き起こした場合には大問題となり、最悪殺処分になることもあります。

さらに狂犬病だけでなく、フィラリアやマダニ・ノミ、内部寄生虫は、人間にも感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)を引き起こすリスクがあるため、これらの予防は、犬から病気を守るためだけでなく、人間社会で長く暮らしていくためにもしっかりと実施してあげたいところです。

デンタルケア

3歳以上の成犬の実に80%以上が何かしらの「歯周病」を患っていると言われています。

歯石の付着や歯肉炎、お口のにおいなど、犬のお口のトラブルはほぼ「歯周病」が関係しています。

また、今では歯周病が、様々な全身疾患と関係していると言われており、人間では口の中の病気だけでなく、全身のガンや糖尿病、メタボリックシンドロームなどとも関係していることがわかっています。

犬でも「二次性肝炎」と呼ばれる肝臓疾患の原因の一つとして、歯周病が関わっていると考えられており、犬が健康に長く暮らしていくために、歯のケアは十分に行ってあげましょう。

また、デンタルケアには、歯ブラシやデンタルジェルだけでなく、ガーゼやスプレー、デンタルガムなど様々なグッズがありますが、歯周病を予防できるデンタルケアは、唯一、「歯ブラシによる歯みがき」だけです。

他のものは補助的な役割は果たしますが、歯ブラシの代わりにはならないことには注意してください。

病気の早期発見

犬との双方向コミュニケーションがとれたとしても、どうしても手遅れになりがちなのが、病気の発見です。

これは犬だけでなく、野生の本能が残っている動物すべてに言えることなのですが、動物は「自分の弱みを隠す」ことをします。

野生の中では、弱みを見せると食べられてしまいます。

ですので、多少のことでは痛がったり、苦しがったりすることがないため、人間から見ると、一見病気ではないように見えてしまうのです。

とはいえ、大切なパートナーの異常にはなるべく早く気づいてあげたいですよね。

ですので、普段からスキンシップを取り、日常の行動を観察し、いつもと違う何かを見つけたときには、なるべく早く動物病院を受診するようにしてあげてください。

また定期的に動物病院で健康診断を受けることも有効だと思います。

犬の寿命に関するまとめ

犬の寿命は10~15歳くらい。

大型犬ほど寿命は短い傾向にある。

犬の寿命を全うさせるためには、人間が犬のことをもっと理解して、「双方向コミュニケーション」が取れるようにしましょう。

犬を少しでも長生きさせるために、双方向コミュニケーションを取るだけでなく、食事や予防、デンタルケア、そして病気の早期発見に努めましょう。

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