犬のウンチの放置は絶対NG
ウンチを取るのは最低限のマナー
迷惑行為となる『犬のウンチの放置』をする人は、昔から少なからずいます。実際に散歩をしていると明らかに鞄や袋をもたずに、手ぶらで散歩している人を発見することってありますよね?思わず「この飼い主は愛犬がウンチをしたらどうするつもりなんだろう」と思うのではないでしょうか。
ちゃんとウンチを取っている飼い主からすると、いったいどういう考えで愛犬のウンチを放置するのか理解に苦しんでしまいますよね。では、放置する人はどういった理由で愛犬のウンチを取らないのでしょうか。ウンチを取らない人の意見を聞いてみると……、
- ウンチは放っておけば自然に還るから大丈夫
- 愛犬は家でしかトイレをしないので袋を用意していない
- 草むらでウンチをしたから見つけられなかった
- 夜真っ暗でウンチを発見できなかった
- 迷惑にならないと思っていた
- 取らないで良いと思っていた
- 袋を忘れた
などなど……。袋をうっかり忘れてしまうことはあると思いますが、そういった場合は一度家に帰って袋を用意し、ウンチを取りにいくという飼い主が多いようです。しかし、それ以外のウンチを取らない理由を見てみると、明らかに自己中心的で無責任な理由ばかりで驚きました。
ウンチを放置するのは周りの人や犬に凄く迷惑をかけてしまうので、もし心当たりがある場合はキチンと愛犬のウンチを取り除くようにしてくださいね。外で愛犬がウンチをしたら、飼い主が取るのは最低限のマナーということを知っておきましょう。
周りに迷惑をかけてしまう
では、実際にウンチを放置することで周りの人や犬にどのような迷惑をかけてしまうのでしょうか。
- ウンチを踏んでしまう
- 犬が散歩中にウンチを食べたりにおいを嗅いだりすることで病気、不衛生になってしまう
- 周りの人を不愉快な気持ちにさせる
- その場所が不衛生になってしまう
- ウンチを放置した場所が犬の散歩禁止になってしまう可能性がある
など、主にこういった迷惑をかけることが多いといえます。一見すると「思ったよりあまり迷惑をかけてないな」と感じる人がいるかもしれませんが、実際にこれらのことを体験すると想像以上の苦痛や不愉快な気持ちになることでしょう。
道端にあるウンチを踏んでしまったら、靴の底の溝にグチャグチャになったウンチがこびりついてなかなか取れませんし、嫌なニオイもこびりつくことになります。散歩中に愛犬がウンチを発見して思わず食べてしまったり、ニオイを嗅いだときに口や鼻にウンチが付いてしまったりすると、それが原因となって病気になってしまうことだってありますし、ウンチが付いた口で舐められると思うと、たとえ愛犬でもゾッとしますよね。
また、道端に放置されたウンチを発見するだけでも単純に不快な気持ちになってしまいますよね。特に自分の家の前や花壇、庭にウンチを放置されていたとなると……凄く不愉快な気持ちになることでしょう。
ウンチを放置している人は、自分がもし他の犬のウンチを踏んでしまったらどう思うか。自分の愛犬がウンチを食べて体調が悪くなったらどう感じるか、自分の家の前にウンチを放置されたらどんな気持ちになるか、他の飼い主のせいでお気に入りの場所が散歩禁止になってしまったらどう感じるか、ということを想像して、一度自分の行いを振り返ってみてください。きっと、迷惑な行為だということに気づいていただけるのではないでしょうか。
マナーだけじゃない!ウンチの放置による危険性
感染症にかかる危険性
先ほども少しお伝えしましたが、犬のウンチの放置は他の犬が『食べる』『においを嗅ぐ』といった行動をすることで、病気に感染させてしまう危険性があります。ウンチをした犬の体に寄生虫や病原体がいると、ウンチにそれらの病気を引き起こすものが入り込み、そのウンチと接触した犬にもその病気をうつす可能性があるのです。そのような病気には、寄生虫によるもの、細菌によるもの、ウイルスによるものがあります。ワクチンをちゃんと打っているから、虫下しも定期的にしているから絶対に大丈夫ということはありません。他の犬のウンチからうつるワクチンのない病気もありますし、ワクチンのある病気でもその効果は病気によって違います。地域によっても差がありますが、ワクチンのある感染症でもその病原体が道に落ちているウンチに含まれている可能性もあります。
また、厄介なことに感染症は犬同士だけでなく人にも起こってしまう恐れがあるということです。犬を含めた動物から人に感染することがある病気を人獣共通感染症(別名:ズーノーシス)というのですが、放置された犬のウンチから愛犬に病原体や寄生虫が感染し、病気に感染した愛犬に舐められたり愛犬の排泄物に触れたりすることで飼い主にもその病気がうつってしまって、ズーノーシスを発症することがあるので要注意となります。
また、小さな子供は放置されたウンチを触ってしまうこともあり、そこから何かの病気がうつってしまう危険性は大人より高いと言えます。つまり、放置されたウンチが原因となり犬や人が病気になってしまうことがあるということです。
そのような病気には、寄生虫や食中毒の原因ともなる細菌による病気などがあります。ウンチから感染する寄生虫は人の消化管で悪さをするだけではありません。稀な例ではありますが、寄生虫の幼虫が筋肉や皮膚、眼、神経組織などに入り込む幼虫移行症が起こり、場合によっては重篤な症状を引き起こす場合もあるのです。
放置されているウンチには飼い主と愛犬ともにできるだけ近づかないようにするか、取り除く場合は病原体と接触しないように手袋などをして手洗いを十分に行うようにしましょう。
まとめ
犬のウンチの放置は周りの人や犬にたくさんの迷惑をかけるだけでなく、誰かの命を危険にさらす感染症の原因になる可能性もあります。愛犬のウンチを放置することでたくさんの人や犬、動物に迷惑をかけたり病気を発症させたりしてしまうのって凄く悲しいことだと思います。
そのような問題は愛犬のウンチを飼い主がきちんと取り除くことで解決できますので、心当たりがある人は今日から愛犬のウンチをちゃんと持ち帰るようにしてくださいね。
放置された犬のウンチに含まれる病原体によって引き起こされる問題には、その病原体が直接病気の原因となることだけではなく、薬剤耐性菌の問題もあります。抗生物質が効かない薬剤耐性菌の問題は人とペットで共通する問題です。動物病院で集めた犬のウンチや街中に放置されていた犬のウンチを調べた結果、多剤耐性を示した複数の種類の腸球菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出されたという研究結果もいくつか出ています。薬剤耐性を獲得した細菌が犬の街中に放置されると、新たに薬剤耐性を獲得する菌が出現する確率が高まったり、薬剤耐性を持つその細菌が世の中に広まる可能性を高めたりする危険性があると考えられています。