結論、犬は暗いところが好き
結論から申し上げると、犬という動物は基本的に「暗くて狭い空間」を好む傾向にあります。
まぶしい…と思っているかも?
リビングでくつろいでいる時、犬が顔を手で隠すようにして寝ていたり、ブランケットの中に潜り込んで寝ていたりするのを目にしたことはないでしょうか?これは、その時のお部屋の照明がうたた寝をするワンちゃんにとって眩しく感じているからである可能性があります。
狭くて暗い空間が好き
特に、ブランケットに潜り込むと光が遮断されて暗くなりますし、自分の体がブランケットにフィットしている状態で、まさに「暗くて狭い空間」となっています。これはワンちゃんのくつろぐ場所として大変心地が良い空間です。
野生時代の「巣穴」に似た環境が好き
巣穴を寝床にしていた名残り
野生で暮らしていたころの犬は地面に穴を掘って巣穴を作り、その中で身を守りながら眠っていました。土ではないのにカーペットやふとんを前足で掘るような行動をするのは、ついつい巣穴を掘ろうとしてしまう習慣の名残りであると言われています。
巣穴=安心空間
母犬は出産のときも巣穴の中で子犬を産み、子犬がある程度大きくなるまで巣穴の中で育てていました。出産時はとても無防備になるため、自分と子犬の命を外敵から守るために巣穴の中で出産を行っていたのです。そして、子犬は産まれてからしばらくは安全な巣穴の中で過ごしてくるので「暗くて狭い巣穴=安心空間」という認識が本能的に残っていると考えられています。
明るすぎるとストレスになる
薄暗がりでも良く見える目
犬の目は「虹彩(こうさい)」と呼ばれる部分がよく発達しているため、光の入り口である「瞳孔(どうこう)」を大きく広げることができます。そのため、犬の目は薄暗い環境下でもある程度見えるのです。
また、犬の目の網膜の裏には人間にはない「タペタム層」と呼ばれる細胞層があります。これは、わずかな光でも反射して視神経に伝えるという役割を持っています。犬を写真で撮った時に目が光ってしまうのは、このタペタム層がカメラのフラッシュを反射しているためです。
このように、犬は暗い場所でも良く見ることができる目を持っているのです。
安心できない環境
犬は光を取り込みやすい目をしていることにより、あまり明るすぎる照明のもとでは眩しくてストレスになってしまうこともあります。また、「明るいところでは安心できない」という本能が働いてしまうことも、愛犬がゆっくりくつろぐことができない理由となり得ます。
私たちは夜に部屋の電気をつけなければ不便になってしまいますが、ワンちゃんがくつろぐスペースの照明は明るすぎないように設定してあげましょう。
お留守番の時は電気をつけておく方が良いことも
これまでのお話では「暗くても良く見えるんでしょ?」と思ってしまいますが、夜までのお留守番の時には真っ暗にしない方が良いかもしれません。
というのも、犬は「いつもと一緒」に安心感を得る動物なので、電気がつかずに夜になることで「いつもと違う」ということに不安を感じやすいためです。暗さが問題というよりは、いつもと違うことがストレスになってしまう、ということです。
愛犬に夕方や夜までお留守番をしてもらう時には、いつもと同じくらいの電気をつけっぱなしにしてあげる方がワンちゃんが不安を感じにくくなります。
犬は「接触刺激」で安心する
犬は群れを成して生活をする動物なので、くつろぐ時や眠る時には仲間同士で身を寄せ合う習性があります。ただっぴろい空間にポツンといるよりも、何かが自分の体に触れている方が安心するのです。
犬用ベッドやクッション、ブランケットなどの接触刺激があるような空間づくりをすると、よりワンちゃんが安心してくつろげるスペースとなるでしょう。
まとめ
犬の目は少ない光でもしっかりキャッチできるように発達しているため、暗い空間でも見えやすいという特徴があります。犬は本能的に巣穴のように狭くて暗い空間に安心感を感じるため、明るい場所よりも暗い場所の方が過ごしやすいと言えます。そして、ただ暗いだけではなくある程度の接触刺激がある空間の方がより安心できます。あまり明るすぎる場所はストレスになってしまうこともありますので、ワンちゃんがくつろぐお部屋の照明は強すぎないように調整してあげましょう。夜まで及ぶお留守番時には、お部屋の電気をいつものようにつけておいてあげるとワンちゃんが不安を感じにくくなります。