多頭飼いをする上での心構え
何頭もの犬を同時に飼育するうえで大切なこととは何なのか確認していきましょう。
●家族全員の協力を得られるか、面倒をみる環境は整っているのか?経済的負担は?
やはり家族の協力は必要不可欠です。そして犬が多ければそれなりのスペースや食費などの多くの費用も必要となります。
●現在飼育している先住犬とはうまくいくか?
飼い主さんが気にいって連れてきた犬でも先住犬とうまくいかなければ一緒に生活できません。犬に『いい子だから仲良くしなきゃダメよ』という言葉は通じませんし、犬にも相性があります。必ずどんな犬とでも仲良くできるというわけではないのです。
●楽しみや癒しだけじゃない
多頭飼いは楽しみも頭数分、苦労も頭数分です。大変だからと途中で放棄できるわけではありません。どんな状況でも犬たちに変わらない愛情を注げるかよく考慮する必要があります。
夢の多頭飼い♪そのメリット・デメリットとは?
たくさんの可愛い犬たちとの暮らしにも必ず良い面、悪い面はあります。犬を迎え入れてからあわてないためにも頭にいれておきましょう!
(メリット)
- 飼い主さんの楽しさや癒しが倍増する
- 先住犬が新入りの犬の面倒をみてしつけてくれる
- 普段からまわりに犬がいることで自分が犬だということを意識し犬のコミュニティを作れる
- 犬同士で遊んでくれる
- 留守番中も寂しさがまぎれる
(デメリット)
- 飼い主さんの費用負担と労力が倍増する
- 良くないことも飼い主さんが気付く前に先住犬から学んでしまう
- 相性の良くない犬同士がいると苦労する
- 一頭が吠えだすと全員が吠える
- 一頭が感染症などにかかると連鎖することも
多頭飼いを始めるための準備
●スペースの確保
犬にも一頭一頭、自分だけの安心してくつろげるハウスがあったほうが良いと思います。
私たちと同じように犬にも自分だけの時間は大切ですし、精神的な安定感が違います。
●先住犬のしつけ
先住犬のしつけがきちんとできているか見直す必要があります。トイレ、食糞、無駄ぼえ、いたずらなど…。
犬は私たちが教えるよりも早く犬同士での情報伝達がされてしまうからです。良いことも悪いことも先住犬から学んでいくので、新しい犬が来る前に先住犬のしつけの見直しを行い、新しい犬に学んでほしくないことは早めに直していきましょう。
多頭飼いのコツ・ポイント
ここでは多頭飼いをより満喫するためのコツとポイントをご紹介したいと思います。
(犬同士、相性のいい組み合わせは?)
●一般的に相性がいいと言われているのはオスとメスの組み合わせです。ついでメス同士、オス同士はケンカが激しいと言われています。
●犬種により性格の傾向が異なります。先住犬と異なる犬種を迎え入れる場合には、必ずその犬種が持つ性格について事前に知る必要があります。同じ犬種同士のが相性が良いと言われています。
●大型犬と小型犬の組み合わせの場合、小型犬を先に迎え入れ大型犬を後にすると良いと言われています。ですが体格差の大きいので喧嘩などのトラブルの際、小型犬が大怪我をする危険性があり注意が必要な組み合わせでもあります。
●同じ時期に同じ年齢の犬を飼わない。年を重ねて介護が必要になったときの負担を考慮して飼い始める時期や犬の年齢をあけたほうが負担が減ります。
●先住犬の年齢や健康状態、性格などを必ず把握しておきます。先住犬がおっとりタイプの場合、新しく来た犬が社交的で元気すぎるとストレスとなることもありますし、先住犬が甘えん坊なタイプならば、新しくきた犬の存在によって飼い主の自分への関心が薄れたと感じいじけてしまうこともあります。
先住犬が老犬の場合は、子犬や若い犬のペースについていけなくなっておりそれがストレスとなることもあります。逆に若いパワーに元気をもらって先住犬が元気になるケースもあります。
●先住犬との初めての顔合わせのときはサークル越しに行います。このとき、新しく迎えた犬をサークルに入れるようにします。緊張してしまうのでできればお互いのテリトリー外で会わせます。慣れてきたら飼い主さんが見てるときだけ一緒に遊ばせます。
※犬の組み合わせに関してはケースバイケースであることが多く、実際に飼ってみないと相性がわからない点もあるので注意してください。
(飼い主との関係性)
●先住犬との強い絆をつくり、信頼関係を深めます。
先住犬との関係性が新しくきた犬にも影響を与えます。
●体を撫でる順番、ご飯をあげる順番、全てにおいて先住犬を優先します。
●先住犬に全て任せるのではなくあくまでも飼い主がリーダーシップをとり新しくきた犬や他の犬たちをまとめていきます。
●短い時間でも良いので一頭一頭と向き合える時間を作ることが理想的です。
多頭飼い中のトラブルについて
●鳴き声、悪臭などで近隣で問題になることも
犬を多頭飼育をしていると一頭が吠え出すと立て続けに他の犬も吠え出したり、犬自身の臭いや糞便尿の臭いが辺りに充満することがあります。不衛生な場所での飼育は病気にもなりやすくなります。
犬が吠えるのには必ず理由があるはずなのでその原因を突き止めなくてはなりません。
また人の往来がよく見えるところに犬たちがいる場合、どうしても吠えやすくなることもあります。
犬を飼育する環境や場所などについてもよく考慮する必要があります。
犬自身の臭いについては定期的にシャンプーをして体を清潔にすることで防ぐことができます。
トイレに関しては、頭数に合わせて設置する、シートを頻繁に交換する、排泄されたまま放置されないようにすぐ片付けるなどすることが大切です。トイレを何個も設置するのが無理な場合は、サークルを使って広めのトイレを作ることも可能です。
●思いがけない繁殖により増えてしまった
オスとメスのペアや混合で飼育する場合、繁殖させる予定がなければどちらかに必ず避妊去勢手術を行います。犬が増えすぎてしまったことにより飼育困難に陥ることで不幸な結果を招くことにもなりかねません。
●食べ物やおもちゃをめぐっての争い
普段は仲良さげに見えても食べ物やおもちゃを目の前にすることで独占欲が出て攻撃的にでることがあります。
飼育スペースをわけたり、食事はケージの中でさせるなどの工夫が必要となります。
●犬同士の喧嘩
多頭飼いをしていると犬同士の小さな喧嘩のようなものは避けられません。ですが犬には犬同士の決まりがあったり、相手を傷つけようと思って喧嘩をするわけではなかったりします。飼い主側としては犬が喧嘩する姿は見たくありませんし、心配にもなりますが、過剰に攻撃していて怪我をする恐れがあるときをのぞいては少し様子を見るようにしましょう。
最後に…
犬を飼育する人は生活に豊かさや癒しを求めて生活を共にする人が多いと思います。でも現実にはペットが増えすぎて生活が破綻に追い込まれる多頭飼育崩壊という問題も起きています。
ただ『可愛いから』『可哀想 だから』という安易な理由から無知のまま多頭飼いを始めれば人も犬も不幸になるだけです。
生涯にわたり適切な飼育環境が整えられるか今一度よく考え、たくさんの犬と共に生活を楽しめるようにしましょう。