犬が好む音３選

犬の聴覚

犬は嗅覚をよく取り上げられますが、聴覚もとても優れている動物です。どれほど優れているかといえば、人の四倍とも五倍ともいわれていますね。この〇倍という数値は諸説ありあまり性格な表現ではありませんが、それでも犬たちは人の耳ではとらえることのできない周波数を聞き取ることができるのです。

この周波数というのは音の高さに関係する空気の振動の速さを表す数値です。この数値が小さいほど低い音、数値が大きいほど高い音となります。単位はHz（ヘルツ）で表します。人の耳で感知できるのは20～20000Hzほどで、加齢とともに徐々に高い周波数の音を聞き取りづらくなっていきます。イルカやコウモリは20万Hz、犬は50000Hz程度まで感知できるといわれています。たまに何もない中空を見つめて耳をそばだてているように見える犬たちですが、私たちが拾えない音を聞き取っているのかもしれませんね。

犬が好む音

人より優れた聴覚を持つ犬たちにとって、どんな音が「好ましい」と感じるものなのでしょうか。個体による経験の差などもあるでしょうけれども、一般的に好む傾向がある音をまとめてみましょう。

1.おもちゃのプピプピ音

犬のおもちゃ売り場に行くと、大小さまざまな形のゴム製、あるいは布製のおもちゃが並んでいます。どれも適度な硬さや弾力があり、人間が握って投げることもできるデザインだったり、引っ張ることや噛み噛みしたりすることを想定している商品です。

そしてこれらのおもちゃは大抵の場合、中に鈴だったり、空気の出入りで音が鳴る笛だったりする「音を出す部品」が仕込まれています。犬たちはこのプピプピ音や鈴の音が大好きです。これは遥か昔に猟犬だったころに聞いた獲物の鳴き声に似ているからだという説もあるようですが、飼い主と一緒に楽しく遊んだことと音を結び付けて「音=楽しい」と思っているのではないかという説もあります。

2.ビニール袋のカサカサ音

人間の赤ちゃんはなぜかビニール袋をカシャカシャ鳴らすと、ものすごく喜んだりいつの間にか寝てしまっていたりするそうです。あの音が珍しくて面白いのだという説や、母親の胎内で聞いた音と似ているため安心するのだという説があります。犬たちにとってもこの「ビニール袋の音」というのは、楽しく好ましい音と感じることが多いようです。好む理由は人間の赤ちゃんと同じく「面白い」「珍しい」というものがほとんどでしょう。あるいは遠い昔に人間と狩りをしていたころに聞いた、草木をかき分ける音に似ているのでしょうか。

しかしこちらも実は経験によって得られた「イイことが起こる音」である可能性が高いと思います。初めは物珍しい音でしかなかったビニール袋の音ですが、おやつの袋を開けるときにもおそらく同じような音がするのでしょう。音＝おやつと覚えた犬たちにとってはこの音は大変好ましい音と感じられるようになるのです。

しかし、なぜか我が家の犬たちはこの「ビニール袋の音」が大嫌いです。悪戯しそうな場所に何枚か丸めたビニール袋を入れておけば、カサカサ音がイヤだとばかりにその場所を避けて通るようになります。好きな音というのはやはり経験の差が大きいのかもしれません。

3.車やバイクのエンジン音

犬たちはなぜか「飼い主の乗っている車（バイク）のエンジン音」を聞き分けることができます。カーテンをして外が見えない状態で一日に何回も車が通りすぎるようなお家でも、ほかの車の音には見向きもしない犬が急にそわそわし始めたと思ったら飼い主が帰宅したというエピソードはよく聞きます。これは遠くから聞こえてくる飼い主の車の音を聞き分けて、この音がしたらご主人が帰ってくる！というのを犬たちが学習したため、エンジン音＝好きな音になったパターンでしょう。

これと同様に犬たちは飼い主の足音を聞き分けていて、飼い主じゃない人が部屋に入っても見向きもしないのに飼い主だったら部屋に入る前から大興奮などという実験があります。犬たちはとても学習能力が高いので、この音がしたらいいことがあるということをちゃんと覚えているんですね。

まとめ

いかがでしょうか。犬たちの好む音をいくつかまとめてみました。このほかにも、女性の高い声は好むけれど男性の低い声は苦手だったり、特定の音楽には反応するけど他は無頓着だったり、など音に対して様々な反応を示す犬たちです。おうちのワンちゃんの好みの音を、一緒に遊びながら探してみるのも面白いですね。