犬が持つ習性・本能の例3選

犬が持つ習性・本能の例3選

犬には祖先であるオオカミとは違う点も多くありますが、犬の習性や本能にはオオカミと同じものもあります。ここでは、「なんでそんなことするの?」と思うこともあるような犬の習性や本能の一部をご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

習性・本能①穴を掘る

砂浜で穴を掘る犬

よく犬が地面を掘っている光景を見ませんか?
家の中でもソファやクッション、ブランケットにさえ、一生懸命掘っているような行動をします。実はこれにも色々な理由があるのですが、ここでは主な3つをご紹介します。

理由①宝物入れ

大好きなオヤツやオモチャを咥えたまま、穴を掘っている子も多いでしょう。これは、大事なものを奪われたくない、見つかりたくない、後で楽しむためにとっておきたい、などという気持ちから、穴の中に隠そうとしています。これらの行動は、やっとの思いで得た獲物を土の中に隠してとっておく、オオカミが持っている習性を受け継いだものと考えられています。

理由②巣の確保

オオカミは穴を掘ったり自然に作られた岩のすき間などを巣として利用して、仲間と暮らしていました。巣は外敵から身を守り、雨や風をしのいで休むことができ、安全に子育てをする場所です。ちょうど良い寝床や居場所を作るために、きっと巣の中でも地面を度々掘っていたでしょう。現代の犬も、「ゆっくり休みたいな」「眠たいな」というときに、本能的に自分の巣に帰るように穴休む場所を作ろうと、より居心地がよくなるように地面を掘るような仕草をするのでしょう。出産を控えた母犬でも、巣を掘るような行動が見られることがあります。

理由③思わぬ収穫があるかもしれない

オオカミは狩りの他に、穴を掘ることでもネズミなどの小さな獲物を捕らえることがあります。そのためにおいや音、振動など、何かしら気になるものが地面や床にあると、「何かいいものがあるかもしれない」と考え、現代の犬も穴を掘ろうとすることがあります。

習性・本能②足を上げてオシッコをする

片足を上げて排尿をする犬

オス犬に多くみられるオシッコの方法で、「足上げ排尿」とも呼ばれます。ふだん何げなく見る光景ですが、「なぜオスは足を上げるのだろう?」と改めて考えてみると、不思議ですよね。

足上げ排尿をする理由の一つは、「自分の力強さ、優位を他の犬にアピールするため」です。オスは生後約8~10か月で足上げ排尿が始まることが多いようです。

犬の尿には、その犬についての情報がたくさん含まれていますが、自分の尿を地面より高いところにかけることによって自分の情報ができるだけ目立ち、長く残るようにするのです。発情期のメスがいる場合には、メスへのアピールにもなります。

また、「自分の縄張りをアピールするため」にも足上げ排尿をします。自然界には、同様に自分の縄張りの境界にマーキングしてまわる動物が多くいます。また、犬が初めて訪れた場所で何度もマーキングをすることがありますが、これは自分のにおいがない見知らぬ場所に自分のにおいをたくさん残して、少しでも安心しようとするためだと考えられています。

この様に、足上げ排尿には様々な意味がありますが、去勢をしたオスでもこれらの行動をすることがあります。特に足上げ排尿が始まってから去勢手術をした場合には、それ以降も足上げ排尿を続けることがほとんどのようです。また、メスでも足を上げて排尿する犬もいますし、足を上げないで排尿をしてメスがマーキングすることもあります。

習性・本能③悪臭を放つものに体をこすり付ける

穴掘りをして土で遊ぶ犬

オシッコやウンチなどの排泄物やネズミなどの害獣の死骸、生ゴミなど、人間にとっては悪臭を放つものに体をこすり付けることがあります。

飼い主さんからしたら、「やめてー!」と叫びたくなるような恐ろしい光景が広がっているでしょう。でも実は、これも犬の習性や本能なのです。

その理由ははっきりとは分かっていませんが、一つの理由として考えられているのは、「獲物に近づくときに有利」ということ。何か強い臭いがするものに体をこすりつけることで、自分のニオイを消し、自分の存在を気付かれにくくすると言われています。もしそれが獲物の排泄物であったら、獲物と同じニオイを漂わせることができ、より獲物に近づきやすくなるのかもしれません。

また、興味のあるものや自分が手に入れたものの臭いをつけ、巣に帰った時に群れの仲間にアピールするため、と考える人もいるそうです。ミミズの死骸を好んで、散歩中に見つけると駆け寄ってひたすらニオイを嗅いでいたり体をこすりつけたりする子も多い、という記事をよく見かけますが、どんなものに体をこすりつけるかは犬によって様々なようです。

まとめ

塀に手をかけて遠くを見つめる犬

癒しの存在として欠かすことのできない愛犬ですが、私たち人間から見ると不思議で、どうして?と思うことも多いかもしれません。犬の習性と本能は動物として意味のある行動であり、それを無理になくそうとすることは困難ですし、犬の福祉に反することにもなるでしょう。もし飼い主にとって不都合な犬の習性がある場合には、なぜその習性があるのかを知った上で、犬がその行動をしても問題がない環境を整えたり、犬が他のことに気が向いてその行動をとらないように仕向けたりして、上手に犬が人間社会で問題なく生活できるようにしてあげて下さいね。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    20代 男性 匿名

    あとひとつあります、これは少し判断が難しいと思いますが服従も本能のひとつでそれを利用した躾が広まっています
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