こんな症状が出たら要注意!犬の認知症チェック10項目

【獣医師監修】こんな症状が出たら要注意!犬の認知症チェック10項目

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ヒトと同様にワンちゃんも平均寿命が延びています。ただ、長生きするがゆえに加齢による病気や変化が多くなってきました。認知症もその変化の一つで、昔に比べるとその発生頻度は確実に高くなっています。この機会に認知症に関する知識をアップグレードしませんか?

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

認知症ってどんな病気?

床に寝そべる黒い老犬

ワンちゃんの認知症の定義ははっきり決まってはいませんが、加齢に関連した進行性の症候群であり、

  • 物事の認識力の低下
  • 学習記憶の欠如
  • 様々な刺激への反応性の低下

などがその主症状です。

そして、内科的な病気や他の脳疾患(脳腫瘍、脳炎など)による脳への影響がないことが特徴の病態です。最近ではワンちゃんの認知症は、認知機能不全(症候群)などと呼ばれるようになりつつあります。

認知症の原因は何?何歳くらいから起こって、どんな犬種に多いの?

テーブルに手をかける柴犬

加齢に伴う酸化物質の影響で細胞に変性が起こり、脳細胞の機能が低下したり、神経伝達物質(ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなど)が減少したりすることなどが原因と言われています。
ただし、その機能低下は個体差が大きく、脳細胞の変性の程度と発症した認知症の程度との関連性は曖昧で、まだ結論は出ていません。

発症率に関しては様々なデータがあり一概には言えませんが、一般的には11歳以上(早い症例では9歳から)で発症が増加し、13歳以上で急増、15歳以上でピークを迎えると報告しているデータもあります。また、日本犬系のワンちゃん、特に柴犬で多いとされています。

どんな症状なの?

散歩するイングリッシュコッカースパニエルの老犬

多岐にわたりますが、典型的によくみられる症状としては、

1. 異常な食欲の増加
2. 生活リズムの変化(1日中寝てばかりいる、昼夜が逆転する)
3. 方向転換(特にバック)ができない
4. 一定方向にくるくる回る
5. 粗相をする
6. 視力・聴力の低下
7. 頭とおしりが下がった姿勢でふらつく
8. 鳴き声が単調になり、ときにはヒステリックに大きな声を出す
9. 人や動物に対する反応が鈍くなる
10. 学習した行動や習慣的な行動をしなくなる

などが挙げられます。

お家のワンちゃんに当てはまる項目はありますか?

どうやって認知症って判断するの?

見つめ合う犬と獣医師

症状のところでお話した内容をスコア化した診断基準(内野式犬痴呆の診断基準100点法)がありますので、自宅ではそれを使用して評価するといいと思いますが、その評価による判断が必ずしも正しいとは限りませんので、決めつけずに必ずかかりつけの獣医師に相談してください。

動物病院では獣医師が症状だけで判断する場合もありますが、状態や経過によっては他の可能性を否定するために血液検査や尿検査、場合によってはMRI検査が必要な症例もあります。

どんな治療をするの?

様々な薬剤

残念ながら認知症は治るものではありません。しかし治療することにより、悪化しにくくなったり症状が緩和、改善したりすることがあります。以下にその代表的な対応法を3つ記載します。

行動療法

【目的】身体面でも精神面でも活動的に過ごせるような刺激を与える

  • 規則正しく散歩する
  • マッサージやストレッチ
  • 冷えないように温める
  • 粗相をしても怒らない
  • 生活環境の改善。足腰が弱ってきているため、歩きやすい環境を作る (フローリング → すべらないようにカーペットを敷くなど)
  • 模様替えを控える
  • 障害物を取り除く
  • トイレを失敗しないように頻繁にトイレに連れて行ってあげたり、外に出してあげたりする
  • おやつを用いた芸やしつけの復習をする
  • おやつを用いた知育玩具を有効に利用する

食事療法

【目的】脳細胞に対する酸化ストレスの軽減と適切な栄養補給

抗酸化作用や抗炎症作用のある栄養素が推奨されており、様々なサプリメントや食餌が開発されています。とりわけ、

  • ω3脂肪酸であるDHAEPA
  • ビタミンEC
  • L-カルニチン
  • α-リポ酸
  • 果物や野菜に含まれるフラボノイドポリフェノール

などが推奨されています。

薬物療法

痴呆やそれに付随する様々な症状や問題に対して使用される薬物もありますが、その効果は必ずしも保証されておらず、効き目にも個体差があり、体に負担がかかったり、効果の発現までに時間がかかったり、高価であったりします。専門的な話になりますので、必ず獣医師に相談してください。

認知症になったらケアは大変?

ピンクのパンツを穿いた犬

認知症になったら足腰が不自由になり、徘徊も始まります。更に進行すると寝たきりにもなります。そのため、適度な運動やリハビリをし、ときおり日光にも当ててあげ、褥瘡などにも気をつける必要があります。

温度管理や湿度管理も大事です。場合によってはオムツを使用する必要もあるでしょうから、オムツかぶれが起きないようにケアしてあげる必要もあります。そして、定期的に動物病院で身体のチェックをしてもらうといいと思います。

まだ認知症になっていないワンちゃんの飼い主様へ

ハイタッチをする男性とラブラドールレトリバー

職業柄、たくさんの認知症のワンちゃん、そしてその飼い主様と接してきました。ただ、ほとんどの場合、症状がひどくなって切羽詰まってからの来院になります。そうなってからだと、日々の介護も大変ですし、治療に対する反応も悪くなります。

予防的にまだ発症していないうちに、あるいはグレーゾーンを含めて症状が軽いうちに、様々な対応を始めてあげれば、発症しなかったり、ひどくなるのが先延ばしにできたりする可能性があります。

大事なことは日頃からワンちゃんをよく観察し、認知症の症状に早く気づいてあげて、かかりつけの獣医師に相談することです。まだ大丈夫などとは思わずに、できることから確実に対応してあげてください。

認知症が始まっているワンちゃんの飼い主様へ

人の手の上に置かれた犬の手

認知症は治りません。認知症のワンちゃんは体が丈夫なことが多いので、年単位で長く付き合っていかなくてはならないことも多いです。

介護が長期にわたると飼い主様の心身にも影響が出ます。休めるときはしっかりと休んで、もし可能であれば、一人で抱え込まずに家族や友人に話を聞いてもらうだけでも心が軽くなります。

また、動物病院で獣医師や看護士にも相談し、飼い主様にとってもワンちゃんにとっても最良の過ごし方を選択してあげてほしいと思います。

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