冬は犬に服を着せた方が良いの?
日本は、気温差が大きい国
日本の大部分は、「温暖湿潤気候」「冷帯湿潤気候」に属していて、四季がはっきりしている国です。
季節の移り変わりが楽しめる分、夏と冬の気温差が大きいという特徴があります。
人間なら服を脱いだり、着たりすることで気温差に対応できますし、汗をかいて体温を調節することもできます。
ところが、犬は気温差に対して自分自身で出来ることが少ししかありません。
犬種によって寒さへの耐性が異なる
現在、日本では日本で作出された犬種以外に、他の国で作出された犬種がたくさん飼われています。
被毛の生え方が二層構造になっている場合を「ダブルコート」いい、このタイプの被毛を持つ犬種は寒さに対する耐性が高く、一層のみの被毛の場合は「シングルコート」と言い、ダブルコートの犬と比較すると、必然的に寒さに弱いと言えるでしょう。
冬に犬に服を着せるメリット
防寒対策
人間も寒い外へ出かけるときに、コートやジャンパーを着て寒さをしのぎます。
被毛が生えていても、寒さを感じているなら服を着せてあげることが防寒対策になります。
汚れ防止
雪が積もっている地域や、雪解けで道路が濡れていたら、散歩に出るだけでかなり愛犬が濡れて、汚れてしまいます。
また、雪道を歩くと被毛に雪がくっついて、たくさんの雪玉ができて、あとの始末が大変です。
その点、服を着せていれば雪玉が被毛にくっついたり、泥水がはねて、足だけでなくお腹まで汚れたりするといった問題を防げます。
健康維持と愛犬のストレス解消
人間も犬も寒いと、どうしても動くのが億劫になり、運動不足になりがちです。
寒いからと言って、家の中でずっと過ごしていたら、愛犬のストレスも溜まります。
服を着せれば寒さを感じることなく、散歩に出かけて十分に運動させることができ、ストレス解消になります。
犬に服を着せるデメリット
体温調節ができにくくなる
寒いだろうからと、室内でもずっと服を着せたままだと、体温の調節機能を衰えさせてしまうことがあります。
ダブルコートの犬は、寒い時期には下毛が多く生え、暖かくなってくると少ない下毛しか持たないようにして気候に合わせた被毛を持とうとします。適切に服を脱ぎ着させなかったり常に空調の効いた空間にいたりすることで、この換毛がうまくできなくなっている犬もいるのだそうです。
体力が少なく体温調節機能が未熟な子犬やシニア犬では特に気温、室内の温度に気を配ってあげる必要はありますが、温かい室内でも服をずっと着させたりはせず、外出時のみ服を着る、室内で服を着る場合にも薄手の服に着替えさせるなど、調節をしてあげましょう。ただ、普段から服を着る練習をし「服を着ること」に慣れさせておくことは、服を着なければいけなくなった時にとても役に立ちます。
服の繊維と被毛が絡んで毛玉になる
服の素材によりますが、毛糸で編んだセーターなどを着せた場合、被毛と服の繊維が絡まってしまって、毛玉になることがあります。
また、長時間服を着ても被毛と被毛がこすれることが多くなり毛玉ができやすくなるかもしれません。特に脇の下などの毛が毛玉になりやすいので、こまめにチェックしましょう。
もし、頻繁に毛玉ができるようであれば、被毛を短めにカットしたり、絡まりにくいフリースやジャージ素材の服を着せてあげたりしましょう。
皮膚が蒸れやすい
散歩をしていると体温が上昇し、服の素材によっては通気性がなく、熱がこもって蒸れてしまうこともあるかもしれません。冬の散歩の時だけに服を着せるのであれば問題ないでしょうが、室内でも一日中服を着ていると皮膚が蒸れてしまいます。
もし、皮膚に何らかの問題がある場合は、蒸れない方がいいこともありますのでかかりつけの獣医さんに服を着せてよいかどうか、アドバイスを仰ぎましょう。逆に、皮膚に問題がある場合、服によって皮膚を守れるので積極的に服を着せたい場合もあります。
犬が寒さを感じているときの仕草
シングルコートの犬には絶対に服を着せる必要があり、ダブルコートなら服を着せる必要はない、と言い切れるわけではありません。
人間でも同じ体格をしていても、寒がりの人もいれば寒さが平気な人もいます。
愛犬が寒さを感じているかどうかを飼い主さんが見極めて、服を着せる必要があるかどうかを判断してあげましょう。
では、犬が寒さを感じているとき、どんな仕草を見せるのでしょうか。
- 外に出たがらない
- 肉球が冷え切っている
- ガタガタ震えている
- 水を飲む量が極端に減った
- 温かい場所から移動しない
- 丸くなっている
以上のような仕草を見せているときは、「寒い」と感じていることがあります。
冬に服を着せた方がいい犬の例4つ
イタリアングレーハウンド
通称「イタグレ」と呼ばれているイタリアングレーハウンドは、独特なフォルムをしている犬と言えます。
細長い顔、全く余分な肉のないシャープな体と、愛らしくつぶらな瞳が特徴的な犬種です。
ほとんど皮下脂肪がなく、被毛もとても短いので寒さに弱く、また、地域によっては耳も凍傷になりやすいので、冬の外出時には体の全てを覆うような服と、耳をカバーするスヌードがあると良いでしょう。
ミニチュアピンシャー
体が小さく、イタリアングレーハウンド同様、スムースヘアで肥満でなければ体脂肪も少ないため、冬場の外出には服が欠かせません。
また、体が小さい割に運動量を必要とするので、冬も散歩は欠かせないコがいるでしょう。
イタリアングレーハウンドのような全身を覆うタイプでなくても良いので、特に寒さが厳しい地域では、保温性の高い服を着せてあげましょう。
チワワ
たくさんの犬種の中でも、最も体の小さな犬種として知られています。
ロングコートであっても、ダブルコートだというワケでもなく、ダブルコートのコもいればシングルコートのコもいるようです。いずれにせよ、体のとても小さなチワワは体の大きさに対して体表面積が大きいですので、とても寒がりのコがいるようです。
シニア期の犬
シニア期になると、体温調整に関する生理機能も低下してきます。
それに加えて、温かい室内から急に外の冷たい空気に触れたら、心臓や血管に大きな負担が掛かり、ます。
そういった危険を避けるためにも、シニア期にさしかかったら、服を着せて外出するようにした方が良いかもしれません。
犬の冬服にオススメな素材3つ
ウール
ニット素材の防寒着は体にフィットして動きやすく、体からの熱を逃がさないという特徴があります。
特に化学繊維でなく、羊毛で作られた服は静電気が起こりにくく、湿度を調節してくれて、伸縮性もあるので、着脱もしやすいという利点があります。
ダウン
表面はナイロン生地で、中身がダウンで作られているパーカーやベストは、軽くて動きやすく防寒にも優れています。品質によってかなり値段にばらつきがあります。
フリース
手触りも良く伸縮性もあるので、着脱もしやすく値段も安く、洗濯もできる便利な素材です。
ですが、化学繊維であるため、静電気が起こりやすいです。空気が乾燥していると特に静電気が起こりやすくなりますが、静電気のせいで愛犬が嫌がる場合には違う素材の服を選びましょう。フリースだけではなく、静電気防止加工をされた素材を使った服もあります。
まとめ
冬に愛犬に服を着せるのは、ただ可愛らしく装うためではなく、愛犬の健康を守り、快適に暮らすための工夫です。
「うちの犬はダブルコートだから寒くないはず」と思い込まずに、愛犬の様子や肉球の温度などから「寒がっているかどうか」をよく観察した上で、服を着せるかどうかの判断をしてあげましょう。
また、犬が嫌がらないかどうかも大事なことです。健康上問題がなく犬自身が服を着るのを嫌がるようであれば、無理やり着せることはないでしょう。ただ、年を取って防寒のために服を着せたい時や万が一の病気や手術で術後服や介護服を着なければいけない時に備えて、犬自身が服を着るのが好きではなくても、若い時から服を着ることに慣れさせておくことは良いことだと思います。
ご自身と愛犬の生活環境や性格、体の特徴などから最適な素材の冬服を選んであげてくださいね。
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