狩猟犬「視覚ハウンド」とは?飼い方から特徴・歴史・気質を解説

狩猟犬「視覚ハウンド」とは?飼い方から特徴・歴史・気質を解説

「視覚ハウンド」とは、狩猟犬としてのルーツを持つ特別な犬として分類されている犬種のことで、別名「サイトハウンド」とも呼ばれています。今回は、どんな犬種が「視覚ハウンド」として分類されているのか、その身体的特徴や気質、視覚ハウンドのグループに属している犬種を家族として迎え入れる時には、どんな注意が必要かなどについて、ご紹介したいと思います!

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狩猟犬「視覚ハウンド」とは

草原を走るサルーキ

視覚ハウンドとは?

「ハウンド」と言う名称が付いている犬種は、獲物を追いかけ、捕らえるという狩りをするために飼育され、より優れた個体を産出するために品種改良されてきた犬種です。
その中でも、特に視力が優れていて、獲物を追うために素早く走れる能力を持つ犬種が「視覚ハウンド」として分類されます。

視覚ハウンドに分類されている犬種 

日本には、一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)という国際的愛犬団体があります。
JKCは、純粋犬種の犬籍登録、有能・優良犬の普及、畜犬の飼育の指導奨励、動物愛護精神の高揚のために活動しています。
そのJKCは、約200犬種を純血種として登録していて、生存目的や体の特徴や歴史的な用途によって、10のグループに分類しています。
その中で、10種類の犬種が視覚ハウンドのグループとして分類されています。

  • アフガンハウンド
  • アイリッシュウルフハウンド
  • アフガンハウンド
  • イタリアングレーハウンド
  • ウィペット
  • グレーハウンド
  • サルーキ
  • スパニッシュグレーハウンド
  • スルーギ
  • ディアハウンド
  • ボルゾイ

視覚ハウンドの特徴

草むらに座るボルゾイ

足が長い

品種改良で足を長くしたのではなく、野生で生きていた時代の姿と能力を維持した、すらりと長い足をしています。

体脂肪が少ない

空気抵抗のない流線形のフォルムをした体形です。

顔が細長いため視界が広い

視覚ハウンドとして分類されている犬は、目が顔の横についています。
さらに顔全体が細いため、通常の犬の視界は200~250度と言われているのに対して視界ハウンドは270度近く見えると言われています。

視覚ハウンドの歴史

砂浜を走る二匹の茶色い犬

歴史①狩猟犬として最も古い歴史を持つ

「狩猟犬」と言っても、全てが獲物を追い駆け、犬自身が獲物を捕らえるワケではありません。
例えば、「ガン・ドック」と言われるタイプの狩猟犬は飼い主に獲物の位置を知らせたり、飼い主が狙いやすいように獲物を追い詰めたり、あるいは飼い主が仕留めた獲物を回収したりと言った仕事をします。
これらは、人間が「銃」や「弓矢」と言った狩猟のための道具を使い始めたことからガン・ドックの歴史が始まります。

それに対して、視覚ハウンドを使っての狩猟は、犬が自分の目で獲物を見つけ、自分の意志、自分の足で獲物を追い駆け、獲物の命を奪うのも犬が自分自身の牙で行います。
つまり、ほとんど野生の猛獣と変わらない狩りの仕方をする犬を人間が利用した狩猟の方法は、銃などの狩猟道具がなく、狩りに馬を使うと言った機動力もない時代から行われていたのです。

歴史②「神様からの贈物」と言われている

日本ではあまり見かけない犬種ですが、視覚ハウンドとして分類されている犬種の中にサルーキという犬種がいます。
このサルーキは、コーラン(イスラム教の聖典)の中で、「サルーキは犬ではない。彼らは私たちの必要と喜びのためにアラーがお恵みくださった贈物」と書かれているそうです。

それほど、イスラム教圏では、サルーキを敬い、尊ぶ気持ちが強かったと言えます。
現在でも、アラブ圏の富裕層の男性は、サルーキで狩りをし、競馬の馬主のようにドックレースでサルーキを走らせることをステイタスとしているのだとか。
レースに出る前には、アラーの神に祈りを捧げてから出走させることもあるそうです。

歴史③ノアの箱舟に乗っていた

地面につくほど長く美しい被毛を持つアフガンハウンドは、現存する最古の犬種と言われています。
紀元前4000年ころのアフガンハウンドの壁画には、アフガンハウンドらしき犬が描かれており、そのため「ノアの箱舟に乗った犬」という伝説すらあります。

視覚ハウンドの気質と注意点

草原に立つアフガンハウンド

「オン」と「オフ」がはっきりしている

視覚ハウンドは、他の犬種よりもかなりたくさんの運動量を必要とします。
それは、体を健康に保つだけでなく、本能的に「全力で走り回りたい」「何かを追い駆けたい」という本能が強いため、その欲求を叶えなければストレスを貯めてしまいます。

けれども、そういった本能的な欲求に応えて、満足いく運動さえ与えていれば、家の中で静かに過ごすことができます。
外へ出たら思う存分走る、でもそれ以外の場所では休憩して体力を温存しておく…と言ったように、オンとオフがはっきりしているのも、視覚ハウンドならではの気質です。

人間への依存心が少ない

視覚ハウンドは、人間の命令に忠実に動いて狩りをする、と言うスタイルでなく、あくまで犬の自主性に任せた狩りを得意として改良されてきた経緯があります。
そのため、犬としての自我と個性をしっかりと持ち、人間への依存心は少なく、人に対しての無駄吠えも少ないと言われています。
それでも依存心が少ないとはいえ、家族が大好きなので、家族には奥ゆかしくこっそり愛情表現をするようです。

呼び戻しなどのトレーニングが入りにくい

ガンドッグのように飼い主の声に忠実という犬ではなので、一般に呼び戻しのトレーニングは難しいとされています。

獣相手に闘争心に火が付きやすい

作出され、改良されてきた経緯からして、いまだに何かを追い駆けて、捕まえ、捕食したい、という本能が色濃く残っている場合があります。
例えば、ドッグランなどで自分よりも小さな犬が走り回っていたら、それを追わずにはいられなくなってしまい、抵抗されたら攻撃のスイッチが入ってしまうという可能性も大いにあります。

日常的に膨大な運動量を必要とする

視覚ハウンドは、もともと野生の犬を猟犬として飼育してきた歴史を持ち、さらにあまり日Tの手で改良されていないため、犬としての本能が強く残っています。
そのため、体の大きさに関わらず、膨大な運動量を必要とします。
具体的には、一日一回1時間~2時間の散歩と、30分ほど全力疾走できる環境が望ましいと言われています。

まとめ

走る二匹のイタリアングレーハウンド

もと狩猟犬というルーツを持っていても、現在は家庭犬やショードックとして視覚ハウンドである犬種を愛好し、家族として一緒に暮らしている飼い主さんもたくさんいます。
視覚ハウンドは躾にしても、飼育環境にしても簡単に飼育できる犬種ではないけれど、それでも飼いたいと思わせるほど魅力的な犬なのでしょう。

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