犬にもビタミンは重要な栄養素!必要量や不足時の危険性まで

犬にもビタミンは重要な栄養素!必要量や不足時の危険性まで

ビタミンは犬にとって重要な栄養素となります。ビタミンが不足してしまうと体にどのような危険があるのでしょうか。また、一日に必要な量はどのくらい?ビタミンについて分かりやすくお伝えしていきます。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬にとって重要な栄養素ビタミンの主な効果

ドッグフードを食べる犬

脂溶性のビタミンと水溶性のビタミン

犬や私たち人間に重要な栄養素ビタミンは大きく分けて『脂溶性のビタミン』『水溶性のビタミン』の2種類あります。脂溶性のビタミンは、ビタミンA、D、E、Kの4種類とされています。

脂溶性のビタミンは、体内にある脂肪に溶け込むことで肝臓などの脂肪組織に蓄積されることになります。蓄積されたビタミンは健康な体を作るための栄養として少しずつ使われていくことになります。もし、何日かビタミンが不足したとしても、溜めてあるビタミンを使って体の機能を維持することができます。

対して水溶性のビタミンにはビタミンB群やCがあります。水溶性のビタミンは必要な量よりも多く摂取した場合、体内から排出されてしまいます。ですので、基本的に過剰摂取してもあまり問題がないとされています。しかし、ビタミンCはサプリメントなどで継続的に過剰摂取していると、腎結石やカルシウム尿石症になってしまうこともあるようなので気をつけなければいけません。また脂溶性のビタミンと比べると体内に蓄積されにくいので、毎日の栄養摂取が大切となることでしょう。

それでは、ビタミンのそれぞれの主な役割や効果をかんたんにお伝えしていきますね。

ビタミンA

皮膚や粘膜を健康な状態に保ち、細菌から体を守る効果があるビタミンA。発育促進の効果があったり、暗い場所で目が見えやすくなるための機能にも関係しています。

ビタミンC

犬の皮膚や粘膜を健康に保つために必要な栄養素といえます。また、体内の細胞同士を結ぶために必要なコラーゲンをつくるために必要不可欠なものでもありますよ。その他にも抗酸化作用があったり鉄の吸収を手助けしたりと色々な効果があります。

ビタミンD

ビタミンDはカルシウムやリンの吸収に大きく関わる栄養素です。丈夫な骨をつくるために不可欠で血液中のカルシウムの濃度を保つために役立っていたりもします。

ビタミンE

抗酸化作用があるビタミンEは、体内の酸化を防ぐために欠かせない栄養素となります。脂質や細胞膜、コレステロールなどの酸化を防ぐことで、老化や動脈硬化などを予防することができるといわれています。ビタミンEには食品の「風味の劣化」「変色」「栄養価の低下」などを防ぐ作用があります。

ビタミンK

ビタミンKは出血した際、血液を固めるのに必要なものとして知られています。また、骨を形作る役割があったり血管の健康にも大きく関わっていたりします。

ビタミンB1

糖質からエネルギーをつくるために欠かせない栄養素となります。皮膚や粘膜を健康に保つためにも必要とされます。末梢神経や中枢神経に影響を与えるものでもあります。

ビタミンB2

体内で三大栄養素をエネルギーに変えるための重要な栄養素となります。他にも皮膚を正常に保つために働いたり、酵素の働きを助ける役割もあるようですよ。

ビタミンB6

ビタミンB6は主にタンパク質をエネルギーに変えたり神経系に影響のある栄養素となります。体内でアミノ酸の効果をUPさせるために必要なものだったりもしますよ。また、皮膚や粘膜の健康状態を維持するためにも欠かせないものとなります。

ナイアシン(ビタミンB3)

主に酵素を手助けするための栄養素となるようです。それ以外にもエレルギーをつくるために不可欠です。ナイアシンが不足すると、倦怠感や消化器症状、皮膚の痛みなどを代表とする「ペラグラ」という疾患に落ちいるといわれています。

パントテン酸(ビタミンB5)

パントテン酸はタンパク質や糖質、脂質からエネルギーを作ったり合成するために欠かせない栄養素です。免疫抗体やホルモンにも関係していて、皮膚や粘膜などの状態を正常なものにするために必要なものともいえます。

葉酸(ビタミンB9)

主に血液関係に影響を与えるビタミンとなります。赤血球の細胞をつくるために役立ったりDNAやアミノ酸が合成されるときに必要な栄養素としても知られています。

ビタミンB12

葉酸と一緒に赤血球をつくるために必要なビタミンです。その他には、神経の働きを正常に保つための役割もあるそうです。また、養蚕と協力してヘモグロビンの生成を助けています。

ビタミンの1日当たりの必要量

計算をする犬

必要量の計算の仕方

下記の数値は体重1Kgあたりに必要な量となります。例えば、愛犬が5Kgの場合は必要量×5で計算してください。そうすることで愛犬の体重にあった1日のおよその必要量がわかりますよ。

1日に必要な量を詳しく導き出すためには個別に年齢や体格、一日に必要なカロリー(エネルギー)などを使って細かく調べることが必要となりますので、この数値はあくまでもおおまかな基準としてみてください。もし、愛犬に持病がある場合や、細かく必要な摂取量を知りたいと思う場合は獣医に相談するようにしましょう。ちなみに、子犬は成犬の約2倍の量の栄養が必要となるみたいですよ。

  • ビタミンA 成犬 2.75μg
  • ビタミンD 成犬 0.27μg
  • ビタミンE 成犬 0.03μg
  • ビタミンK 成犬 0.033mg
  • ビタミンB1 成犬 0.024mg
  • ビタミンB2 成犬 0.048mg
  • ビタミンB6 成犬 0.025mg
  • ナイアシン 成犬 0.3mg
  • パントテン酸 成犬 0.22mg
  • 葉酸 成犬 4μg
  • ビタミンB12 成犬 1.1μg
  • ビタミンC
    小型犬 500mg
    中型犬 2000mg
    大型犬 3000mg

ビタミンが不足すると起こる危険性

診察を受ける犬

体の疲れが長引く

ビタミンはエネルギーの代謝に大きく関わっていて、何日もビタミンが不足していると必要なエネルギーが効率良く作れなくなってしまいます。エネルギーが不足してしまうと体内のさまざまな機能が低下してしまい、結果として疲労しやすくなったり疲れがなかなか取れなくなってしまうといえるでしょう。

皮膚のトラブルがおこりやすい

ビタミンA、B、Cが不足していると主に皮膚や被毛、目に悪影響がでやすくなります。ですので、それらのビタミンが長期間不足していると、目に見えて愛犬の被毛の質が悪くなったり皮膚にトラブルがおこっているのを確認できると思います。

『夜盲症』といわれる病気は、ビタミンAが不足することでおこる病気としても知られています。ちなみに、夜盲症とは夜や暗い場所にいるときに視力が極端に落ちて目が見えにくくなる症状です。

病気になる

ビタミンが不足することで食欲がなくなったり、貧血や嘔吐などの症状が出始めます。また、ビタミンが不足している状態が続くと、大きな病気の原因となることも。例えば、ビタミンEが不足すると肝臓の病気になったり、ビタミンDが不足すれば骨折や骨粗しょう症などの病気になることもあります。また、ビタミンKが不足してしまうと出血したときに、血が止まりにくくなるなどの血に関わる問題が起こってしまいます。

逆に取り過ぎてもいけない

水溶性のビタミン(BやC)は取り過ぎてもオシッコなどで体内に排出されるためあまり問題がないのですが、脂溶性のビタミン(A、D、E、K)を過剰摂取していると体に中毒症状が出たりさまざまな悪影響を与えてしまいます。

分かりやすい症状として下痢や嘔吐、めまいなどが起こりやすくなります。状態が悪化すると病気になってしまったり、命を亡くしてしまうこともあるそうです。

まとめ

犬と食材

犬にとってもビタミンは体に必要不可欠な栄養素となります。不足しても過剰にとりすぎても体に悪影響を与えてしまいますので、愛犬に適した量を知ることが大切といえそうですね。

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