ネットの情報だけで犬の病状を判断する危険性について

【獣医師監修】ネットの情報だけで犬の病状を判断する危険性について

近年、動物の医療、病状、投薬方法や処方量などもネットで調べれば簡単に詳細な情報を得られるようになりました。難病や珍しい病気で症例が少ないケースでは、実体験に基づく情報は、とても有り難いものです。ネット情報の活用は、簡単でとても便利ですが頼りすぎや過信によって愛犬を危険にさらしてしまう飼い主さんが増えています。今回は、ネットの情報に頼り過ぎてしまう危険性と獣医師による診断と投薬スケジュールの重要性をご紹介します。

はてな
Pocket
お気に入り登録
SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

ネット情報の活用方法と注意ポイント

パソコンで調べ物をする人

愛犬の様子がおかしいなと感じるときや、これって病気なのかな?と不安になったとき、インターネットで簡単に症状から、可能性のある病気を検索することができます。また保険会社などでは24時間いつでもチャットや電話で、直接獣医師に相談できるサービスなどもあります。

その他フードの成分表や体調に合わせた手作りご飯のレシピなども検索でき、ペット用品やグッズ、手作りの介護グッズや代替品の活用方法なども検索できとても便利ですが、有益な情報ばかりとは限らないため注意が必要です。

ネットの情報が有益となるケース

1、病院を受診した方が良いのか?の判断に役立てる
2、症例数が少ない病気のデータや治療経過などを知るために役立てる
3、治療内容に不安があるときにセカンドオピニオンを選択するかの判断に役立てる
4、飼い主さん同士の情報交換やアドバイスなどを得る
5、薬の成分や、飲み合わせ副作用について調べる
6、これから起こりうる状況を事前に把握して準備に役立てる
7、病院でうけた説明で分からない言葉があり意味を調べる …など

ネットの情報が悪影響となるケース

1、病院に行かずに自己診断をつける
2、投薬中の薬を、ネット情報をもとにやめたり、投薬量を変更したりする
3、検査や診断を受けずにネット情報をもとに症状だけで輸入薬を投薬する
4、ネット情報に振り回されて主治医が決まらない
5、医学的、科学的に証明されていない不確かな情報で投薬や治療を中断する
6、飼い主さん同士で、誹謗中傷をしあう
7、症状だけで病名を決めつけてしまう  …など

情報の活用方法次第で、有益にも悪影響にもなりうる情報は、利用する飼い主さんが正しい行動に結び付けられる判断力が必要です。

ネット検索や飼い主診断の治療、投薬の危険性

病院で獣医師に診察される犬

溢れる情報を精査して、正しく有益な情報を得ることは飼い主として大切なことです。病気の治療を始めるときに、獣医師から病状や薬の内容、治療方針や起こりうる症状や対処方法など詳しく説明を受けることができます。

全く病気について無知の状態で説明を受けるのと、少しでも病気に対して正しい知識を得てから説明を受けるのでは、理解できる内容にも差が出ます。また今後の備えや病気の進行に合わせて獣医師と協力しながら向き合っていくためには、必要な情報を得て知識を増やし、備えや覚悟をもつことも大切です。

獣医師と話をするときも病状を理解していれば、こんなときはどうしたら良いか?という具体例を出して質問することもできます。愛犬の症状や投薬中の薬の内容や名前、既往症などをかかりつけ以外の獣医師に説明するときにも、正しい理解があって正確に伝えられる情報は万が一のときに愛犬を救う大きな鍵になることもあります。

ですがネットなどで調べた情報をもとに、愛犬の病名を特定し治療薬を購入して投薬を開始してしまう飼い主さんが多くいます。かかりつけ医によって投薬スケジュールを指示されても、ネットで調べたら別の投薬スケジュールを発見したといって、自己判断で投薬量を変更したり、投薬を中止したりしてしまう飼い主さんもとても多いのです。

並行輸入の動物薬や、人薬を愛犬の体重や症状だけで投薬するのはとても危険なことです。

獣医師による処方薬とは

  • 全身状態を把握して、薬の種類と量を判断して処方される
  • 年齢や体重、食事内容や症状に合わせて投薬スケジュールを決めている
  • 副作用や飲み合わせ、投薬時間などによって作用が変わる薬を組み合わせている
  • 投薬後の反応を把握しながら、体に一番負担がなく効果が高い薬を処方している

このように獣医師による薬の処方には、薬と薬の相性や体質、副作用、服薬のスケジュールや薬の効果などが総合的に考えられ処方されています。

飼い主による投薬とは

  • 人薬として定められた体重をもとに量を決めたり、子供(人)の容量を投薬したりする
  • 1つの症状だけで判断して薬を決めている
  • 飲み合わせや副作用について正しい知識がない
  • 副作用が出たときに対処できない
  • 適切な投薬期間が分からない
  • 目に見える症状がおさまっても、検査をしなければ完治しているかが分からない …など

薬はどんな薬であっても、気軽に飲ませてよいものではありません。体と症状に合う薬を使わなければ、治療の効果がないだけでなく、重大な症状を引き起こしかねないものなのです。獣医師以外の人が、自己判断で投薬治療を行うのはとても危険です。

投薬スケジュールの重要性

一度投薬を始めたら生涯、投薬を続けることになる薬(症状により異なる)

  • 心臓病薬
  • 降圧剤
  • インシュリン
  • 抗てんかん薬
  • フィラリア予防薬 …など

症状がおさまっても定められた期間服薬する薬

  • 抗生物質
  • 抗炎症薬
  • 整腸剤
  • 抗菌薬
  • 外用薬 …など

症状があるときや経過や体調に合わせて一時的、又は継続的に使う薬

  • アレルギー薬
  • ステロイド
  • 利尿剤
  • ホルモン剤
  • サプリメント
  • 外用薬 …など

薬を処方されるときに獣医師から飲み方と期間の説明を受けます。特に長期投薬になる薬を飲み始めるときには、やめてしまったら悪影響になるので継続してもらうことの重要性について説明をうけます。

長期投薬になる場合には完治ではなく、病状のコントロールのための服薬になるので正しい用量で継続していくことが最も効果的な継続治療になります。

服薬のスケジュールが乱れると愛犬に負担がかかる

特に心臓病薬や抗てんかん薬などは、完治のための服薬ではなく病気による症状をコントロールし、できるだけ体に負担をかけないように上手に付き合っていくことが役割です。

強心剤は服薬中はとても調子がよく、治ったのではないか?元気になっから薬は必要ないのではないか?と、飼い主さんの独断で継続服薬を打ち切られてしまうケースが多くあります。それまで薬でコントロールできていた体内の血流循環が滞り、一気に心不全の症状が出てしまいます。

途中で投薬を打ち切る判断は飼い主さんの自由です。ですが投薬を再開しても、投薬を始めたころの状態に戻せるわけではないということを十分理解する必要があります。心不全などの循環機能に関わる病気は、慢性疾患といって移植以外に完治させる治療法がない病気です。つまり投薬を続けていても、少しずつではありますが病気は進行していきます。

そのため一度投薬を中断して、具合が悪くなったからといって投薬を再開しても、一番初めに投薬を始めたころの状態に戻れるわけではないのです。また投薬を中断して悪化してしまった状態が、投薬を再開しても期待した効果がでないこともあります。それどころか乱れたスケジュールでの投薬で、愛犬の体の負担はとても大きくなるのです。

てんかん薬なども、投薬で発作の頻度をコントロールします。大量に薬を飲んでいれば発作が起きないから良い、というものではなく、体への負担を最小限にしながら服薬でコントロールできる容量を処方しているのです。

お薬を飲んでいるのに治らない、といって複数の病院から同薬を処方してもらい、飼い主さんがネットで調べた情報で投薬量を増やし、投薬をやめるケースが多くあります。そして無理な投薬を続け、症状が悪化させてから治療を再開するも、また同じことを繰り返してしまう飼い主さんがとても多いのです。

完治のための投薬なのか、コントロールのための投薬なのか?またどうして継続的な投薬が必要なのか?を正しく理解して、投薬スケジュールを独断で打ち切るような危険な判断をしないでほしいと思います。

監修獣医師による補足

インターネット上には医薬品や動物用医薬品が安く販売されています。本来このような医薬品は獣医師が処方し、適切な量を適切な期間投与すべきものです。どうせ同じ薬を継続で飲むならば安いほうがよいと考える方もいらっしゃいますが、間違いです。変えなければいけないタイミング、やめなければいけないタイミングであるにもかかわらず飲み続けると健康被害を引き起こす可能性もあります。前と同じ症状だからこの薬でいいだろうと安易に投与するのも危険です。症状が同じでも、原因が違う場合もあります。自分のペット以外にこの薬がよく聞いたよとあげる、もらったなども時々耳にしますが、非常に危険な行為です。薬は動物病院で処方してもらうのが一番安全です。

獣医師:平松育子

並行輸入薬と病院処方薬の違い

錠剤の薬を見つめる犬

個人で並行輸入薬を購入して、愛犬へ投薬している飼い主さんも多くいます。特にフィラリア予防薬や、ノミダニ予防薬は体重に応じた容量が明確で、投薬スケジュールも月に1度と決められていますので、個人購入した方がコストも通院時間もかけずに予防ができます。

また数か月~年単位で投薬が必要な薬も、並行輸入で動物病院で処方されるのと同じ薬があれば、手間がかからない個人購入に切り替える飼い主さんもいます。どちらも、獣医師による処方ではないので万が一副作用などがあっても【自己責任】ということになります。

また病状の進行度合いや経過を獣医師による診断を受けずに投薬だけを続けている場合、時間と経過で薬が合わないことや効果が下がってくることもあります。

並行輸入薬を使用する場合にも【獣医師の指示で投薬してください】と注意書きがあり、並行輸入薬を使用したい場合にも、現在の薬の容量は正しいのか?病気の進行具合、現状の診断は定期的に受けることをお勧めします。

継続投薬が必要な場合には具合が悪くなったときだけ診察を受けるのではなく、定期的にかかりつけの獣医師の診察を受けて薬の容量についても相談しましょう。病院で薬をもらうとなると、薬代だけではなく、以下、その他の費用もかかります。

  • 再診料や診察料
  • 処方料
  • 検査費用 など

気軽に薬代のみで、必要な薬を手に入れられるのはとても便利です。並行輸入薬を使用していても、しっかりと定期検査を受けていれば、かかりつけ医も病状の把握ができ、進行度合いによって薬の健康や容量の変更なども正しく判断してもらえます。

※フィラリア予防薬については、年に一度のフィラリア原虫検査を受けてから4月~12月(地域差有)に投薬します。通年投与の場合には検査をしない飼い主さんもいますが、並行輸入薬での予防であっても、年に1度の検査だけは動物病院でしましょう。

また体重の増減があった場合には必要量が変わりますので、体重測定も定期的にするようにしましょう。動物病院にて診察を受ければ、投薬に必要な情報を得られます。

  • 体重測定
  • 触診
  • 検温
  • 現症の有無
  • 血液検査 など

個人購入した薬を投薬する場合には、これらの情報が得られませんので、すべて自己管理、自己判断、自己責任となりハイリスクです。

薬には決められたスケジュールで症状や体重に合わせて、投薬をすると得られる効果としてデータがあります。ですから病気や症状の把握をしないまま、正しい用量の投薬をせずに症状が悪化し、重大な症状が出たりしても、投薬によるものなのか?他の病気によるものなのか?正しい判断や診断ができないケースもあります。

大切な愛犬の健康管理には、まずは信頼できる獣医師との連携が欠かせません。薬の購入や継続については、獣医師からしっかりと説明を受け、相談し、できるだけリスクがかからないように、飼い主さんの希望に添う形を見つけてほしいと思います。

まとめ

人の手の上に置かれた犬の手

愛犬の具合が悪く診察を受けるときに、【ネットで調べたら○○という病気だと書いてあった】、【ネットに○○という薬が必要だと書いてあった】、とおっしゃる飼い主さんがとても多いです。

確かに飼い主さんが調べてくださった病名で、治療薬もその通りでしたというケースもあります。また、よく調べて勉強していらっしゃる飼い主さんは、質問も具体的で不安を上手に解消するよう整理して病気と向き合ってくださいます。

溢れる情報の中には、不正確なものから貴重な情報まで膨大な量です。1つの情報から全てを判断することはできませんし、レアケースの情報には振り回されてしまうこともあります。

実際に触診して飼い主さんへ問診し、得られた情報やこれまでの経緯、性格、体質などを把握しているかかりつけ医の診断と処方は、多くの場合、どんなネットの情報よりも正確で信頼性が高いです。

ですが、かかりつけ医に出会えていない方、診断に不安ある方も多くいます。まずは、正しい情報を見極めてネットに溢れる情報を有効活用してほしいと思います。

はてな
Pocket

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 匿名

    小型犬を初めて飼い始めたばかりの頃の体験です。チワワを飼うのが初めてで、飼い方の本を読みながらの飼育でした。確か、10年くらい前です。私は20歳になったばかりでした。チワワが1歳になってすぐ、風邪をひいてしまったみたいで鼻水がずっと出たままの状態が何日か続きました。その時点ですぐに病院に行けば良かったんですが、元気で食欲もあるので様子を見ようって事になり取り敢えず人間用の風邪薬を1錠飲ませました。今考えれば、2キロしかないチワワに人間用の風邪薬1錠は効きすぎてしまい症状が悪化してしまいます。当時の私はそんな当たり前な知識もなく、大丈夫だろう、すぐ治るだろうとゆう軽い気持ちでした。案の定だんだん元気がなくなり、食欲もなくなり動けなくなってしまい一週間後には亡くなってしまいました。小さい小さい体で、痙攣を起こし見るに堪えない状態で亡くなりました。もし私が軽い気持ちで風邪薬をあげていなければ、まだ生きていたと思います。皆さんに同じ経験をしてほしくなくて、今回コメントをしました。あの当時を思い出すと、今でも涙が出ます。
はてな
Pocket
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい

あなたが知っている情報をぜひ教えてください!

※他の飼い主さんの参考になるよう、この記事のテーマに沿った書き込みをお願いいたします。

年齢を選択
性別を選択
写真を付ける
書き込みに関する注意点
この書き込み機能は「他の犬の飼い主さんの為にもなる情報や体験談等をみんなで共有し、犬と人の生活をより豊かにしていく」ために作られた機能です。従って、下記の内容にあたる悪質と捉えられる文章を投稿した際は、投稿の削除や該当する箇所の削除、又はブロック処理をさせていただきます。予めご了承の上、節度ある書き込みをお願い致します。

・過度と捉えられる批判的な書き込み
・誹謗中傷にあたる過度な書き込み
・ライター個人を誹謗中傷するような書き込み
・荒らし行為
・宣伝行為
・その他悪質と捉えられる全ての行為

※android版アプリは画像の投稿に対応しておりません。