保護犬を育てるには「過去」を考えた接し方が大切です

保護犬を育てるには「過去」を考えた接し方が大切です

最近では保護犬を引き取り育てるという人も少しずつ増えてきています。さまざまな過去を持つ保護犬を育てるにはどのようなことに気をつけて接し、向き合っていけばいいのでしょうか?

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保護犬とは?抱えがちな問題について

人の手に対して歯を剥く犬

そもそも保護犬とは、飼育放棄や虐待、迷子などによって飼い主を失ってしまった犬のこと。
飼い主を失った犬が、行政の動物愛護センター(動物保護センター)や、ボランティア団体によって保護されたときにそう呼ばれます。

日本全国で毎年10万頭近くの犬が保護され、その7~8割が引き取り手なく、殺処分されてしまいます。
そうした現実がメディアで取り上げられたり、行政などによって啓蒙活動が行われるようになったりしたことで、そうした現実が徐々に世間に知られるようになって、「保護犬を飼う」という選択肢があるということも、最近では少しずつ広まってきています。
特に近年では東日本大震災などで飼い主や行き場を失った犬が増えたことから、その動向にも注目が集まり、保護犬の引取りを検討、希望する人も増えてきたと言われています。

しかし保護犬の多くは虐待や事故、飼い主の喪失など様々な過去を持っており、それがトラウマになってしまっていることが少なくありません。
トラウマによって人間不信になっていたり、物音を極端に怖がったり、人と離れることができない分離不安症になっていたりと、精神的な不安定さを持っている犬が多く見られます。

保護犬を引き取る方法

金網越しの2頭の犬

保護犬を引き取る方法は主にふたつです。

センターから犬を引き取る

ひとつは各都道府県に設置されている動物愛護センター(動物保護センター)から、犬を引き取るという方法。
動物愛護センター(動物保護センター)では、保護をして一定期間が経ち飼い主があらわれない犬を譲渡する仕組みがあります。

保護犬の中でも、人に対して危害をくわえるような攻撃性を持たず、新しい家庭になじむことができそうな犬など、譲渡に適した犬であるかを見極めたり、譲渡対象になるためのしつけを行ってから譲渡を行ったりするなど、各センターによって異なりますが、様々な取り組みが行われています。
飼い主募集中の犬は、動物愛護センター(動物保護センター)のホームページなどに掲載されていることもありますし、引取り前にはセンターが開催する「譲渡会」や、「飼い主になるための講座」などに参加をすることが必要になることもあるので、ぜひ確認してみてください。

ボランティア団体から引き取る

保護犬を引き取るためのもうひとつの方法は、動物保護活動を行っているボランティア団体から引き取るというものです。
ボランティア団体の中には、各地域の行政から委託を受けている団体やNPO法人として、保護施設を所有しているもの、個人的に自宅で行っているものなど、規模も考え方もそれぞれ異なります。
そのため、保護犬を引き取りたいと思ったときも施設を見学したり、動物病院や公園などで行われる譲渡会に参加したり、個人宅に伺ったりと、その方法も様々なので近所にある団体や気になる犬がいる団体について、ぜひ調べてみてください。

保護犬と接するときに注意すべきこと

部屋の隅に向かって座るジャックラッセルテリア

審査が厳しい理由

保護犬を行政から引き取るにしても、ボランティア団体から引き取るにしても、新しい飼い主となる人に対しては、様々な質問が行われると思います。
家族構成はもちろん、これまでの犬の飼育歴や現在の仕事、留守番時間、家の間取り、周辺環境など、かなり細かなことを聞かれる場合もあるでしょう。
これに気を悪くする人もいるようですが、保護犬を守るためには非常に重要なことなのです。

保護犬はこれまで、人に傷つけられたり裏切られたり、つらい過去を持つ犬が少なくありません。そういった犬の新しい飼い主、家族となる人が本当に信頼できる人であるかということや、犬が暮らす上で問題のない環境であるかなどを確認するために、どうしてもあらゆる質問で確認をしなくてはならないのです。
そうした審査の上、譲渡を断られてしまうこともあると思いますが、それは保護犬のことを考えてのこと。
特に過去に譲渡した先でまた、飼育放棄や虐待をされてしまった犬などがいる団体では、審査が厳しくなる傾向にあります。

保護犬を引き取る際に最も重要なこと

保護犬を引き取り育てるために最も重要なのは、その犬もまた傷つけてしまわないということ。
当たり前のことのようですが、現実には譲渡先でまたつらい思いをしてしまうことになった犬も、少なくないのです。
保護犬の持つ過去がどのようなものなのか、何を怖がり、何に不安を感じるのかということをまずはしっかりと把握することが大切です。

その上で犬の気持ちに寄り添い、無理強いをさせることなく犬のペースにある程度合わせてあげることで犬は新しい飼い主を信頼し、心を許すようになってくるでしょう。
そしてもうひとつ大切なのが、楽しく笑顔で犬と接すること。

犬は大らかで明るい雰囲気を持つ人が大好きです。
そのような人といると安心するのです。
犬の気持ちに寄り添いつつ、あまり腫れ物に触れるような扱いをしすぎないように、楽しい時間を共有していけるといいですね。

<まとめ>保護犬を育てるためには

女性に体を預ける白い犬の後ろ姿

保護犬を育てるというと、とても難しく大変なことを考えられがちですが、決してそんなことはありません。
もちろん保護犬が抱える過去や、そのトラウマについてしっかりと理解をし、気持ちに寄り添った関わり方をすることが大切ですが、犬の気持ちを考えて寄り添うということは、保護犬でなくてもとても大切なことだからです。

過去にあったことを踏まえた上で、それでも過去にとらわれすぎず、今の犬の様子をしっかりと見ることが大切です。
「かわいそうな犬」として甘やかしすぎるのではなく、気持ちに理解を示して犬のペースに合わせてあげながら必要なしつけは行い、信頼関係を築いていければきっと引き取られた犬も幸せになれるはずです。

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