犬は炭水化物を消化しづらいって本当?

【獣医師監修】犬は炭水化物を消化しづらいって本当?

犬の食事や健康に興味のある人なら「犬は炭水化物を消化できない」といった話を聞いたことがあるのではないでしょうか?それはどうしてなのか、そして本当に犬は炭水化物を消化できないのか詳しく解説していきたいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬は炭水化物を消化できないと言われる理由

米や芋などの炭水化物

約15年ほど前から犬の手作り食に注目が集まり、犬の健康のためにいい食事とはどのようなものなのかということが考えられるようになってきました。
それまでは、ドッグフードが犬の食事の主流とされてきましたが、犬のアレルギーや消化器系の不調などが多く見られるようになってきたことなどから、ドッグフードに関する疑問や不安なども生まれてきました。

そんな中でよく聞かれたのが「犬は炭水化物を消化できない」という説です。
ドッグフードはその大半が穀物や芋類、豆類などに多く含まれる炭水化物で構成されているため、不安を感じた飼い主さんも少なくないのではないかと思います。

説は1970年代から

犬が炭水化物の消化を苦手としているという説は、1970年代から言われており、その理由として犬の祖先は肉食のオオカミであると考えられていたことや、炭水化物の主な成分であるデンプンを分解して、消化しやすくするアミラーゼという酵素が、犬の唾液には含まれていないということが挙げられます。
ちなみに人間の唾液にはアミラーゼが豊富に含まれ、しかも口の中で長い時間咀嚼するため、炭水化物の消化に適した消化機能の仕組みだとされています。

また、肉食傾向の強い犬の腸は、人間に比べて短いため、腸内での消化吸収も十分にできないと考えられました。
このようなことから犬に炭水化物は消化できないとされ、炭水化物はできるだけ犬に与えるべきではないなどという意見も出るようになってきました。

犬にドッグフードは消化できない?

ドッグフードの前で伏せる白茶の犬

犬に炭水化物は消化できないという説が広く知られるようになってから、ドッグフードも犬にとってあまりよくないものであると考える専門家なども増えてきました。
“穀物不使用フード”など一部の商品を除いて、ドッグフードというのはその大部分が、炭水化物で構成されているからです。
ドッグフードの成分表を見ればすぐにわかりますが、肉や魚などのたんぱく質は20%前後に過ぎず、その他は小麦やとうもろこし、大豆、米、芋などの炭水化物が大きな割合を占めています。
炭水化物で構成されることで、常温の長期保存に向くようになり、さらに肉や魚などを多く使うよりも、コストの面でかなり安く抑えることができるようになるのです。

ドッグフードは与えない方がいい?

ドッグフードには多くの炭水化物が含まれているということで、「犬は炭水化物を消化できない」と聞いて、ドッグフードを与えていいのか不安に感じた飼い主さんもいるでしょう。

しかし、結論から言うとドッグフードの消化はある程度できると考えられています。
これまで、「犬は炭水化物を消化できない」というのが定説でしたが、2013年にスウェーデンのウプサラ大学で行われた研究では、犬の炭水化物(デンプン)消化能力に関する新たな事実がわかったのです。
犬の唾液にアミラーゼは含まれませんが、すい臓から分泌されるアミラーゼは、オオカミの約28倍もあり、小腸では草食動物が持つ消化酵素も働いているということがわかったのです。

安価なドッグフードは要注意

また、炭水化物に多く含まれるデンプンは、水を加えて加熱調理することで分解されやすい形(=アルファ化)となります。
ドッグフードは製造過程でデンプンがアルファ化されるため、無理なく消化できると考えられています。
ただし、安価なドッグフードの中にはあまり質がよくなく、栄養をほとんど含まない殻など穀物の一部がかさ増しのために含まれていることもあります。
これらの場合は、消化しにくい上に栄養とならないため、あまりいい食事内容とは言えないと思います。

消化できない食事が犬に与える影響

診察を受けているゴールデンのパピー

犬は炭水化物を消化できないということはなく、ドッグフードも問題なく食べることができますがやはり肉や魚などのたんぱく質などに比べると、やや消化に時間がかかります。
では、消化が難しいもの、消化に時間がかかるものを食べると、犬にどのような影響があるのか。
それは胃腸などの消化器官に大きな負担がかかり、腹痛や胃痛、下痢などを引き起こす可能性があるのです。
慢性的な下痢は体力を消耗してしまいますし、筋力を十分につけられず食べても太れないという体質にしてしまうこともあります。

ちなみに、炭水化物の中でも、米や小麦は比較的消化しやすいのですが、大豆やとうもろこしには消化が難しい多糖体が含まれているため、加熱されていてもやや消化しにくいと考えられてます。
お腹の調子がよくない場合などは、ドッグフードを選ぶ際に使用されている炭水化物の種類もチェックしてみるといいでしょう。
また、あまり多く与えることはないと思いますが、乳製品に含まれる乳糖、果物に含まれるソルビトールなども消化しにくいので、注意しましょう。

まとめ

食事中の犬の後頭部

消化が難しい食事を続けていると、消化器官に負担がかかったり、下痢が続いて犬の体力を奪ったりしてしまいます。
十分な体力や筋力のない犬は、老犬になったときや病気を患ったとき、衰弱しやすくなってしまうので十分に注意しなければなりません。

慢性的な下痢をしていたのに、ドッグフードの種類を変えた途端に治り、どんどん肉付きがよくなっていったという犬も多くいます。
加熱処理された炭水化物であれば、犬にもきちんと消化することは可能なので、良質で適度な量の炭水化物もしっかりと与えるようにしましょう。

監修獣医師による補足

犬は雑食動物で、唾液中にアミラーゼを持ちませんが膵液にはアミラーゼが含まれていて炭水化物を消化することができます。米を炊かずに硬いまま食べると唾液アミラーゼを持つ私たち人間も消化できないために、便に米粒がたくさん出るでしょう。αデンプン化することで消化・吸収しやすくなるため、お米などの穀類は火を通して食べています。
ドッグフードに含まれる穀類は生のまま入っているわけではなく、製造過程で加熱しαデンプン化しているため消化は可能でしょう。
以下のサイトも参考にしてください。
https://thesciencedog.wordpress.com/2018/08/25/dogs-and-carbs-its-complicated/

獣医師:平松育子
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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 匿名

    消化出来るからと言って健康に良いとは限らないのではないでしょうか。
    近年、人間の医学では糖質の過剰摂取が肥満のみならず、癌、心臓病、腎臓病、老化の原因になる事が分かってきました。
    これは犬も同じと思います。
    飼い犬の発ガン率は野生動物の数十倍と言われています。
    その原因はドッグフードに含まれる炭水化物である可能性が高いと考えられます。
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