1.アメリカン・ピットブル・テリア
死傷事故多発の獰猛な犬?
「危険な犬」というネガティブイメージでいえば、アメリカン・ピットブル・テリアに並ぶものはないかもしれません。
現在でも死傷事故が多く報告されており、その中には、他人や他の犬に危害を加えてしまったというケースばかりでなく、飼い主が突然襲われてしまったという例も含まれています。
そのため、輸入や飼育を禁止したり、繁殖を制限したりしている国も多くあります。
闘犬として開発された勇敢な犬
アメリカン・ピットブル・テリアは、もともとイギリスで、牛や熊と闘う闘犬として開発された犬種を小型化したものです。
その後、愛玩犬とするに当たって、温和な犬を選択して繁殖されて、今に至ったとされているものの、本来の凶暴性は排除しきれておらず、しつけだけでは制御しきれない場面があるというのが現状のようです。
とはいえ、もともとは人間の身勝手で作り出されたもの。アメリカン・ピットブル・テリア自身に罪はありません。
安易な飼育で、悲しい事故を引き起こしてはいけません。
2.シベリアン・ハスキー
強面のバカ犬?
犬ぞりの犬としても広く知られるシベリアン・ハスキーは、日本ではバブル期に一時、飼育ブームが起きるほどの人気を博しました。
ところが、無駄吠えが多いことや、脱走癖があることから、「バカ犬」のイメージを植え付けられてしまいました。
また、単純に顔立ちが凛々しいことから、何となく怖いという印象も持たれがちです。
愛情深く寂しがりな犬
シベリアン・ハスキーは、決してバカな犬ではありません。
ネガティブイメージの元凶は、日本人がシベリアン・ハスキーの正しい飼育方法を知らなかったことに起因します。
当時の日本では、犬は外で飼うのが一般的だったため、多くのシベリアン・ハスキーも外で飼われていました。
ところが、シベリアン・ハスキーはもともとイヌイットたちとともに移動を繰り返しながら集団生活をしていたため、ひとりぼっちが苦手な寂しがり屋で、帰巣本能も弱かったのです。
外飼いされたシベリアン・ハスキーは、寂しい鳴き声が無駄吠えと勘違いされ、帰巣本能の弱さが脱走癖と誤認されてしまったのでした。
3.ポメラニアン
キャンキャンうるさい神経質な犬?
ポメラニアンは、その愛くるしい見た目から、日本でもポピュラーに飼育されている犬種です。
日本では、高度経済成長期に起きた座敷犬ブームで、「愛玩犬御三家」の1つとして注目を浴びました。
しかし、「キャンキャンうるさい犬」「神経質で好戦的な性格の犬」といったネガティブなイメージも付きまとっています。
貴婦人に愛された愛玩犬
ポメラニアンはもともと、ドイツでスピッツを小型化したもので、ヨーロッパの貴婦人たちの間で大流行した犬でした。
日本でのポメラニアンのネガティブイメージも、シベリアン・ハスキーと同様、「飼育ブーム」に端を発しています。
総じて小型犬は神経質な面が強く、大型犬に比べてよく吠えるものですが、日本のポメラニアンを「無駄吠え犬」として固定してしまった原因が、ブームの需要に乗った無計画な繁殖でした。
利益だけを追求する悪質なブリーダーが繁殖を繰り返した結果、サイズに問題があったり、骨格が虚弱であったり、無駄吠えが多かったりといった、質の悪い子犬が出回ってしまったのです。
4.柴犬
人を噛んでしまう手に負えない犬?
柴犬は、日本犬の代名詞として絶大な人気を誇る一方で、噛み癖が直らないなどの理由で飼育放棄されることも多い犬種です。
また、散歩中に他の犬と遭遇したり、ドッグランに連れて行ったりしても、柴犬というだけで「噛まないかしら」と警戒されてしまいがちでもあります。
実際、飼い主さんには忠実であっても、他の人や犬とは仲良くできないという子も多いようです。これらのことから、初心者には飼育が難しい犬とされています。
飼い主に忠実な賢い番犬
一般的に賢いとされる犬というのは、しっかりしつけを行わないと、人間の手に負えなくなることが多いものです。
主従関係、上下関係をしっかり教え、飼い主さんが頼れるリーダーにならないと、好き勝手にしていいと勘違いしてしまうのです。
基本的なしつけで信頼関係が築ければ、少なくとも飼い主さんや家族を噛むことはなくなります。
他の犬や人に対して警戒心が強いのは、番犬としての性質の名残です。
その子の個性として尊重し、他の犬や人との関わり方をコントロールしてあげましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
犬種のネガティブイメージが、いかに人間たちの身勝手なものであったかおわかりいただけたのではないでしょうか。
犬と暮らそうと思ったら、ネガティブイメージに左右されることなく、正しい飼育知識を身につけた上で、一頭一頭と向き合うことが大切です。