犬は感情で涙を流さない?
愛犬が目に涙を浮かべてウルウルとさせていると「何か悲しいことがあった?」と心配になってしまう飼い主さんもいることでしょう。しかし、実は犬の場合人間のように悲しみや寂しさなどの感情から涙を流すということはないと考えられています。
人間は悲しみなどによって自律神経が刺激されて涙が出てしまうことがありますが、犬にはこのメカニズムが見られないそうです。研究者の中には、そもそも人間が持つような「悲しみ」という感情すら犬にはないのでは?という考えを持つ人もいるようです。
犬にも当然感情があり、家族の絆や飼い主に対する愛情など人間同様に感じる部分も多くありますが、その感情の表現は涙につながらないというのが一般的な考えのようです。もちろん例外もあると思いますが、基本的に犬の涙が悲しみや寂しさからきているものだとは考えにくいと思います。
犬が涙を流す理由①目のトラブル
感情で涙を流しているわけではない犬ですが、ではなぜ涙を流すことがあるのでしょうか?それはとても単純な理由で最も多いのが目にゴミが入ったり、角膜などに傷がついたりといった目のトラブルです。
本来、涙は目を保護するために存在するものですから、その機能を果たすために涙が流されているということですね。目に入った小さなゴミを洗い流すためや結膜炎や角膜炎などで炎症を起こした目を保護するために涙が出てくるのです。
また、逆さまつげのせいでいつも涙が出てしまって涙焼けを起こしてしまう犬もいます。その他にチワワなどのように眼球の露出・突出が大きい犬は目を守るために涙の分泌が元々多いということもあります。
犬が涙を流す理由②流涙症
犬が涙を流す原因として目のトラブル以外にも、出てきた涙が自然に鼻を抜けずにあふれてしまう「流涙症」という病気が考えられます。流涙症が起こる原因としては「涙の過剰分泌」と「涙管閉塞・涙管狭窄」が考えられてます。
ゴミや毛などの異物が目に入ったり、逆まつげや眼瞼内反症によって眼球に刺激があったり、結膜炎や角膜炎などで炎症が起きていると涙の分泌量が増加します。涙管に異常がなく涙の排出が問題なく出来ている場合でも涙そのものの量が多すぎるとどうしても目からあふれてしまいます。
また、涙の分泌量は正常でも鼻炎や副鼻腔炎によって鼻涙管が圧迫されていたり、鼻腔周辺に何らかの異常があらわれたりすることで涙を鼻へ排水する涙管が閉塞、狭窄されてしまうことがあります。涙管閉塞は生まれつき起こりやすいこともあります。
流涙症にかかりやすい犬種
流涙症はマルチーズやトイプードル、パグなどの短頭種に多く見られる疾患で、放置しておくと涙焼けが起こったり、細菌感染や皮膚炎などの原因になったりすることもあります。犬の涙が気になった時は動物病院へ
犬が涙を流している時、涙が増えてきたなと感じた時は目や涙管のトラブルを疑い、よく観察してみてください。ゴミが入った場合などは一時的な症状として治まると思いますが、それが何日も続いたり、涙が増えて涙焼けをおこしたりするようであれば動物病院に相談するようにしましょう。
また老犬になると白内障や緑内障が原因で涙が多く分泌されることもあります。子犬でもジステンパーなど恐ろしい病気から涙の量が増えることもあるので、涙が気になるようになったら放置せずに病院での診察を受け、適切なケアをするようにしましょう。