犬の胸水(膿胸)とは?原因や症状、治療法から予防法まで

【獣医師監修】犬の胸水(膿胸)とは?原因や症状、治療法から予防法まで

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犬の胸水とは原因はさまざまですが、胸腔に液体がたまっている状態のことを指します。体内には多くの水分、液体がありますが、なぜ犬は胸水になって胸腔に液体がたまってしまうのか?その原因となる病気とはどんなものがあるのか?犬の胸水の症状など詳しくご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の胸水とは?

犬の肺のレントゲン

何らかの原因で、体内の水分代謝をする機能に異常が起こることで、漏れ出した血液や体液が胸腔空間にたまる病気です。胸水の色は血のように赤いものから、透明、膿など様々です。

膿がたまると膿胸、血がたまると血胸と言われます。この二つの症状は原因を取り除けば完治させることが可能ですが、浸出液などその他の胸水がたまる場合は、対症療法が必要になります。

腹部に水がたまると腹水といい、胸水との見分け方は水がたまる場所の違いです。どちらも体内の一か所に水が集中してたまることで、臓器が圧迫され犬の体に過度な負荷がかかってしまいます。

胸水がたまってしまうと、犬の体内の水分(血液、体液など)の循環が悪くなり、胸水が急激に、大量にたまってしまうことで、犬の身体の心臓や肺、周辺の血管などが胸水により圧迫され、体内の血液循環の悪化が進んでしまいます。

呼吸が苦しくなってくるので、舌の色が変色したり、口を開けて呼吸するなど、見た目でもわかる症状が出ます。さらに肺が圧迫されると、酸素を取り込めなくなり急激な呼吸困難を引き起こし、死へつながることもあります。

犬の胸水の原因 

犬の肺に聴診器をあてる

犬の胸水は、様々な病気が原因となっておこります。また、胸水の性状から、病気が発見されることもあります。心臓病や肺がんなどのがん、リンパ腫などの腫瘍が犬の胸水を発症させる原因となります。

心臓は、体内の血液を送り出すポンプの役割をしています。正常に犬の心臓が動いている状態であれば血液の体内循環は正常に機能しています。ですが、犬の心臓に疾患があると、血液循環が滞り胸水の原因となってしまいます。

また犬の内臓にできた癌や腫瘍が、臓器や血管を圧迫して、炎症を起こすことで胸水の原因となってしまうこともあります。

このように、様々な病気が原因で犬に胸水がたまってしまいます。どの病気でも共通していえることは、体内にある様々な液体が犬の胸腔の中にたまってしまい、たまった液体を自力で排出できなくなってしまうということです。

犬の胸水の検査方法

胸水の検査方法は、まず犬の胸水の有無をレントゲンで確認します。そして、胸腔にたまった液体と血液検査を行います。犬の胸腔にたまってしまった成分を分析することで、蛋白成分や細胞成分、白血球などから胸水の原因を調べます。疑わしい臓器の確認のため、超音波検査、CT検査、MRI検査をする場合もあります。

犬の胸水の症状

寝てる犬の肺に聴診器

犬の体に胸水がたまると様々な症状を引き起こします。

  • 呼吸困難
  • 嘔吐
  • 舌の色が紫になる(チアノーゼ)
  • 食欲不振

すぐに息が上がり、散歩の途中に動かなくなってしまう、極端に食事の量が減り、ご飯を欲しがらなくなった、興奮すると咳が出て舌の色が悪くなるなどの症状がみられます。

その他に荒い呼吸、チアノーゼ(舌の変色)、体を動かしたがらない、だるさがある、食欲不振、下痢、咳、体のむくみ、口を開けて息苦しい呼吸をするなどがあげられます。末期になると呼吸困難に陥り、意識障害や痙攣などが起き、最期は死を迎えます。

犬の胸水の治療法

犬の治療中

犬の様々な病気の影響で起こる胸水ですが、治療法は原因となる病気の根本治療を含めていろいろな方法があります。

胸水は犬の食事や投薬で、改善できる症状の1つです。犬の胸水の原因を特定して、根本的な治療が進められない場合には対症療法が選択されます。

投薬による治療

投薬治療では犬の体内の水分を減らすため、利尿剤を使って体外への排泄を促します。胸水の症状が軽い段階では、投薬治療で症状が軽減する場合もあります。ステロイドを用いる場合もあります。

利尿剤の値段は、約1週間分で診察代金などを含めて4,000円~10,000円位、犬の体の大きさや地域によって金額が異なります。

応急的に胸水を抜き取る治療

犬の胸に太い針を刺して胸水を排液させる治療は、応急的、緊急時などに行われる治療方法で、一旦胸水が抜けると犬の体はとても楽になります。

ですが、根本的な治療ではないため、また犬に胸水がたまってしまいます。急速にたまっていた胸水を抜いてしまうと、潰れていた肺が急に広がり、肺水腫になってしまうこともあるため、注意が必要です。

また、犬の体力、病気の進行、他の臓器への影響により、胸水を抜くことが難しい場合もあります。投薬で胸水を排せつさせる治療か、応急的に胸水を抜き取る治療か、選択するときは獣医師とよく相談し、納得のいく治療方法を選びましょう。

胸水を抜く治療費用は1回につき、4,000円~15,000円、初診・再診料を含む、胸水を抜く平均的な処置治療の金額です。レントゲン検査や、血液検査などは別途です。犬の大きさや地域によって金額は異なります。

食事による胸水の症状改善

犬の胸水の原因特定ができた場合、病気に合わせた食事で愛犬の体調管理をすることになります。

心臓疾患による犬の胸水の場合、心臓の負担を減らす、専用の療法食に切り替える必要があります。ナトリウムやリンの摂取を抑え、カルニチン、タウリン、アミノ酸をバランスよく配合された食事で犬の心臓をサポートをします。

腫瘍による犬の胸水の場合は、炭水化物を減らし、身体に有用な脂肪酸を多く含む食事に切り替える必要があります。また抗酸化作用、免疫力を上げるサプリなどを犬に摂入れる食事にします。

病気に合わせた療法食の他にも、手作りご飯に切り替える飼い主さんもいます。犬の利尿作用が期待できる食材や、消化吸収が良い食材などを選びましょう。

病院で処方される療法食を試してみる場合は、犬の病気の症状に合わせた療法食を、病院ですすめられることもあると思いますが、好き嫌いや食べ選びが無ければ、専用食をお勧めします。

胸水は、胸水だけが症状ではなく、原因となる病気の治療や、その病気に配慮した食事内容に切り替える必要があります。投薬治療や食事療法、胸水を抜くなどの必要な処置を組み合わせながら、犬の胸水の症状改善をはかります。

治療費について

投薬治療では一週分の薬で定期的に、胸水を抜く治療では一回の処置で4,000円~15,000円ほどの費用はかかってきます。また、治療を併用していくとさらに費用が発生してきます。費用的には安くありませんが、胸水はとても苦しい病気なので、適切な治療を受けさせてあげてくださいね。

犬の胸水の予防法

犬に酸素吸入

胸水がたまらないように予防する詳しい方法はありません。犬の胸水の症状は、様々な病気の進行とともに現れてくることが多く、いち早く発見することが進行悪化を防ぐ唯一の方法です。

犬の症状から、胸水とみられる、疑われる場合はすぐに病院で検査を受けましょう。胸水の症状が進行する前に発見できれば、投薬治療や、食事療法などで改善を期待できます。早く発見できれば、犬の体の負担も少しでも軽くし、治療をはじめてあげられます。

まとめ

犬の首に聴診器

犬の胸水がたまると、とても苦しそうな呼吸で最悪の場合命にかかわる状態にもなってしまいます。胸水は、できるだけ早く取り除いてあげることで、臓器圧迫で犬の体の負担が大きくなるのを食い止めることができます。

エコー検査などは、どこの病院でも受けることができる検査です。犬の異常や変化に気が付いたら、できるだけ早く獣医師の診断を受けましょう。

犬の胸水はただ抜き取るだけでは完治しないので、原因を突き止め継続的な治療が必要な病気です。食事や投薬だけで症状が軽くなり余命を伸ばすことができて、治療可能な場合もあります。

犬の胸水の原因は様々です。何が原因なのかを突き止め、治療していくことが大切です。胸水の検査は危険を伴うこともありますので、獣医師から詳しい説明を受けましょう。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 奈々

    胸水という症状はよく耳にしますが、どんな病気が原因となっているのかは知りませんでした。
    心臓疾患かな?というイメージはなんとなくありましたが、腫瘍が原因となる症状とは全く思っていませんでした。
    我が家のワンコ達は、シニア期突入の年齢なので、これから心臓や腫瘍などの病気にも気をつけなければないな〜と思っていたので、胸水も症状のひとつだということを知ることができてよかったです。
    そして、胸水の治療法として、投薬で効果がある場合もある…というのもはじめて知りました。
    なんとなく、胸水は抜かなければならない…というイメージがあったからです。
    愛犬がどんな病気になったとしても、いち早く気づくことができるよう、これからいろいろ勉強して行きたいです。
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