犬のカルシウムの摂りすぎによるリスク!理由や必要量、注意点を解説

犬のカルシウムの摂りすぎによるリスク!理由や必要量、注意点を解説

カルシウムは犬の骨や歯の形成と成長、そして健康を維持するために欠かすことのできない栄養素であり、不足させてはなりません。しかし、摂りすぎてしまうと健康に悪影響を及ぼしてしまうことがあるんです。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬のカルシウムの摂りすぎに注意!

骨の形のガムを咥えたゴールデンレトリーバー

カルシウムは骨や歯を形成するために必要不可欠な栄養素です。不足すると骨が正常に作られなくなるなどの異常が起きてしまうことは誰もがご存知だと思います。

また、愛犬の丈夫な骨と歯を維持するため、健康のためにとカルシウムの摂取に気を遣われている飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。

しかし、カルシウムは不足だけではなく過剰な摂取によっても骨や歯の形成に異常が起きてしまうことがあるのをご存じでしょうか?

犬のカルシウムの摂りすぎによるリスク

カルシウム

骨の成長を阻害する

犬がカルシウムを摂りすぎると血中のカルシウム濃度が高くなり、カルシトニンというホルモンが分泌されることでカルシウム濃度を下げようとします。

高くなってしまった血中のカルシウム濃度を下げる作用はとても大切な作用なのですが、カルシトニンには骨の成長を阻害するという作用もあることから、カルシウムの過剰な摂取はよくありません。

亜鉛、銅、鉄、リンなどの吸収を阻害する

カルシウムはミネラルの一種ですが、犬がカルシウムを摂りすぎると他のミネラルである、亜鉛・銅・鉄・リンなどの吸収を阻害してしまうことがあります。

カルシウムはもちろん、他のミネラルも犬の健康を維持するために必要な栄養素ですので、吸収が阻害されてしまうほど過剰に摂取してはなりません。

カルシウムの摂りすぎは、骨の形成や成長に異常が起きてしまうだけではなく、カラダ全体の健康を維持することができなくなってしまう原因になる恐れがあるのです。

犬に必要なカルシウムの摂取量

フレンチブルドッグと骨のイラスト

犬に必要な一日のカルシウムの摂取量目安は、体重1kgあたり100mg~120mgであるとされています。

ドッグフードには犬の健康を維持するために必要な栄養素がしっかり含まれており、カルシウムも適切に摂取することができるはずですので、不足も過剰摂取も心配する必要はないでしょう。

ドッグフードのカルシウム量をチェックしてみた

私の愛犬、ポメラニアンの女の子とミックスの男の子のドッグフードのパッケージに表示されているカルシウムの含有量をチェックしてみました。

  • ポメラニアンの女の子のドッグフードには表示がありませんでした。
  • ミックスの男の子のドッグフードには「0.8%」と表示されていました。

また、米国飼料検査官協会によると、カルシウムの含有量は最低0.6%~最高2.5%が良いとされているようです。

犬はサプリメントでカルシウムを補う必要がある?

普段の食生活の中で、犬がカルシウムの摂りすぎになってしまうことは殆どありません。適切なフードを与えているのであれば、まず問題ないでしょう。

しかし、健康を維持するために、カルシウムをギュッと詰め込んだサプリメントを与えた場合、カルシウムの摂りすぎになってしまう事があります。

食欲の低下や病気などによってカルシウムを補う事があるかもしれませんが、特別な場合で無い限り、わざわざサプリメントでカルシウムを補う必要はありません。

もし愛犬の健康の為に、カルシウム入りのサプリメントを与えたいと考えている場合は、まず獣医さんに相談して、カルシウムの取りすぎにならないか聞いてみましょう。

犬がカルシウムの摂りすぎで発症する可能性のある病気

足をケガした垂れ耳の犬

カルシウムを過剰摂取した場合、以下のような病気を発症する場合があります。

  • 骨形成異常
  • 甲状腺機能低下症
  • 結石
  • 腎臓機能の低下
  • 肥大性骨形成異常
  • 股関節異常
  • 変形脊椎症
  • 骨の変形
  • 骨の湾曲

また、子犬の成長期にカルシウムを摂りすぎると過剰摂取になる場合があります。

子犬の成長期にはたくさんの栄養素を摂らせてあげたいと考えるものですが、カルシウムを多く含んだ子犬用のフードにミルク、さらにはカルシウムのサプリメントを与えるなど、カルシウムの過剰な摂取になってしまわないように注意したいものです。

子犬用のドッグフードには子犬の成長に必要な栄養素がバランスよく含まれているため、ミルクやサプリメントを足すことでかえって栄養のバランスがとれなくなってしまいます。

先にもお話したように、犬がカルシウムを摂りすぎると骨の成長を阻害するため、子犬のカラダ全体の健康に悪影響を及ぼしてしまう危険があります。

まとめ

ポメラニアンの女の子

犬だけではなく人間にも同じことが言えますが、不足することが良くないということは誰もが理解しているのですが、カルシウムだけではなく、どんな栄養素も摂りすぎてしまうことでも健康に良くないことが起きてしまいます。

愛犬のカルシウムの適切な一日の摂取量目安はどれくらいなのかを調べ、適切に摂ることができているのか、不足していないか、摂りすぎていないか、ぜひみなさんもチェックしてみてはいかがでしょうか。

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