犬にビオフェルミンを与えても大丈夫?効果や与え方、下痢への影響を徹底解説

犬にビオフェルミンを与えても大丈夫?効果や与え方、下痢への影響を徹底解説

愛犬のお腹の不調に「ビオフェルミンは使える?」とお悩みの飼い主さんへ。獣医師が犬へのビオフェルミンの安全性、効果、下痢との関係、正しい与え方、注意点を詳しく解説。大切な家族のために知っておきたい情報を紹介します。

SupervisorImage

記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬にビオフェルミンを与えても大丈夫?

錠剤

まず結論からお伝えすると、人間用のビオフェルミンを犬に与えても大丈夫です。

ビオフェルミンの主成分は乳酸菌です。乳酸菌は、腸内の環境を整える「善玉菌」の一種で、犬のお腹の健康維持に役立つことが期待されます。実際に、動物病院でも犬の状態に合わせて整腸剤として処方されることがあります。そのため、犬にとっても比較的「安全性が高い」と考えられています。

しかし、安全性が高いとされる一方で、自己判断での安易な使用は推奨されません。犬の種類や年齢、体重、健康状態、そして症状の原因によっては、ビオフェルミンが適していない場合や、他の治療が優先される場合があるからです。例えば、元気いっぱいのトイ・プードルと、持病のある高齢の柴犬では、同じように考えることはできません。

必ず獣医師に相談し、指示を仰ぐことが最も重要です。

犬へのビオフェルミンの効果

獣医

ビオフェルミンに含まれる乳酸菌は、犬の腸内環境を整えることで、様々な健康効果が期待できます。ここでは、具体的にどのような効果が期待できるのかを見ていきましょう。

腸内環境(腸内フローラ)を良い状態に整える

犬の腸内にも、人間と同じように多種多様な細菌が生息しており、これらは「腸内フローラ」と呼ばれています。腸内フローラとは、腸内に生息する細菌群がまるでお花畑(フローラ)のように見えることから名付けられたものです。この腸内フローラのバランスが、犬の健康に大きく影響します。

ビオフェルミンに含まれる乳酸菌のような「プロバイオティクス」(体に良い影響を与える生きた微生物)は、腸内で善玉菌として働き、悪玉菌の増殖を抑えることで、腸内フローラのバランスを改善する効果が期待できます。腸内環境が整うことで、食べたものの消化吸収を助け、便の状態を良くすることにつながります。

下痢・便秘の改善にも効果あり

犬の代表的なお腹の悩みである下痢や便秘は、腸内環境の乱れが一因となることがあります。例えば、食事が合わなかったり、ストレスを感じたりすると、腸内の悪玉菌が増えて下痢を引き起こすことがあります。また、善玉菌が減ってしまうと腸の動きが悪くなり、便秘につながることもあります。

このような場合にビオフェルミンを使用することで、善玉菌を補給し、腸内フローラのバランスを整える手助けができます。これにより、下痢や便秘の症状が緩和される効果が期待できます。

ただし、下痢や便秘の原因は様々であり、中には病気が隠れている場合もあるため、症状が続く場合は自己判断せずに動物病院を受診することが大切です。特に、元気がない、食欲がない、嘔吐するなどの他の症状を伴う場合は注意が必要であり、早めの受診が必要です。

免疫力向上・食欲増進が期待できる

実は、腸は体の中で最大の免疫に関与する器官と言われています。犬の場合も同様で、多くの免疫細胞が腸に存在するとされています。

腸内環境が整い、善玉菌が優勢な状態になると、これらの免疫細胞が活性化され、体全体の免疫力の向上が期待できます。

また、腸内環境が良くなることで消化吸収効率が高まり、栄養をしっかりと体に摂り込めるようになります。お腹の調子が良くなることで、結果的に食欲が増進することもあります。特に食が細い犬や、病後で体力が落ちている犬などにとっては、嬉しい効果と言えるでしょう。例えば、暑い夏に食欲が落ちやすいチワワのような小型犬も、お腹の調子が整うことでご飯をしっかり食べてくれるようになるかもしれません。

犬へのビオフェルミンの正しい与え方

聴診器

ビオフェルミンを愛犬に与える際には、正しい方法と適切な量を知っておくことが重要です。ここでは、与え方の基本や工夫、そして特に注意が必要な子犬や老犬への与え方について解説します。

ビオフェルミン与え方(形状別)

ビオフェルミンには、錠剤タイプや粉末(細粒)タイプなど、いくつかの形状があります。

錠剤タイプ

錠剤の場合は、そのまま与えるか、細かく砕いてフードに混ぜるのが一般的です。ただし、犬によっては錠剤を嫌がって吐き出してしまうこともあります。おいしいおやつなどにくるんで与える方法も良いでしょう。

粉末タイプ

粉末タイプは、フードに振りかけたり、少量の水で溶いて与えたりすることができます。

飲ませるための工夫を忘れずに

いずれのタイプを与える場合も、犬が確実に摂取できるように工夫することが大切です。

無理やり与えようとすると、犬にとってストレスになり、食事自体を嫌がるようになる可能性もあるため注意が必要です。

体重・年齢・症状別の量の目安

犬にビオフェルミンを与える際の最も重要なポイントは、適切な量を守ることです。

特に人間用のビオフェルミンを使用する場合は、犬用の製品と成分濃度や推奨量が異なるため、自己判断は禁物です。

必ず獣医師に相談し、愛犬の体重、年齢、健康状態、症状の程度などを総合的に判断してもらった上で、適切な種類と量を指示してもらうようにしてください。

動物病院で処方される場合は、獣医師や動物看護師から詳しい与え方の説明がありますので、それをしっかりと守りましょう。

一般的に、犬の体重1kgあたりで計算されることが多いですが、犬種や個体差も考慮されるべきです。

ビオフェルミンを嫌がる場合の対処法(上手に与える方法)

薬を嫌がる犬は少なくありません。ビオフェルミンも例外ではなく、味や匂いを嫌がって食べてくれないことがあります。そのような場合は、いくつかの工夫を試してみましょう。

例えば、少量のウェットフードや、犬が好きなおやつ(無糖のヨーグルトや茹でたササミなど、ごく少量)に混ぜ込んで与える方法があります。錠剤の場合は、ピルクラッシャーで粉末状にしてから混ぜると、より気づかれにくいかもしれません。ただし、チョコレートや玉ねぎなど、犬にとって有害な食べ物と一緒に与えるのは絶対に避けてください。また、薬を与えるために普段食べさせないような高カロリーなおやつを多用すると、肥満や栄養バランスの偏りの原因になるため注意が必要です。

子犬や老犬(シニア犬)に与える場合は獣医の指導の元行う

子犬や老犬(シニア犬)にビオフェルミンを与える場合は、特に慎重な判断が求められます。子犬は消化器官がまだ未発達であり、成犬と同じように薬剤を代謝できない可能性があります。また、老犬は消化機能が低下していることが多く、持病を抱えている場合も少なくありません。

これらの理由から、子犬や老犬にビオフェルミンを使用する際は、必ず獣医師の診断と指示のもとで行うようにしてください。獣医師は、その子の状態に合わせて、最も安全で効果的な方法を提案してくれます。例えば、体が小さいトイ・プードルの子犬や、消化器系の病歴があるダックスフンドの老犬などは、特に注意深いケアが必要です。

犬にビオフェルミンを与える際の注意点

聴診器を当てられる犬

ビオフェルミンは比較的安全性の高い整腸剤とされていますが、犬に与える際にはいくつかの注意点や、まれに起こりうる副作用について理解しておくことが大切です。ここでは、考えられる危険性や副作用、そしてどのような場合に注意が必要かについて解説します。

アレルギーや薬への副作用に問題がないか?確認する

犬にビオフェルミンを与える前には、いくつかの点を確認しておく必要があります。まず、愛犬が過去に薬や食べ物でアレルギー反応を起こしたことがないかを確認しましょう。特定の成分に対してアレルギーがある場合、ビオフェルミンに含まれる添加物などにも反応してしまう可能性があります。

また、現在治療中の病気があるか、他の薬を服用していないかも重要な確認事項です。持病がある場合や他の薬との飲み合わせによっては、ビオフェルミンの使用が適さない、あるいは慎重な投与が必要になることがあります。これらの情報は、獣医師に相談する際に必ず伝えるようにしましょう。

善玉菌と関連のあるビオフェルミンはお薬のタイプによっては、抗生剤と併用することで効果が打ち消されてしまう場合もあります。

ビオフェルミンの副作用は犬にも起こる?

ビオフェルミンは乳酸菌が主成分であるため、犬において重篤な副作用が起こることはまれとされています。しかし、体質に合わなかったり、適切な量でなかったりした場合に、軽度な消化器症状が見られることがあります。

具体的には、一時的な軟便や下痢、お腹の張り(鼓腸)、便秘などが考えられます。もしビオフェルミンを与え始めてからこれらの症状が見られたり、元々あった症状が悪化したりした場合は、すぐに使用を中止し、獣医師に相談してください。多くの場合、使用を中止すれば症状は改善しますが、獣医師の指示を仰ぐのが最も安全です。

ビオフェルミン投与を避けたほうがいいケース

全ての犬、全ての症状にビオフェルミンが適しているわけではありません。以下のような場合には、自己判断でビオフェルミンを与えるのは避け、速やかに動物病院を受診する必要があります。

一つ目は、元気消失、食欲不振、嘔吐、血便、重度の脱水症状など、明らかな体調不良を伴う場合です。これらの症状は、単なる腸内環境の乱れではなく、感染症や他の深刻な病気のサインである可能性があります。二つ目は、免疫抑制剤を投与している犬や、重い免疫不全の状態にある犬です。このような犬に生きた菌であるプロバイオティクスを与えることの安全性については、獣医師の慎重な判断が必要です。

ビオフェルミンを多量に誤飲した場合の対処法

万が一、犬が飼い主さんの見ていない隙にビオフェルミンを誤って大量に食べてしまった場合は、慌てずに対応することが大切です。まず、どれくらいの量を食べてしまったのか、いつ頃食べたのかを可能な範囲で把握します。

そして、直ちに動物病院に連絡し、状況を正確に伝えて指示を仰いでください。自己判断で吐かせようとしたり、様子を見たりするのは危険な場合があります。獣医師は、食べた量や犬の状態に応じて、適切な処置(催吐処置、活性炭の投与、点滴など)を判断してくれます。普段から薬の保管場所には十分注意し、犬の手の届かない安全な場所に保管するようにしましょう。

犬の下痢にビオフェルミンは効果ある?

犬と錠剤

愛犬の下痢は、飼い主さんにとって心配な症状の一つです。ビオフェルミンが犬の下痢に効果があるのか、どのように使えば良いのか、そして動物病院へ行くべき目安について解説します。

犬の下痢の原因とビオフェルミンの役割

犬の下痢の原因は多岐にわたります。食事の変更、食べ慣れないものの摂取、ストレス、環境の変化、寄生虫感染、細菌やウイルス感染、食物アレルギー、さらには内臓疾患など、様々な要因が考えられます。日本で人気の柴犬なども、季節の変わり目やフードの切り替えで一時的にお腹を壊すことがあります。

ビオフェルミンは、これらの原因のうち、主に腸内フローラのバランスが崩れることによって引き起こされる下痢に対して、整腸作用を発揮します。乳酸菌などの善玉菌を補給することで、腸内の悪玉菌の増殖を抑え、乱れた腸内環境を正常な状態に近づける手助けをします。しかし、感染症や重篤な内臓疾患が原因の下痢に対しては、ビオフェルミンだけでは根本的な解決にはならず、原因に対する治療が必要です。

ビオフェルミンを与えても続く場合や程度が悪化するのであれば、すぐに受診を検討していただくことをおすすめします。

犬の下痢にビオフェルミンは効果がある?

ビオフェルミンが効果を発揮しやすいのは、比較的軽度で、他に重篤な症状(嘔吐、元気消失、血便など)が見られない急性の下痢や軟便の場合です。例えば、新しいフードに切り替えた直後の一時的な下痢、環境の変化によるストレス性の軟便などがこれにあたります。

このような場合、ビオフェルミンで腸内環境を整えることで、症状の改善が期待できることがあります。ただし、これはあくまで原因が腸内環境の乱れに起因する場合であり、数日間使用しても改善が見られない、または悪化するようであれば、他の原因が考えられるため動物病院を受診しましょう。

数日与えても下痢が改善しない場合(受診目安)

ビオフェルミンを与え始めてから様子を見ても、下痢や軟便の症状が改善しない場合や、むしろ悪化している場合は、動物病院を受診するべき重要な目安です。また、下痢以外に、嘔吐を繰り返す、食欲が全くない、ぐったりしている、お腹を痛がる、血便が出ている、などの症状が見られる場合は、日数を待たずに速やかに獣医師の診察を受けてください。

子犬や高齢犬、持病のある犬の場合は、下痢が続くと脱水症状を起こしやすく、体力を消耗しやすいため、より早期の受診が推奨されます。自己判断で長期間ビオフェルミンを与え続けることは、根本的な原因の発見を遅らせ、症状を悪化させてしまう可能性もあるため注意が必要です。

その他の犬の下痢止めや食事療法も選択肢に

犬の下痢の治療法は、ビオフェルミンだけではありません。動物病院では、下痢の原因や症状の重症度に応じて、様々な治療法が選択されます。

例えば、細菌感染が疑われる場合には抗生物質、腸の炎症を抑えるための消炎剤、有害物質を吸着して排出させるための吸着剤などが処方されることがあります。また、消化しやすく栄養価の高い療法食への一時的な切り替えや、絶食といった食事療法も有効な場合があります。獣医師は、これらの治療法を単独または組み合わせて、愛犬にとって最適な治療プランを立ててくれます。

自己判断でビオフェルミン主体の投与をするのではなく専門家である獣医師の意見を受診をしたうえで確認しながら投薬の判断をしましょう。

まとめ

愛犬の健康を守るために、ビオフェルミンのような整腸剤について正しい知識を持つことは非常に大切です。ビオフェルミンは、犬の腸内環境を整えるのに役立つ場合がありますが、その使用にはいくつかの注意点があります。

特に重要なのは、自己判断で人間用のビオフェルミンを安易に使用しないことです。量や成分が犬に適していない可能性があり、かえって愛犬の健康を損ねてしまう危険性も否定できません。

愛犬がお腹の調子を崩した際には、まずは動物病院を受診し、獣医師に相談することが最も安全で確実な方法です。獣医師は、愛犬の状態を正確に診断し、ビオフェルミンが適切かどうか、適切な種類や投与量、そして他の治療法が必要かどうかを判断してくれます。

この記事が、愛犬と飼い主さんの健やかで安心な毎日のために、少しでもお役に立てれば幸いです。

はてな
Pocket
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい

あなたが知っている情報をぜひ教えてください!

※他の飼い主さんの参考になるよう、この記事のテーマに沿った書き込みをお願いいたします。

年齢を選択
性別を選択
写真を付ける
書き込みに関する注意点
この書き込み機能は「他の犬の飼い主さんの為にもなる情報や体験談等をみんなで共有し、犬と人の生活をより豊かにしていく」ために作られた機能です。従って、下記の内容にあたる悪質と捉えられる文章を投稿した際は、投稿の削除や該当する箇所の削除、又はブロック処理をさせていただきます。予めご了承の上、節度ある書き込みをお願い致します。

・過度と捉えられる批判的な書き込み
・誹謗中傷にあたる過度な書き込み
・ライター個人を誹謗中傷するような書き込み
・荒らし行為
・宣伝行為
・その他悪質と捉えられる全ての行為

※android版アプリは画像の投稿に対応しておりません。