どんな犬でも老化は避けられない
どんなに今、元気な犬であっても、年齢を重ねていくにつれて老化していくことは避けられません。無邪気にはしゃぎ、飼い主の後をついて回る犬であっても、です。
老化にはどのような症状が現れるのかを知っておくことで、飼い主は少しでも覚悟を決めておくことができます。ここでは、犬の老化によくある症状をお話ししますので、「こういう症状が起こるんだ」としっかり理解しておきましょう。
1.横になっている時間が増える
まず、以前に比べて横になっている時間が増えます。「なんだか最近、ずっと寝ている気がする」と感じるようになってきたら、老化のサインだと思って良いでしょう。飼い主としては、元気な頃の愛犬の姿を覚えているだけに、どこか切ない気持ちになってしまうかもしれません。
しかし、だからといって、犬は飼い主からのスキンシップが嫌になったということではありません。飼い主さんに撫でて欲しいとは思っていても、体が気持ちに追いつかないため、動くのがおっくうになっているのかもしれません。
寝ている時はそっとしておいてあげ、寝ずに横になっているだけの場合には、そっと近くまで行き、優しく撫でてあげてください。そうすれば、愛犬も喜んでくれますよ。
2.散歩での歩みが遅くなる
若い頃は快活に歩き、散歩を楽しんでいた犬であっても、老化によって散歩中の歩みがゆっくりになったり、前よりも長い時間歩かなくなってしまうなどの現象が起こります。中には散歩自体行きたがらないという子もいるでしょう。
ほとんどの犬は元気な頃、「散歩行く?」と聞いたり、行く素振りを見せるとはしゃぐように喜んでくれます。しかし、老化に伴って散歩へ行くことに消極的になってしまった愛犬をみるのは、少し悲しいと感じるかもしれません。
しかし、中には歩みはゆっくりになってしまったけれど、外には行きたいと感じている子もいます。散歩行く?と聞いて、自分から近付いてくるようであれば、散歩へ行きたいという気持ちは持っているのでしょう。
その場合には、ゆっくりと愛犬の歩調に合わせ、のんびりとした散歩を行ってあげましょう。歩けなくなってしまった場合には、ペットカートを使い、外の景色を見せてあげるだけでも気分転換になりますよ。
3.食欲がなくなる
犬にとって食べるということは、非常に重要です。食べることに生きがいを感じ、嬉しさを感じるのは、人間だけでなく犬も同じだからです。
しかし、老化が始まると徐々に食欲がなくなっていきます。最終的には自分で食べることができなくなることもありますので、飼い主さんが柔らかくしたフードなどをスプーンで口元まで運んであげるという介護が必要になります。
「以前はあんなに勢いよく食べていたのに…」「おやつって言葉に敏感に反応してたのに」など、以前の様子と比べてしまい悲しくなってしまうかもしれません。しかし、そこは飼い主として、しっかり愛犬に食べてもらえるよう、さまざまな工夫で介護してあげましょう。
4.認知症
犬は人間と同じように、老化に伴い、怪我や病気が発症するリスクが高まります。その中でも老化によって起こりやすい症状の1つに、認知症が挙げられます。
認知症とは、犬だけでなく人間でも起こりうる症状ですので、既にどのような症状が現れるかご存知の方も多いでしょう。犬の場合には、徘徊するようになるという行動が頻繁に目撃されるのはもちろん、今までなかった夜鳴きをするようになったり、トイレを失敗してしまう回数が増えるなど、様々な症状が挙げられます。
中には飼い主のことがわからなくなってしまい、警戒心を強め、飼い主に対しても攻撃的になってしまうという犬もいます。
「今まで一緒に過ごしてきたのに、私のことがわからなくなってしまった」と気付いた瞬間、飼い主としては非常に悲しく切ない気持ちになるでしょう。寂しい気持ちはしますが、変わらぬ愛情で接していきましょう。
犬を看取る覚悟を持つ
ここまで愛犬が老化していく上で、どのような症状が起きるのか、その症状に対してしっかり覚悟をしておくことが大切であるというお話をしてきました。しかし、飼い主にとって最もつらいのは、愛犬の最期を看取ることです。
今まで、ずっと一緒に過ごしてきた最高のパートナーであり、家族で友人である犬は、飼い主にとってかけがえのない存在です。そんな愛犬が、ある日突然、動かなくなってしまう、いなくなってしまうと想像しただけで涙が出てくるという飼い主さんも少なくないでしょう。
しかし、つらいからといって、その現実から目を背けてはいけません。特にシニア期に突入している犬を飼っている人は、なおさら覚悟を今から持っておく必要があります。
「いつかはこの時が来る」としっかりと理解することももちろん大切です。しかし、最期を看取る覚悟をするということは、それだけではありません。飼い主として、家族として、犬の介護は大変でつらいでしょうが、しっかり果たさなければいけません。
また、シニア期に突入していても、今はまだ元気な場合、今のうちにたくさんの思い出を作りましょう。今は元気でも、いつかは歩くことが難しくなり、寝たきりの生活になってしまうのです。そうなる前に、一緒に散歩へ行ったり、思う存分遊んであげるなど、愛犬が喜んでくれるようなことをしてあげましょう。
後になって「もっと○○してあげれば良かった」と後悔しても遅いのです。いつか訪れる最期を見据え、元気な愛犬と今を思いっきり楽しむという事も、覚悟を持つという意味では非常に大切なのです。
まとめ
犬を飼うということは楽しい事だけではありません。愛犬の一生涯に渡り、楽しい事や嬉しいこと、大変なことを飼い主は経験しますが、最期の瞬間は最もつらい経験となります。
しかし愛犬は、最期の時まで飼い主さんと一緒にいたいと願っているはずです。その気持ちをしっかり受け止め、最期の時まで愛犬が穏やかに暮らせるよう、飼い主としてしっかり覚悟しておきましょう。