経絡マッサージで自然治癒力と免疫力アップ
犬はシニアになると、一気に体調を崩したり免疫力が低下して病気になり易くなります。
シニア期を迎えた愛犬を、少しでも元気で快適に過ごさせてあげたいと思うものが飼い主の心情でしょう。
この経絡マッサージは、シニア犬になってからでも十分効果が見込めますが、若い頃から実践してあげれば、更に免疫力がアップされ老化を遅らせる事が出来ると言われています。
シニア期のは1~3期までありますが、ここでは誰にでも出来るシニアⅠ期の経絡マッサージ基礎編を紹介します。
経絡とはなに?
経絡とは簡単に言いますと、常に全身を網の目の様に巡っている大きな川の事です。
その大きな川を【経脈】が支流の様に身体を縦に流れています。
そして、流れに点在するダムの様なものが【経穴(ツボ)】だと考えて下さい。
ダムが滞れば流れが止まってしまい、その先にある水は濁って汚くなります。
流れがないと、その先へは新鮮な水は届きません。
すると想像通り大地は枯れてしまいますよね。
大地が枯れると言う事は身体に異常が起きると言う事なのです。
つまり現代風に言うと、神経,血液,リンパ,ホルモンなどを、健康な身体を維持させるための通り道だと言う事です。
これは人間も犬も同じだとされています。
経絡は12種類ある
12種類ある経絡を以下に記載してみました。
大腸経,胃経,小腸経,膀胱経,三焦経,胆絡,肺経,脾経,心経,腎経,心包経,肝経、の12種類で、その中に無数のツボがあると言われています。
同時にツボの説明をしますと頭が混乱しますので、今回はツボに関する内容は省きます。
各経絡の効果
各経絡を刺激すると以下の効果が得られます
肺経:肺機能を調える。
大腸経:大腸の働きを調える。
胃経:消化吸収作用を調える。
脾経:胃経と同様、消化吸収作用を行う。
心経:心臓を拍動させる。
小腸経:小腸の働きを調える。
膀胱経:生殖機能や老化に関係する膀胱を調える。
腎経:腎の働きを調える。
心包経:心臓を保護し調えながら三焦経と協調して働く。
三焦経:代謝を調整する働きがあり、心包経と協調して調える。
胆経:胆と血(けつ)の働きを調える。
肝経:肝と血(けつ)の働きを調える。
経絡マッサージを実践する(3つのステップで簡単マッサージ)
実践に入る前に注意しておかなければならない事項があります。
問題ないとは思いますが、まず前もって獣医師に経絡マッサージをするべく趣旨と実践方法を伝え、許可を得る事をお勧めします。
マッサージ対象がシニア犬ですので、万が一の事を考えて獣医師のアドバイスも聞いておく必要があります。
それから発熱時,炎症や治癒していない傷がある,空腹時,食後30分以内,妊娠中か或いその可能性が考えられる,身体に触れられる事を極端に嫌う。
これらの事項が当てはまる場合はマッサージを行わない方が良いでしょう。
ステップ1(膀胱経への刺激)
【写真1:ステップ1
ワンちゃんは寝た状態でも立っている状態でも構いませんので、静止させた状態で頭から尻尾に向かい背骨のラインに沿って手のひらでゆっくりと数回撫でて下さい。
ステップ1の所要時間は約1分です。
このラインは膀胱経(ぼうこうけい)にあたり、ここを撫でると集中力を高め体調を整える効果があります。
ステップ2(三焦経,小腸経,心経,心包経,肺経,大腸経への刺激)
ワンちゃんを横に寝かせた状態で、前肢の付け根から手先にかけて円を描くように手のひらでマッサージします。
肉球・水かきは親指と人差し指で挟みながら、ゆっくりとやさしく揉みます。
ステップ2の所要時間も約1分です。
このラインは心経(しんけい),心包経(しんぽうけい),肺経(はいけい),三焦経(さんしょうけい),小腸経(しょうちょうけい),大腸経(だいちょうけい)のにアプローチできます。
この経絡は内臓系全般のツボがありますので内臓の調子を整える効果があります。
ステップ3(脾経,肝経,腎経,胃経,膀胱経,胆経への刺激)
ステップ2同様、ワンちゃんを横に寝かせた状態で、後肢の付け根から肢先にかけてステップ2と同じ様に円を描くようにやさしくゆっくりとマッサージします。
肉球・水かきも同様に親指と人差し指で挟みながらやさしくゆっくりと揉みます。
ステップ3の所要時間も約1分です。
このラインは脾経(ひけい),肝経(かんけい),腎経(じんけい),胃経(いけい),膀胱経,胆経(たんけい)にアプローチでき、消化器系の調子を整える効果があります。
ポイント
実践するタイミングはワンちゃんの体調が良い時にしましょう。
経絡マッサージは指圧とは異なります。
指で圧を加えたりはしません。
なるべく、ゆっくりとやさしく揉むのがコツです。
そうする事により血液やホルモン等の流れが良くなり、自然治癒力の向上と免疫力のアップに役立ちます。
マッサージをする事で、飼い主さんとワンちゃんとの絆もより一層強くなりますよ。
愛犬がいつまでも元気でいられる様に、ぜひ経絡マッサージを実践して下さいね。
最後に
経絡マッサージは東洋医学2000年の歴史から誕生した優れたマッサージ法です。
しかし病気を治すための手段ではありません。
あくまでも老化を遅らせて自然治癒力の向上と免疫力のアップを目的として行うものです。
もし大事な愛犬が病気になってしまったら「経絡マッサージをすれば大丈夫」などと思わず直ぐに動物病院に連れて行ってあげましょう。