犬の17歳は人間の年齢でいくつか
犬は生後1年で人間の中学生~高校生の年齢まで成長し、その後は毎年「4歳~7歳」という年齢を重ねていくと考えられています。 小、中型犬は3歳以降、毎年4歳ずつ。大型犬では2歳以降、毎年7歳ずつ加算していく換算法です。これで見てみると、犬の17歳というのは以下の通りとなります。
- 17歳の小、中型犬…人間年齢で84歳
- 17歳の大、超大型犬・・・人間年齢で124歳
つまり犬の17歳は、人間の年齢に置き換えてもハイシニアとなります。
小、中型犬と人間の年齢比較
小~中型犬 | 人間 |
---|---|
1歳 | 12歳 |
5歳 | 36歳 |
9歳 | 52歳 |
13歳 | 68歳 |
15歳 | 76歳 |
17歳 | 84歳 |
大、超大型犬と人間の年齢比較
大~超大型犬 | 人間 |
---|---|
1歳 | 12歳 |
5歳 | 26歳 |
9歳 | 54歳 |
13歳 | 82歳 |
15歳 | 110歳 |
17歳 | 124歳 |
ちなみに、私が産まれた時から一緒に生きてきたシェットランドシープドッグ(♂)は19歳で天寿をまっとうしました。19年間病気もなく老衰で静かな最期を迎えました。人間の歳に換算すると92歳という超長寿犬でした。
犬を17歳まで長生きさせるコツ
犬の寿命は、犬種、大きさ、環境によって個体差が大きいのですがそれは人間でも同じです。どんなに健康に気を配っていても、体質や先天性の疾患などがあれば、平均寿命を待たずに旅立ってしまうこともあります。ですが、17歳の長寿犬に共通するいくつかのポイントがあるのでご紹介します。
適度な筋肉と脂肪をつける
犬は太り過ぎると、体への悪影響が現れやすく負担が大きくなります。動物病院で診察を受けた際に「太りすぎ」と言われたら、ダイエットを始めなければいけません。ですが、過度なダイエットにも注意しなければいけません。
犬にとって脂肪はあり過ぎると負担が大きくなりますが、脂肪がなさ過ぎても、体のエネルギーが足りなくなって、17歳という高齢犬の自己治癒力が下がってしまいます。
一般的な犬の平均体重の範囲内を少し超えている場合でも、犬の個体によっては適正体重の場合もあります。また、17歳というシニア期に入ってからは犬の足腰に負担にならない程度で、多少脂肪がついていた方が元気に過ごせる個体が多いようです。
犬の感情表現を引き出す
犬が17歳まで健康で長生きさせるためには、感情表現を引き出してあげることが1つのコツです。「犬も笑う」というと驚かれる方も多くいますが、犬にも喜怒哀楽がしっかりあります。歌う犬、笑う犬、泣く犬もいます。犬の気持ちを尊重して理解、共感してあげられる環境は高齢犬になるまでとても大切です。
ストレスを与えない
犬にとってストレスがない生活環境が17歳まで長生きするための一番の秘訣です。感受性が豊かで、繊細で、忍耐強い犬にとって、ストレスをかけない生活を何よりも心がけることが大切です。ストレスを感じる原因についていくつかご紹介します。
大きなストレスを感じてしまう原因
度重なる引っ越し
17歳まで長生きをしている多くの長寿犬は「引っ越しが少ない」という特徴があります。特にシニア期に入ってからは、ずっと同じ家で生活をしている長寿犬が多いようです。
住み慣れた家、安心できる匂い、目が見えなくても生活ができるほど知り尽くしている環境は、犬にとってストレスがかかりづらいと言えます。特に未去勢の犬は環境が変わるたびに、警戒意識が高まり、臭いにも敏感になり、ストレスを感じます。
1日10時間以上の睡眠がとれていない
子犬の時期に1日15時間以上は睡眠をとらせなければいけません。成犬期に入ってからは、夜間、日中のお昼寝と合わせて1日平均10時間~12時間程度の睡眠がとれると、精神的にも安定した生活が送れます。犬は1日の半分程度は寝ているのが、17歳まで長生きをするコツといえます。
定置がなく安心して過ごせる場所がない
犬には家の中での「定位置」があります。犬にとって熟睡できる場所が安心して過ごせる場所です。ですが、犬がどこに居ていいのか分からない、または定位置がない、いつも人の出入りがあり落ち着かない、うるさい、家具の配置が頻繁に変わる環境はストレスがかかりやすくなります。
リードなどでつながれたまま
室内外ともに、リードなどでつながれたままの生活は高齢犬の大きなストレスとなります。海外では、犬をつなぎとめたままで飼育することを禁止している国が多くあります。犬にとって健全な生活とは、ある程度の自由行動が許されている環境です。
時間や場所を特定して、クレートやケージに入らせる習慣は大切ですが、犬の散歩以外の時間はつながれて行動範囲が狭く、限定されているのは大きなストレスです。
排泄場所と食事場所が分かれていない
犬はとても綺麗好きな動物です。自身の排泄物の跡や臭いが残る環境での食事は、精神衛生上にも良くありません。これも犬にとって大きなストレス要因となってしまいます。
過度な運動、精神的抑制時間が長い
犬と一緒に様々なスポーツを楽しむ飼い主さんが多くいます。犬が楽しんで取り組める工夫と練習が必要です。しかし、犬が強制的にやらされている、恐怖を感じて従っているなど、そのような状態を強いることはストレスが大きくなります。盲導犬、警察犬、介助犬など、人間のために働く犬たちの寿命が短い原因に「ストレス」が大きく関係していると言われています。
また、アジリティなどに積極的に参加する犬の場合は体脂肪率が低く、筋肉量の多い体型を維持する方よいためそれに適した食事内容になりますが、高齢になるとタンパク量が多い食事は肝臓や腎臓の負担になる場合があります。一定の年齢を迎えたら、バランスの良い体作りに切り替えてあげる必要があります。
寂しさ、不安、恐怖を感じる環境
犬は家族との交流がなく、いつも一人きりで無視されている環境では、精神的にストレスがかかります。また、外につながれたまま、車の音、花火の音、他動物の気配を感じながら、身を隠せる場所もなく、常に警戒心を解けない犬は大きなストレスを感じています。犬は、飼い主さんから愛され、話しかけられ、撫でられ、抱きしめられて大きな幸せを感じます。犬には痛みや苦痛もそれだけで和らぐほどです。
いつも空腹に耐えている
犬に満足な食事がない、水がないなどの環境は、体調不良の直接的な原因となります。空腹で熟睡もできず、誤飲や食糞を引き起こします。また、犬の体内に十分な水分が確保できないと脱水を起こし、内臓への負担が大きくなり、代謝も下がってしまい病気になってしまいます。
病気の早期発見をする
整った環境や精神安定、体調管理を万全にしていても、犬は病気になってしまうこともあります。犬は症状を隠す傾向があり、本当に具合が悪くなるまで、症状が分かりづらいのです。そのため、犬が17歳まで長生きするには、予防医療がとても大切です。
- 犬の混合ワクチンで予防できる病気は確実に予防する
- ノミダニ寄生感染症は確実に防ぐ
- 定期健診で犬の体の状態を把握する
- 定期健診で病気の早期発見につなげる
犬が元気な時に、かかりつけの病院で健康診断を受け、データを残しておきます。万が一病気になった時に、少しの変化にも気が付いてあげられる備えが大切です。元気に17歳まで長生きしてもらうためには、予防医療は欠かせない健康管理の1つです。
犬が17歳で手術する場合のリスク
病気が理由で手術の選択を迫られることがあります。ですが、17歳という老犬に手術を受けさせるには大きなリスクがあります。好条件がそろわない限り、手術だけでなく全身麻酔を必要とする検査もすることができない場合があります。
17歳の高齢犬が手術できる最低条件
- 心疾患がない、または心肺機能低下がみられない
- 食事がしっかりとれる
- アレルギーがない
- 肝機能低下がみられない
- 腎機能低下がみられない
- 緊張、分離不安症などがない など
怪我や病気の状態によって異なりますが、ハイシニアである17歳という高齢犬が手術を受けるには、これらの条件をクリアしなければ積極的な治療は諦めなければならないかもしれません。
17歳の犬に全身麻酔をかけるだけでもハイリスクになってしまいます。また、上記の条件をクリアして手術にふみ切れた場合でも、術後の回復には多くの時間を要することがあります。
麻酔の影響や手術のストレスなどで、犬の内臓機能が急激に低下してしまうこともあります。17歳というハイシニアの犬に、手術をするというのは十分にリスクを理解して判断しなければいけません。
まとめ
大型犬の17歳という年齢は人間の年齢に換算すると124歳という超高齢です。犬種によっては10歳以下の平均寿命もあるなかで、17歳まで元気に生きてくれたらこんなに嬉しいことはありません。
犬の成人式を迎えることも、期待できるかもしれません。国外では30歳まで生きた犬がいるなど、犬といつまでも一緒に生きたい愛犬家にとっては、大きな目標になります。
健康な17歳以上の超長寿犬に育ててあげるためには、飼い主さんの努力だけでなく個体差も大きく関係するので正解は無いといえます。ですが、犬のためにできること、犬の笑顔が見られることを日々重ねていくことが一番の長寿の秘訣になるかもしれません。
犬と過ごす貴重な時間は飼い主さんにとって、長さよりも内容であることは間違いありません。ですがやっぱり、ずっと一緒に生きていきたいと願ってやみません。そして犬の健康を守っていくためにも、飼い主さん自身も健康で長生きしなければいけません。ぜひ、犬と一緒に長寿を目指してください!