犬社会の高齢化が進む背景から「愛犬の老後」を考える

犬社会の高齢化が進む背景から「愛犬の老後」を考える

獣医学の進歩と共に犬の寿命も昔と比べると長寿化しています。その結果、犬も高齢化が進んでいます。高齢化が進んだ背景には何があるのか?そして愛犬と老後どう付き合うべきか?私の考えをまとめてみました。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

来るべくしてやって来た高齢化

白い犬

人間の世界では医学の目覚ましい発展により長寿化し、少子高齢化に歯止めが掛からない状況になって来ています。犬の世界でも獣医学の発展により、人間と同じ様に高齢化が進んでいるのです。

犬が高齢化しているのは獣医学の発展だけではありません。それは、犬が家族の一員として大切に育てられる様になったのも一つの要因となっています。

つまり犬の高齢化は『来るべくしてやって来た』と言えるでしょう。

平均寿命が延びた理由

高齢犬

平成26年度の一般社団法人ペットフード協会資料によりますと、犬の平均寿命は14.17歳であり、30年前は7.5歳であった事から当時の約2倍になっています!

飼育環境の改善

快適

まず理由の一つとして飼育環境の変化があります。
これは温度管理された室内で、全体の91.8%と言う9割以上の犬が快適な環境で飼育されている事です。

暖房

特に純血種は暑さ寒さに弱いとされていますので、夏と冬は空調による室温管理は重要になります。
その他として高品質ドッグフードや医療の発展なども挙げられます。

わんちゃん達の食事の改善

ドッグフード

30年以上前になると、大半の家庭では犬に人間の残飯を食べさせていたらしいですから、塩分,糖分の多い食事を毎日与えられていた事になります。

時にはタマネギやネギなどの、犬にとって中毒性の食べ物も食べさせられた可能性もあります。
これでは長生きなど出来る訳がありません。

しかし昭和62年頃からドックフードが定着した事で、犬の寿命も徐々に延びて行きました。
近年では栄養バランスを考慮したクオリティの高いドッグくフードも登場した事から、犬達は健康的な生活を送れる様になって行ったと考えられます。

医療の充実と増加した動物病院の件数

MRI

農林水産省のデーターによりますと、平成16年頃は動物病院の数が9,245施設だったのに対し、平成25年では11,032施設になっていますので、近年急速に増えている事が分かります。

そして設備の充実により、感染症予防も万全となり健康診断も出来る様になりました。今や尿検査,糞便検査,血液検査,尿検査,レントゲン,超音波などが出来る様になり、大きな動物病院になるとCTスキャンMRIまで出来るのです!

この様に、医療の充実も犬の長寿化に一役買っていると言えます。私に言わせて戴けるのなら『愛犬は家族の一員ですので人間と同等の設備がある病院があって当然』だと思っています。

犬の長寿化による飼い主さんへの負担

介護

犬の寿命が延びる事で、飼い主さんへ負担が掛かる場合があります。
犬も高齢化すると介護を必要とする病気に掛かり易くなります。関節の病気,目の病気などに掛かるリスクが高まります。特に癌や認知症になると介護が必要になります。

愛犬家にとっては介護そのものはそれほど苦にならないと思いますが、愛犬が襲われる痛みや認知症による精神的異変を目の当たりすると、飼い主さんも辛い思いをする事になるでしょう。
愛犬家の皆様なら『出来ればこの手の病気になって欲しくない』と思っていらっしゃるのではないでしょうか。

まとめ

愛犬

最近は犬の長寿化で老犬ホームの需要が高まって来ている様ですが、私にはその必要性が感じられません。私は何があっても最期まで愛犬との生活を共にすると決めていますので、老犬ホームのお世話になる事はないでしょう。

考えたくはありませんが、この先ひょっとしたら愛犬も不治の病に掛かるかも知れません。

これは賛否があると思いますが、愛犬が激痛で苦しむのなら延命措置は望みません。もし耐えられない痛みが死ぬまで続くのであれば、非常に辛い事ですが尊厳死を希望するでしょう。

私の父は癌で他界しましたが、痛み緩和のためにモルヒネに近い薬を投与されていました。その薬を投与されてから寝ているだけの植物人間になってしまいました。薬が切れると痛みで身体が痙攣し、酸素吸入器が口から外れてしまう事が何度もありました。
もう可哀想でとても見ていられませんでした。そんな状態が2ヶ月も続いたのです。

そういう経験を踏まえて、もし愛犬が不治の病に掛かったとしても、そんな辛い思いをさせたくないと痛感した事で、最悪の場合は尊厳死を考える様になったと言う次第です。

不治の病に掛からない様に、愛犬の健康管理をしっかりやって行くしかないでしょう。
掛かり付けの獣医師さんと相談しながら、愛犬の身体に良いと思う事は何でも試して行こうと思っています。

皆様も愛犬が健康で長生き出来る様、身体に良いと思われる事をどんどんしながら健康管理をしてあげて下さい。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 女性 ちぃーたん

    痛みで苦しみもがく姿を見ているのは辛いと思いますが、安楽死、尊厳死は…わが家はこれまで8頭の犬を看取りましたがどの子も寿命いっぱ生きました。8頭目の子は19年と7ヶ月生きました、最後の数カ月は介護をしました。確かに介護は大変でしたが尊厳死を考えた事はありませんでした。
  • 投稿者

    50代以上 女性 匿名

    ミニチュアダックスを飼っていて、ミニチュアダックスは椎間板ヘルニアになりやすいので、段差やフローリングには気を付けていて、年をとったら白内障はなるだろうと覚悟はしていたけど、まさかの膀胱がん…。
    手術しましたが、又、再発してあとは時間の問題で…家ではオムツを使用中。
    オムツをする前はあちこち粗相してしまい、1日に5回洗濯する事も…。最初はオムツを嫌がり、外してしまい、外出から帰ってくるとあちこちオムツの切れ端が散らばり粗相されて(我が家はゲージには入れない)泣きたくなる事も…。
    獣医からは、安楽死も受け付けるといわれましたが、最期まで頑張って看とります。
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