犬の老化現象
犬の場合は多少の個体差はありますが、一般的に小型犬で10歳以降、大型犬で7~8歳以降がシニア犬とされています。しかし室内飼いが増え生活のストレスが軽減されている近年では犬の寿命も延びているといわれており、以前では15歳で長寿とされていた小型犬も18歳まで生きる例も少なくありませんし、10歳前後ではまだまだ元気いっぱいな犬たちも多いのが現状です。
しかしパッと見て元気な犬たちも少しずつ老化が始まっているので、上記の年齢付近になったらちょっとした変化を見逃さないように注意をしてあげましょう。
老化が始まったかどうかのチェックリストはこちらです。
- 眼球が白っぽくなってきた
- 耳が遠くなってきた
- 睡眠時間が増えた
- 段差を避けるようになった
- 運動を面倒くさがるようになった
- 好きな食べ物が変わった
- 口臭がキツくなった
これらのうち2つが当てはまれば、そろそろ犬も老化が始まったと言っていいかもしれません。そして更に加齢が進み心身の衰えが目立つようになると、「老衰」という状態になります。運動をせず寝ているので下半身の筋肉が落ちて立ち上がりに苦労したり、歩いている最中に腰を抜かしたり、固いフードを嫌がったりといった状態が良く見られるようになります。
もちろん、老化だとおもっていた中には病気が隠されている場合もありますので、注意してください。
老衰ケア
1.食事
身体的な活動量も低下しており、消化管の機能も低下しているため、それまでと同様の量やスピードで食べることはできません。食事に対する執着も薄れている場合もあるので、嗜好性が高く、低カロリーかつ高タンパクなフードや食べたがるものを用意しましょう。
うとうとしたり顔を上げたりしている時間が長くなるので、「食べたい」という意欲が沸いている時間に、やわらかく消化を良くしたもので少しずつ食べさせてあげてください。
2.運動
日中寝ていることが多く動くのを億劫がりますが、排泄時は寝ている場所を汚さないためにも犬たちは起きたがることが多いです。年を取ると下半身の筋肉が衰えて立ち上がるのが困難になっていますが、そこを補助してやると自力でトイレまで行けることも少なくありません。排泄のタイミングを利用して、段差のない室内を少し歩かせてあげると気分もリフレッシュするでしょう。
排泄の最中に腰を抜かしてへたり込んでしまったり、予期しないところで粗相をしてしまうこともありますが、叱らずちゃんと排泄できたことをほめてあげてください。また介護用のおむつやペットシーツをうまく利用していきましょう。
3.就寝時
年老いた犬たちは寝ていることが多くなるので、その寝具となるベッドも負担を考えて選んであげましょう。人間も寝たきりになって体勢を自分で変えられない時間が長くなると、体重のかかる骨が出ている部分に「褥瘡(床ずれ)」ができます。これは骨と皮膚の間にある組織に血液がめぐりにくくなり、赤くただれたり傷が出来たりすることです。ひどい場合は皮膚に穴が開いたりします。
これを防ぐためには体圧を分散させたり、こまめな体位変換が必要です。寝たきりの犬の場合は筋肉が落ちていて骨が浮き出ていることが多いので、圧力がかかりやすい部分の周りにやわらかい素材のクッションを当てるなどしてケアします。体位変換をした後、下になっていた骨盤付近や肩のあたりを軽くマッサージしてあげるのも良いでしょう。
まとめ
長い間家族として暮らしていた犬たちが徐々に老いて、お別れが近づいていく日々を過ごすのは悲しいものです。しかし犬たちには最期まで穏やかに、心安く過ごしてもらいたいと思います。旅立ちの日まで愛情をもってケアしてあげてください。