犬は10歳になったら老齢期!老化のサインと気をつけたいこと

犬は10歳になったら老齢期!老化のサインと気をつけたいこと

犬は10歳になると、老齢期に入りシニア犬と言われるようになります。同じ時間を過ごしているようで、人間にとっての10歳と犬にとっての10歳は大きく変わります。老齢期を迎えた犬との生活で気をつけたほうがよいことはあるのでしょうか。犬の老化のサインや、10歳の犬と快適に過ごすために気をつけたいことをご紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の10歳は老齢期の年齢

シニア犬

犬は10歳になったら老齢期と言われています。しかし、犬の年齢は平均寿命との関連性が大きく、犬種や個体差によっても老齢期となる年齢が異なります。

小型犬や中型犬の場合

小型犬や中型犬は人間の約4倍のスピードで年齢が進みます。

犬種や生活環境によっても異なりますが、小型犬は12~15歳、中型犬は11~15歳ぐらいが平均寿命と言われているようです。そのため10歳ぐらいが老齢期とされています。小型犬と中型犬の10歳は、人間年齢に換算すると56歳になります。

大型犬の場合

大型犬は人間の約7倍のスピードで年齢が進みます。そのため大型犬の10歳は人間の年齢に換算すると75歳になり、小型犬や中型犬との年齢の差が出てきます。

大型犬は体格に比べて臓器が小さく弱いため、酸素や栄養素がうまく行き渡らず、細胞の老化を早めているのではないかと言われています。

大型犬は10~13歳が平均寿命になり、8歳ぐらいになると老齢期とされています。更に大きい犬種では5歳を過ぎると老齢期とされ、人間年齢に換算すると54歳になります。

犬の10歳と老化のサイン

伏せる犬

睡眠時間が増える

個体差はありますが、犬は10歳と老齢期に近づくにつれ、睡眠時間が長くなってきます。そのため、一回の寝る時間が長く、起こさないとずっと寝ていることもあるようです。

10歳になると老化に伴い体力が低下してくるため、以前よりも休息が必要になります。夜だけでなく、昼間も寝ている時間が増えてきたら老化のサインです。

散歩に行きたがらない

犬は10歳と老齢期になると筋肉の衰えから、動くことがおっくうになり散歩に行きたがらないことがあります。

また、散歩に出ても歩くスピードが遅い、すぐに家に帰りたがる、段差を嫌がるなど犬に変化が出てきたら老化のサインです。

しかし散歩に行きたがらないのは、老化ではなく病気が原因の場合もあります。歩き方がおかしいなど、異常が見られる場合は獣医に相談してみましょう。

トイレの回数が増える、失敗する

トイレを失敗した犬

犬は10歳と老齢期になるとトイレの頻度が増え、失敗することが増えてきます。

10歳になってくると泌尿器官が衰え、排泄を長く我慢ができないことや、視力の低下により、トイレの場所が分からなかったりなどが挙げられます。排泄問題が増えてきたら老化のサインです。

また、おしっこの量が増えた場合、肝臓病や糖尿病などの心配もあります。トイレの回数やおしっこの量が増えたと感じたら、早めに獣医に相談しましょう。

食欲が落ちてくる

ドッグフードを残した犬

犬は10歳と老齢期になると、食欲が減ってくることがあります。

犬も人間と同じように年を重ねるごとに、内蔵機能が低下してきます。また、基礎代謝も落ちてくるため食欲が落ちてしまうようです。

また老化の症状として、嗅覚の衰えや味覚が変化することで食欲の変化が起きることもあります。今まで食べていたものを食べなくなることや、逆に食べ物に執着するようになることも老化のサインです。

目が白く濁る

白内障になった犬

犬は10歳と老齢期になると、核硬化症という老化現象で目が白く濁ることがあります。水晶体の透明度が落ち、光に当たると白く濁って見えますが痛みもなく視力には影響しません。

しかし10歳と老齢期の場合、白内障の可能性もあります。白内障は進行が進むと、視ぶどう膜炎を起こし、視力を失う場合もあるので、早めに獣医に診てもらいましょう。

呼んでも反応をしない

10歳になる犬に名前を呼んでも反応しないことがあります。また、今まで反応していたチャイム音や、大きな音にも反応しなくなったら耳が遠くなっている可能性があります。これは老化に伴い聴力が衰えているサインです。

口臭がきつくなる

口を開けている犬

口臭がきつくなるのも老化のサインです。犬は10歳と老齢期になると、老化に伴い腸内環境が低下してくることで口臭がきつくなりやすくなります。

10歳前後は口内トラブルが増え、放っておくと歯槽膿漏や歯周病が悪化して歯が抜けることもあります。また、口臭の臭いは、身体の体調不良や病気からくることもあるので、気になってきたら早めに獣医に診てもらいましょう。

毛や皮膚の変化

白髪がある犬

犬は10歳と老齢期になると、人間と同じように見た目にも変化してきます。老化に伴い、白髪が増えた、毛に艶がなくなった、毛量が減ったなど成犬の頃とは違ってきます。

また皮膚のバリア機能が低下し、皮膚病になりやすく、フケが増えて体臭がきつくなることもあります。

10歳のシニア犬との暮らしで気をつけること

ご飯を食べる犬

シニア犬に合った食事をする

老齢期となる10歳の犬にとって食事の取り方は重要になります。体力や免疫力が低下し食欲が減ってくる10歳は、ビタミンやミネラルなどを積極的に食事に取り入れてあげてください。

食事で取ることが難しい場合、サプリメントを活用しドッグフードに混ぜて与えてみるのもよいでしょう。食欲がなく、全く食べてくれない場合は病気の可能性もあるため、早めに獣医に相談してみてください。

散歩は無理なく犬のペースに合わせる

散歩中の犬

 

犬が10歳になると体力の低下や、足腰の筋力低下により、散歩に行きたがらない犬もいるかもしれません。

獣医に散歩をしてもよいと言われているのであれば、少しの距離でもよいの、で散歩をしましょう。散歩は10歳の犬にとって、体力維持にもつながります。

段差がある道は避けるなどしながら、犬のペースに合わせてゆっくりと散歩をしてあげましょう。

犬が生活しやすい環境づくりをする

リラックスしている犬

犬は10歳になると、視力や聴覚、嗅覚などが衰えてきます。そのため、今まで気にならなかった、家の中での生活にも気を配る必要があります。

犬が行動する範囲には、障害物となるものを置かないようにすることや、家具の角にはガードクッションを付けておく、フローリングなどの床で足を滑らせないよう、マットやカーペットを敷いておくなど、工夫をしておくことで犬が安全に過ごすことができます。

たくさんコミュニケーションをとるようにする

手に顎をのせている犬

10歳の犬にはコミュニケーションが大事になります。視力や聴覚、嗅覚の機能が低下してくる10歳頃は、犬も不安を感じることが多くなるようです。マッサージをしてあげるなど、身体を触るスキンシップがあると犬も安心します。

またスキンシップをすることで、犬の変化にも気づくことができるため、歯磨きやブラッシングなど、毎日の健康チェックも含めコミュニケーションをとりましょう。

定期検診をきちんと受ける

診察中の犬

犬の10歳は、人間の老化と同じように、様々な機能が低下していることから、病気にかかりやすくなります。そのため定期的に検診を受けていると安心です。

早めの発見は犬の寿命を延ばすことにもつながるため、変わったことがあれば、すぐにかかりつけの病院を受診しましょう。

また病気になると、治療費もかさむため、ペット保険に入っておくと安心かもしれません。保険は年齢制限により、加入できないこともあるので事前に調べておきましょう。

犬が10歳になる前に去勢手術をしておくと安心

老犬と病院

犬は10歳と老齢期になると様々な病気にかかる確率が高くなってきます。

子宮蓄膿症や乳腺腫瘍、精巣腫瘍など性ホルモン系の病気は老齢期に発症リスクが高いと言われています。性ホルモン系の病気を防ぐため、避妊手術や去勢手術は10歳になる前にしておいた方がよいでしょう。

また去勢を行う手術は全身麻酔をするため、10歳以上(大型犬は8歳以上)の場合は身体への負担が成犬と比べて大きくなります。そのため十分な検査が必要になることや、健康状態によっては麻酔を受けられない可能性もでてきます。

犬が老齢期に入る前に手術をしておくと安心です。

まとめ

外にいるシニア犬と飼い主

犬の10歳は、人間の年齢に換算すると中年期と言われる時期と同じです。犬も人間の老化と同じように10歳になると、様々な老化のサインが現れてきます。

老化のサインに早めに気づいてあげることで対策や予防にもつながります。毎日のコミュニケーションを大切にし、家族の一員である犬と元気に楽しく過ごしていきましょう。

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