犬の老化のサインは?
老化のサインは、以下のようなものが挙げられます。
- 筋力低下のため、歩くスピードが遅くなった
- 筋力低下のため、真っすぐに立てず、後ろ足がハの字になっている
- 聴力低下のため、名前を呼んでも反応がない
- 代謝低下のため、食欲不振になる
- 臓器や筋肉の働きの低下のため、トイレの失敗が増える
- 感情のコントロールが困難になるため、怒りっぽくなる
- 白髪が増える
小型犬・中型犬では10歳、大型犬では8歳を過ぎたあたりから犬の高齢期といわれ、仕草や行動に変化があらわれます。今までは平気だったことも、年をとると困難になることもあります。
老化のサインと病気の症状はよく似ているため、不安な場合はすぐに動物病院で診てもらいましょう。
1.老犬の「食事サポート」
老犬になると代謝が低下するため、食欲がなくなることがあります。また食事は、健康のバロメーターといわれるほど、健康管理に直結しているものです。老化ではなく病気を引き起こしている可能性も考えられるため、場合によっては動物病院で診てもらうことをオススメします。
では、食事における老犬の変化別にサポートする方法をご紹介します。
ご飯の量が減った、または食べなくなったときは
嗅覚や味覚の衰えによって、ご飯への意欲が薄れている可能性があります。その場合は、嗜好性の高いご飯を混ぜてあげましょう。また、ドッグフードは人肌程度のお湯で温めることで香りが出るため、嗅覚が刺激され、食欲の促進が期待できます。
また、成犬用のドッグフードは老犬の内臓にとって負担となります。老犬になっても、成犬のころと必要とする栄養素は変わりませんが、活動量や代謝の低下がみられる老犬は消費エネルギーが低くなるため、低エネルギーの高齢犬用ドッグフードに変更する必要があります。その場合、徐々に変えることがポイントです。
突然食事の内容が変わるとワンちゃんがとまどってしまったり、食べたとしても消化不良を起こす可能性があります。今までのフードと新しいフードを混ぜて与え、徐々に新しいフードの割合を増やしていきましょう。
ご飯を自力で食べられなくなったときは
寝たきりや、急激に体力が低下している場合、自力でご飯が食べられなくなっている可能性があります。その場合病気が疑われるので、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
また、老犬は足や首の筋力が低下しているため、食事の姿勢すらつらいと感じ、自分からすすんでご飯を食べないこともあります。食事のときはお皿を台に乗せ、少しでも足や首への負担を減らしてあげましょう。
ご飯を食べたあと、すぐにご飯を要求するようになったときは
もしかしたら、認知症の可能性があります。すぐに獣医師に相談しましょう。
また、老犬になったことでワガママな性格になった子もいるといわれています。そのため、何度もご飯を要求することで、飼い主に構ってもらおうとしている可能性があります。その場合は一度のご飯の量を減らし、回数を増やすことで、改善が望めます。
2.老犬の「トイレのサポート」
排尿に関する内臓の機能低下により、トイレの失敗がみられることがあります。排尿は体の体調が顕著にあらわれるため、ワンちゃんの様子や排尿の状態などをきちんと観察することが大切です。
では、トイレにおける老犬の変化別にサポートする方法をご紹介します。
トイレの失敗が多くみられるときは
排尿の回数や量、状態を観察し、異常がみられた場合は動物病院で診てもらいましょう。
異常がみられない場合は、脚力の低下により、トイレの場所までたどり着けないためと考えられます。その場合、通路にマットを敷くなど歩きやすい環境を作ってあげましょう。脚力の低下がないのにもかかわらずトイレを失敗している場合は、トイレの場所を忘れてしまった可能性があります。その場合は、再度トイレの場所を確認させてあげたり、トイレの場所を増やすこともいいでしょう。
自力でトイレができないときは
脚力が落ちると、自力でトイレができなくなることがあります。この場合は後ろからワンちゃんの腰を支え、トイレの姿勢をさせることで、排尿を促すことができます。
排泄物に異常がみられる(下痢や便秘など)
病気を発症している可能性があるため、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
下痢をしているが病気ではない場合、消化の吸収力の低下が原因として考えられます。内臓への負担を抑えるために、消化のよいものを与えましょう。食事の量を減らし、回数を増やすことも効果的です。
便秘をしているが病気ではない場合、水分を多めに飲ませ、食物繊維の多い食事を与えましょう。
3.老犬の「散歩サポート」
年をとると筋力が低下するため、歩くことを嫌がるようになることがあります。しかし老犬であっても、散歩に行くメリットはたくさんあります。例えば、「気持ちがリフレッシュする」「全身の血液循環がよくなる」「運動機能の衰えを防止できる」など。極端に嫌がったり、病気でない限りは散歩に出かけることをオススメします。
歩行のサポート
歩くの遅くなったワンちゃんや、転ぶことが多くなったワンちゃんには、歩行のサポートをしてあげましょう。このとき、体全体を支えるハーネスや、腰まわりを支えるウォーキングベルトが効果的です。
また、抱っこしたり、犬用カートに乗せて散歩することもいいでしょう。家で過ごすことが多くなる老犬にとって外の世界に出ることはとても新鮮で、リフレッシュ効果が期待できます、。
散歩の所要時間と時間帯
散歩は一回15~20分を目安に行いましょう。また、老犬は体温調節の機能が衰えている可能性があるため、適した時間帯に行うことが大切です。夏の散歩は夕方以降の涼しい時間帯に行い、こまめに水分補給をしてあげましょう。冬の散歩は寒さが厳しい時間帯(早朝や日没後)を避け、洋服を着せるなどの対処をしましょう。季節によって、老犬へのサポートを変えていくことが大切です。
散歩のコース
交通量と人通りが少ないコースを選びましょう。視力や聴力が衰えている老犬は、足元や周りがよく見えていない可能性があります。車や自転車、人、急な段差などでケガをする恐れがあるため、飼い主は常に愛犬に気を配りましょう。また、犬はご主人に合わせて無理をしてしまう動物です。疲れがみられたり、歩くのが遅くなったなどの変化がみられたら、すぐに休憩するようにしましょう。
4.老犬の「家庭環境におけるサポート」
老犬のために、家庭環境を整えましょう。ここで大事なのは、「大きく変えないこと」。
視力や聴力が衰えている老犬にとって、急な家庭環境の変化はとまどうばかりです。
バリアフリー
老犬は小さな段差や滑りやすいフリーリングによって、脱臼や骨折などをしてしまう可能性があります。通路にゴム製のマットや滑り防止のカーペットなどでスロープを作ることで、可能な限り段差を無くし、滑りにくくしてあげましょう。
床ずれ
寝ることが多くなる老犬にとって一番怖いもの、それは「床ずれ」です。床ずれは、寝床に接した部分が長時間圧迫されることで血流が悪循環になり、その部分の筋肉や皮膚組織が壊死してしまう状態をいいます。
まずは、床ずれの予防をしましょう。
床ずれは、膝や肩甲骨、かかとなどの皮膚が薄く骨が出っ張っている部分にできやすいため、この部分にパットを当てることで保護することができます。そして2~3時間おきに体の向きや体勢を変えてあげましょう。体を少し持ち上げるだけでも血流の回復が期待できます。
まとめ
年をとると、今までできていたことができなくなり、不安やとまどいが多くなるでしょう。それはワンちゃんが一番強く感じています。こんなとき、飼い主さんは叱らないことが大切です。優しく声をかけてあげましょう。愛犬のサポートができるのは、あなたしかいないのです。今まで過ごした楽しい時間に感謝を込めて、年老いた愛犬のためにできることはなんでもしてあげたいですね。