子犬のお迎え当日の準備
いよいよ子犬をお迎えする日がやってきました。しかし、その前に、準備しておくべきことがたくさんあります。子犬を家に迎えてから慌てることがないように、前日までにしっかりと準備をしておきましょう。
子犬が過ごす室内を片づけ危険なものを取り除く
まず子犬が行動できる範囲を決めて、危険なものがないかを子犬の目線でチェックしておきます。子犬はどんなものにも興味津々で、触ったり、口に入れたり、噛み付いたりと、様々な行動をとります。
〈子犬が口に入れそうなものは片付ける〉
薬品、洗剤、輪ゴム、クリップ、たばこ、ビニール袋など、子犬にとって有害で危険なものはこの他にも数々ありますが、拾って飲み込みそうなもの、いたずらされて困るものは全て片付けておきましょう。
例えば、家具やコンセント、電気コードなどにはかじられないようにカバーをするなど、しっかりガードしておきます。
〈観賞植物は子犬が届かない場所に移動させる〉
観葉植物の中には、ポトスやアロエのように、犬にとって強い毒性を持つものがありますので、子犬がさわれない場所に移動しておくと安心です。
さらに、観葉植物だけでなく、ゆり、チューリップ、朝顔、水仙、すずらんなども、花や葉、花粉などに毒性が含まれていますので、子犬には絶対に触れさせないように注意しましょう。
〈滑り防止や転落対策を行う〉
フローリングの床は滑りやすく、子犬にとって大変危険です。
足腰に負担をかけたり、転んで頭を打ったりすることがありますので、スリップ防止加工をする、コルクマットやカーペットを敷くなど、滑りにくくしておきます。
また、好奇心旺盛な子犬の飛び出し防止のために、ベランダ、玄関、庭などには、柵を設置しておくことも必要です。
まだ体が小さいからと安心していると「思いがけず階段を上って、落ちて大ケガをした」ということもありますので、階段の昇降口にも柵の設置が必要です。
室内に子犬専用のスペースを作っておく
子犬の行動範囲内のチェックが終わったら、子犬専用のスペースを作っておきましょう。子犬の生活空間となるこの場所は、落ち着いて安眠できる場所であることが大切です。
飼い主さんの目の届く範囲で、下記の条件がそろう場所があればベストです。
- 周りに危険なものがない
- エアコンが直射しない
- 日当たりがよく風通しがよい
- 人の出入りがあまり気にならない壁際
子犬の専用スペースが決まったら、サークルやケージを置いて、その中に寝床とトイレを設置します。
また、子犬はよく動き回って遊びますので、脱水症状を防ぐために、清潔なお水をいつでも自由に飲めるようにしておきましょう。
〈子犬が落ち着ける場所にする工夫〉
寝床にはバスタオルやブランケットを置いてベッドにしますが、家に来たばかりの子犬の不安な気持ちを少しでも和らげるために、母犬の匂いが付いた布などを置いてあげると子犬は安心します。
それが難しい場合は、飼い主さんの匂いが付いた使い古しのセーターやTシャツ(ボタンや余計な装飾が付いていないもの)などを利用するのもよいでしょう。安心して眠れると、新しい生活にも早く慣れることができます。
寒い時期に子犬をお迎えする時は、寒さ対策のためのペットヒーターは必需品です。子犬は寒さに弱いので、しっかりと暖めてあげることが大切です。
〈しつけは迎えた日からはじめる〉
トイレトレーニングは、子犬が家に来た初日から始まっていると考えましょう。初めのうちは子犬がシートを破いたり噛んだりすることもあるので、シートを挟んで固定できるトイレトレーやシートの上にネットを被せるタイプのものを使用することをおすすめします。
子犬の生活用品をそろえる
子犬の生活には、下記のようなものが必要です。
- ドッグフード
- フードや水飲み用の食器類
- トイレシート
- クレート、またはキャリーケース
- 首輪、またはリードやハーネス
- ブラシ、または「くし」、爪切り、ヤスリ、歯ブラシ
- おもちゃ
- 消臭剤、ウエットティッシュ、掃除グッズ、など
食器類やトイレシートは、子犬が家に来たその日から必要になりますので、必ず前日までにそろえておきます。
首輪やリードなどは、子犬のサイズに合わせる必要がありますので、子犬が来てからでもよいと思いますが、クレートやキャリーケースは子犬のお迎えの時に使用しますので、予め用意しておきましょう。
子犬のお迎えに必要なグッズをそろえる
- クレート、またはキャリーケース
- ペットシーツ、ウエットティッシュ、ビニール袋
- 使い古しのタオル
自宅に子犬を連れて帰る時には、抱いて移動するよりキャリーケースやクレートに入れて移動する方が、子犬が疲れませんし、安心させてあげられます。
ペットショップなどでは箱を用意してくれる場合もありますが、持参したキャリーケースやクレートを使用すると、帰宅後そのままサークルの中に入れてハウスとして利用することができて便利です。
子犬は、単にベッドやクッションが置いてある上で寝るより、クレートのように周りを囲まれた場所で寝る方が安心して眠れます。
お迎え時に車で移動するのか、電車やバスで移動するのか、移動手段も考えながら、キャリーケースやクレートを選んでおきましょう。
〈移動中におもらしをした時の用意〉
犬が緊張のあまり排泄してしまうのは、よくあることです。帰宅するまでの間に排泄してしまった時の為に、シートやウエットティッシュも持参しておきます。
また、使い古したタオルは、寒い時に子犬を包んだり排泄後の汚れを拭いたりと、色々役に立つ使い道がありますので、1枚用意しておくと便利です。
子犬のお迎え先で当日に確認すること
子犬を迎えに行く時間帯は、午前中がおすすめです。子犬の日中の様子を把握することができますし、新しい環境に慣れない子犬が体調を崩したような場合も、動物病院にかかることができます。
お迎え先では、今後の子犬の生活のために、次のことは必ず確認しておきましょう。
- 現在の子犬の様子(健康状態食事排泄しつけお手入れ)について
- ワクチン、病歴、予防履歴について
- 飼い犬登録などの手続きについて
- マイクロチップの有無登録について
- 子犬が使用していたものについて
現在の子犬の生活リズムや今後の飼育方法を聞く
生活環境が変わることは、子犬にとっては大きなストレスであり、体調を崩す原因になりかねません。
そのため、連れ帰った後もしばらくの間は、以前の生活リズムを大きく崩さないように配慮する必要がありますので、ここ数日の子犬の様子は必ず聞いておきましょう。
食事に関しては、下記のことを必ず確認します。
- フードの種類(銘柄)
- 1日に与えるフードの量と回数
- フードを与える時間
- フードの与え方(ふやかして与えるなど)
排尿や排便の様子(回数・便の状態など)も聞いておきましょう。食事の様子や排尿、排便の様子が分かれば、1日の生活のリズムが把握しやすくなります。
しつけについては、トイレトレーニングも含めて、子犬が理解していることと理解していないことを聞いておくと、今後のしつけの参考になります。
また、お手入れに関して、使っているシャンプーの種類や頻度、ブラッシングの方法など、子犬に1番適切な方法を確かめておきましょう。
今までお世話をしてきた人が子犬のことを1番よく分かっていますので、何か気になることがあれば、どんな小さなことでもその場で質問して解決しておくことが大切です。
ワクチン・寄生虫の予防歴や病気の治療歴を聞く
犬には、生後決まった期間内に、受けなければいけない予防注射(ワクチン)があります。
数回にわたって受けることになりますので、これまでのワクチンの接種状況と、今後受けなければならない時期もしっかりと確認しておくことが大切です。
子犬の健康を守るために、決められた予防注射は必ず受けさせましょう。
また、今は健康で元気であっても、過去に何らかの身体的トラブルがあった場合はそれらが再発することもありますので、過去の病歴や治療の有無、各種予防歴も必ず確認しておく必要があります。
マイクロチップや飼い犬登録の手続き方法を聞く
犬を所有した時には、住居がある市町村での犬の登録や、マイクロチップ登録制度(令和4年6月1日から実施)など、幾つかの手続きをする必要があります。
それらの手続きについても、詳しいことを確認しておきましょう。
マイクロチップについては、ブリーダーやペットショップから子犬を迎えた場合、現在ではほとんどの犬に装着されています。
ですが、保護犬を迎えたり知人から譲り受けたりした場合には、装着されていないことも多いので、それについて環境省のホームページで事前にチェックしておくことをおすすめします。
子犬が使っていたものを持ち帰れるかどうか聞く
新しい環境での子犬の不安を少しでも軽減するために、子犬の匂いの付いたもの(今まで子犬が使っていたおもちゃや毛布など)があれば安心です。譲っていただけるようでしたら持ち帰っておきましょう。
お迎え当日の子犬への接し方
子犬との生活が始まる第1日目です。幸せいっぱいのこの日をどのように過ごしたらよいのでしょうか?
子犬をゆっくり休ませる
私たちが考える以上に子犬は繊細で、か弱い生き物です。
帰宅直後に走り回って元気いっぱいに見えていても、それは単に興奮しているだけで、知らない所に連れてこられた子犬は、移動のための疲れもありますし、慣れない環境でとても緊張しています。
まずは、子犬をゆっくりと休ませてあげるよう心掛けましょう。
子犬にあまり構わない
初めのうちは、可愛さのあまり子犬に構いがちですが、新しい環境に慣れるまでは、子犬を疲れさせないようにできるだけそっと見守ってあげることが大切です。
とはいうものの、やはり子犬を身近で見ていると気になるものです。子犬の様子をよく観察し、調子が良さそうであれば、ごく短い間だけ遊ばせてみましょう。
その時も、あまり子犬に触らずに、自由に探検させてあげて、子犬が疲れる前に専用スペースに戻し休ませることがポイントです。
子犬を迎えてから少なくとも1週間くらいは、あまり構い過ぎず、新しい生活に慣れるのを見守りましょう。
また、子犬は寝るのが仕事です。月齢が小さいうちは、1日のほとんどの時間を寝て過ごしているということを忘れてはいけません。
トイレトレーングは始まっている
子犬が排泄する様子を見せたら、できればシートに誘導し「シーシー」「ワンツー、ワンツー」などの号令をかけてあげましょう。
シートの上でできた場合は、フードを1粒だけ与えて誉めてあげます。これらを繰り返すうちに、決まった場所で排泄できるようになります。
犬は以前に排泄した場所にその後も排泄する習性があるので、シートの無い場所で排泄した場合は、匂いが残らないように完全に拭き取っておきましょう。
子犬のお迎え当日によくある問題への対処法
犬を飼うのは、うれしいことや楽しいことばかりではありません。月齢が小さな子犬の場合は、むしろ大変なことの方が多い場合もあります。
次に、子犬を迎えた日にありがちな問題について考えてみました。
夜鳴きや興奮は子犬が落ち着ける環境を作って鎮める
お迎え当日の夜、慣れない環境で不安な思いの子犬は、なかなか寝ないことが多いようです。その上、夜鳴きをする子犬が少なくありません。
しかし、子犬が鳴くからと、すぐに抱いたり手を出してしまったりするのは、あまり感心できません。鳴けば構ってもらえると、子犬が学習してしまうかもしれないからです。
それよりも、まず子犬の様子をよく観察し、体調に異変が無いようでしたら、飼い主さんが子犬の目の届く場所で早めに休む、サークルに布をかけて薄暗くするなど、周りの環境を落ち着いて眠れるように整えてあげましょう。
先述しましたが、母犬の匂いが付いた布やこれまで使っていたものを入れてあげると、子犬も落ち着けるようです。
しばらくの間は夜鳴きをしても、慣れてくるとそれもおさまりますので、まず周りの環境を見直してみることをおすすめします。
食事を食べない時は与え方を工夫してみる
慣れない環境では、食事を取れない子犬もいます。そのような場合には、少しずつ飼い主さんの手からご飯をあげてみる、または美味しそうな匂いのご飯を与えてみる、などの工夫をしてみましょう。
初めのうちは、それまでと同じフードを食べさせ、別のフードに切り換える時は、少しずつ数日かけて切り換えるようにすると子犬の負担になりません。
家に来た日はご飯を食べなくても、次の日には食べてくれる場合も多いので、あまり神経質にならず、初日は様子をみてみましょう。
しかし、それが何日も続くような時は、体調に異変があるかもしれませんので、注意が必要です。そのような場合には、早めにお迎え元や動物病院に相談しましょう。
また、ご飯を食べなくても、お水はいつでも飲めるようにしておくことを忘れないようにしましょう。
低血糖症に注意する
低血糖症は、血糖値が下がることにより最悪の場合命に関わる危険な病気ですが、これにはストレスが大きく関係しているといわれています。
できるかぎり余計なストレスを与えないように気を配りながら「急に食欲がなくなる」「元気がない」「嘔吐や下痢をする」などの場合は、早めに動物病院に相談する必要があります。
少なくとも一週間くらいは環境になじませる
私たち人間も、新しい環境に慣れるには多少時間がかかります。まだ小さな子犬なら、なおさらです。
子犬が新しい環境に慣れるまで、飼い主さんはあまり神経質になり過ぎず、大らかな気持ちで子犬の様子を見守ってあげるようにしましょう。
まとめ
小さな子犬を育てるには、大変なことがたくさんあります。しかし、その大変なことの何倍もの楽しいことうれしいことを、子犬は私たちにプレゼントしてくれます。
まだ小さい子犬には、飼い主さんだけが頼りです。注意深く子犬の様子を観察しながら見守ってあげましょう。
かわいいからと甘やかすだけではなく、子犬がこれから人間と生活していく上で必要なことはしっかり教え、健康で快適に過ごせるよう常に気を配りながら、子犬との生活を充実したものにしていきましょう。