犬は体で気持ちを伝える
言葉ではなく体で!
人間は主に言葉でコミュニケーションを取りますが、犬の場合は体で気持ちを伝えます。この方法はボディーランゲージと呼ばれていて、そのボディーランゲージの中でも喜怒哀楽以外の感情を表し社会生活を穏やかに過ごすためのより発達した行動をカーミングシグナルと呼ぶことがあります。
犬はボディーランゲージやカーミングシグナルを親兄弟から学びます。そのため親兄弟から早く離されたり、ほとんどの時間を別の場所で過ごしていた犬はボディーランゲージやカーミングシグナルを知らないことがあります。その場合は人間が教えてあげたり、他の犬から教えてもらったりする必要があり充分な時間と教育が必要です。
人間の仕草とは違った意味も
もしほかの犬から教わってボディーランゲージやカーミングシグナルを覚えたとしても、人間側が理解していないと犬との間でトラブルが起きることもあります。人間のボディーランゲージとは違った意味を持つ行動も多くあります。
とくにストレスがかかった状態の仕草は人間のボディーランゲージと異なるものもあり、理解してあげないと余計ストレスをかける行動をとってしまうことがあるので注意が必要です。
誤解しやすいサイン
誤解しやすいサインとしては以下のようなものがあります。
- 叱られているときにあくびをする
- 飼い主さんから目をそらす
- 身震い
どれもストレスがかかっている状態で、あくびはと目をそらすといった行動は敵意がない、落ち着いてほしいという気持ちを表しています。また身震いはもう飽きてしまっていたり、怒らないでというサインでもあります。そして理解しにくい行動のひとつに「突然固まる」というものがあります。今回は犬が「突然固まる」ときの3つの理由をご紹介します。
犬が突然固まる理由3つ
犬が突然固まってしまう主な理由は大きくわけて3つあります。
ストレスを感じている
自分や仲間が叱られていたり、誰かがケンカしているのを見て犬がピタッと動かなくなることがあります。これはストレスを感じているサインです。犬の場合、ストレスが高まったときにとる行動は固まる、うずくまる、逃げる、攻撃するの4つになります。
固まる行動は他の行動と比べて完全に動きを止めてしまうものなので、犬としても困惑していたりどうしたらいいのかわからない状態になっているのでしょう。
叱られているときに固まるのは自然な行動なのであまり気にしなくてもいいかと思います。叱られていないときに頻繁に固まるようであれば、普段過ごす環境の中にストレスの原因が隠れている可能性があるので調べてみましょう。
緊張・警戒している
固まる前に大きな音がしたり、知らない犬や人間が表れたりはしていませんか?犬は緊張したり、警戒したりしたときに固まることがあります。「この音はなんだろう」「あの人/犬は敵かな?味方かな?」といったことを考えているのでしょう。固まっている間に情報を収集して頭の中で整理しているので邪魔しないであげたほうがいいかもしれません。
しかしあまりにも長く固まっている場合は緊張をほぐしたり、警戒をといてもらう必要があります。優しく声をかけてあげてください。触っても大丈夫そうであれば撫でてあげるのも良いですね。触る場合は必ず声をかけてからにしましょう。急に触られるとびっくりしてしまいます。人間でも集中しているときに急に触れられるとびっくりしますよね。それと同じなので、できるだけびっくりさせないように接してあげてください。
病気
固まってしまう理由のひとつに、病気の可能性があります。病気の中でも症状の中に固まってしまうというものがあり、その中でも犬に多いのが「てんかん」でてんかんの発作が起こったときには体が固まってしまいます。
ぴんと前後の脚を伸ばした状態になり倒れてしまい、失禁したり、痙攣を起こしたりします。原因はあまりわかっておらず、対処療法のようなものが主な処置です。ほとんどの発作は数分でおさまりますが、長く発作が起こることもあり脳にダメージを受けてしまうこともあります。発作を起こした場合には犬に触れずに見守るだけにしてください。発作中に体に触れたり、声をかけたりすると次の発作を誘発する原因になることがあります。
発作がおさまったら病院へ連れていきましょう。その際に発作が起きた時間や前後の行動などを説明できると診察の役に立ちます。
固まる病気はてんかんの他にも脳炎や脳腫瘍といったものもあるので、固まるのがなおったからといって放っておくのは危険です。
病院でちゃんと診てもらってください。てんかんの発作を完全になくすことはできないため、治療はてんかんの頻度をへらす方向で行われます。
まとめ
犬が固まる理由は大きくわけて3つあります。ストレスを感じているとき、緊張や警戒をしているとき、そして病気がある場合です。どれもポジティブのことではないので、固まっているときは犬にとってネガティブな場面だと思って良いでしょう。
ほとんどの場合は放っておいても良いのですが、あまりにも長く固まっていたり、それが頻繁にあるようなら環境を見直してみることも大切です。また病気で固まることもあるので、もし心配なら獣医さんに相談してみましょう。