月齢別の育て方~0か月から12か月まで~
生後0か月(人年齢0歳)
産まれたての子犬は、わずかな感覚を頼りに母親のおっぱいを探して母乳を飲みます。0か月の子犬というと、基本的には母親が母乳を与えたり、子犬のお尻を舐めて排泄の手伝いをしたりと、母親が子犬を育てることと思います。しかし、何かしらの理由で母親がいなかったり、母親が育児放棄をしてしまったりすると、人間が育てなければいけません。
人間が育てる場合は、犬用の哺乳瓶などを使いミルクを3時間おきにあげることになります。できる限り深夜にもミルクをあげないといけませんので、この授乳期は子犬だけでなく、飼い主にとってもかなり大変な時期ともいえます。大切に育ててあげることで、子犬はすくすくと元気に育つことができますので、頑張りましょう。
ミルクはお腹がパンパンになるか、子犬が飲むのを止めるまで与えましょう。飲み終えた後は背中やお腹を少しさすってあげて、静かに寝かせておきます。もし、ウンチが柔らかすぎる感じでしたら、少し量を減らすなど、そのときの対処が必要となります。
また、生まれたての子犬は自分で排泄をすることが困難なので、ミルクを飲んだ後にぬるま湯で濡らしたティッシュや綿棒を使って、肛門や尿道を軽く優しく刺激してあげましょう。そうすることで、子犬はオシッコやウンチを出すことができます。
排泄がうまくいったら、きれいにふき取ってあげて、常に清潔を保ちます。排泄しないからと言って強く刺激したり、しつこく刺激してはいけません。
また、生後3週間ほどで目や耳が開いて視覚や聴覚が発達し始めてきます。徐々に自分の周りのものに興味を示すようになってくるといえるでしょう。
鈴木桂子
産まれた子犬は体重を量り記録を付けていきます。体重チェックは毎日行い、順調に育っているか確認しましょう。子犬は体が冷えると体力が奪われます。部屋は充分に暖かくして、特に冬場は気を付けましょう。
この時期で最も気を配らなくてはいけないのは、「充分なミルクを与えること」と「体温の低下」です。特に母親が育児放棄した場合、母親と一緒に眠るということがないため、子犬たちだけでは充分に暖まれません。湯たんぽや赤外線ストーブなどを用意しましょう。
なお、ヒーターなど温風が出る暖房器具はNGです。温風にあたり続けると、肌の乾燥や低温やけどになってしまう危険性があります。
生後1か月(人年齢1歳)
産まれてから1か月経つと、徐々に歯が生え始めてきます。食事も少しずつミルクから、柔らかいパピーフードなどの離乳食へと変えていきましょう。
食事を与える感覚は、6時間に1度くらいのペースで大丈夫です。また、この時期から成長速度が一気に速くなり、いろいろなものに対して興味が湧き、よく動き回るようになります。この頃から子犬の遊び相手になってあげていると、人間の存在に慣れさすことができますよ。
生後42日頃になると体の抗体がなくなってしまうため、この頃に初めてのワクチンをして免疫力を付けると良いそうです。基本的にワクチンは初めのワクチンを1回目として、1か月おきに2回目、3回目と合計3回すると良いと言われています。
鈴木桂子
3週齢あたりから歯が生え始め食欲も旺盛になってくるので、パピーフードを用意して、少しずつ離乳を始めましょう。
最初はティースプーンなどで少しずつ与えます。ミルク以外のものを食べ始めると、排せつも多くなり匂いも強くなるので、常に清潔を保つように気を配りましょう。
4週齢になると、動きも活発になり兄妹同士でよく遊ぶようになります。ケージやサークルなどで、活発に遊べる広いスペースを確保します。この時期に兄妹で活発に遊ぶことで基礎体力が付き、社会性が養われます。
母親が落ち着いていれば、人が訪問しても大丈夫になりますが、子犬を家族以外に触らせてもよいかどうかは、母親の様子を見てからにします。まずは顔見知りから慣らしていきましょう。
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生後2か月~3か月(人年齢3歳~5歳)
生後2か月になると、歯が生えそろい始めます。子犬の歯を観察してしっかり生えているようでしたら、少しずつ普通の固いドッグフードと水に切り替えていきましょう。(※食事の回数は1日に3~4回になります)
ドッグフードはスープやお湯などをかけて、少し時間を置き柔らかくしたものを与え、徐々に固いものをあげるようにしていきます。常に排便の様子を観察して、子犬の体調を見守ります。
また、生後2か月~5か月の間に食べ物の好き嫌いが決まるとも言われています。人間の食べ物の味を覚えないように、興味を示していても食べさせないように気を付けましょう。
犬にとって生後2か月~3か月の間が最も重要だと言われています。この時期をどう過ごすかによって犬の性格が変わったり、人や他の犬との社会性が大きく左右されたりするからだそうです。
基本的にペットショップで犬を引き取ることができるのも、この時期からとなります。いろいろな人や犬、動物と触れ合わせたり、興味あるものにとことん触れさせたりすることで、感情豊かな犬に育ちますよ。
ただ、この時期は免疫力に不安が残る期間でもあるので、一般的には外で散歩をさせるのはまだ早いとされています。3回目のワクチンを打つまでは、他の犬に会っても近づけないようにしましょう。散歩で歩かせることはまだしないで、抱っこして外の雰囲気に慣れさせてあげるとよいでしょう。生後91日以降になったら狂犬病のワクチンも必ず受けましょう。
ちなみに、トイレトレーニングなどの家でできる「しつけ」は、生後2か月から徐々にしていくと良いみたいですよ。
鈴木桂子
この時期にトイレトレーニングや、各家庭でのルールを覚えさせていきます。叱る時は短く強く、そして褒める時は思い切り褒めます。犬は言葉が分かりません。飼い主の声のトーンで、やっていいことと、いけないことを区別できるようになります。
また、爪を切ったりブラッシングなどのケアで、体に触れられることに慣れさせていきます。獣医に連れて行くことなども考え、成犬になってしまう前に、抱っこされる事にも慣れさせておいた方がよいでしょう。
生後4か月~(人年齢7歳)
生後4か月になると、ワクチンを接種し終えていると思います。体が成長して免疫も付いていますので、安心して散歩に連れて行くことができます。散歩をすることで、よりたくさんの人や犬、ものと出会わせることができ愛犬が成長しやすくなるでしょう。
生後4か月からは自我がしっかりと芽生えてくるので、この頃からしつけを始めて上下関係(飼い主との関係)をしっかりさせたり、『待て』『おすわり』などのいろいろなトレーニングをしたりすることをおススメします。
鈴木桂子
トレーニングはまず室内で、「待て」「お座り」などから始めます。出来たらうんと褒めてご褒美をあげましょう。
家族ともよく遊ぶようになるので、しっかり遊んであげるのが大事ですが、興奮しすぎてしつこく遊びをせがんだり唸ったりしたら、少し休止を入れて落ち着かせます。
歯が生えて噛みたがる時期なので、甘噛みを許していると誰にでも甘噛みするようになってしまうので、ヒートアップしてきたなと思ったら、他のことで気を逸らせたり、嚙んでもいいおもちゃを与えるなど工夫しましょう。
この時期の子犬はまだ骨が柔らかく、しっかりと形成されていません。フローリングのすべりやすい床で、モノを強く引っ張り合ったりの遊びを長く続けると、股関節や後ろ脚に影響が出足りするので気を付けましょう。
生後6か月~12か月(人年齢13歳~17歳)
生後6か月ともなると、まだ小ぶりながらも犬はかなり成長していることでしょう。時には反抗することもあるので、しっかりとトレーニングをして愛犬をしつけることが重要となります。
特に大型犬の場合は、飼い主が愛犬をきちんとコントロールできていないと、思わぬ大きな事故を起こしてしまう可能性があります。少しずつで大丈夫ですので、焦らずに愛犬をしつけましょう。
鈴木桂子
6か月になってきたら、本格的にトレーニングを開始できます。外で「待て」や「お座り」「おいで」などの訓練を始めます。
最も重要なのは「アイコンタクト」です。飼い主の位置や存在を常に意識している仔は、指示を聞こうと飼い主に神経を集中しています。その時、飼い主がそっぽを向いていたら、子犬は好き勝手してもよいと思うようになります。
犬を外で遊ばせている場合などは、決して目を離さないようにする、常に飼い主とアイコンタクトが取れる状態でいることが大事です。
まとめ
犬が1歳になるまでの期間は、性格や社交性などを育てる大切な時期となります。犬が産まれたときから育てるのはとても大変ですが、それ以上に幸せな経験ができると思います。小さな頃からいっぱい愛情を注いで、感情が豊かで元気な愛犬に育てられると良いですね。
鈴木桂子
出産間もない子犬を育て、その成長を日々見守れるというのは貴重な体験です。飼い主の優しい声と触れ合いが、子犬に家族の一員としての認識を持たせていきます。散歩で多くの犬たちに出会い、また様々の人に出会うことで、子犬は社会性を学んでいきます。
子犬の1年はとても成長が早く、1歳ですでにティーンエージャーという最も多感な年齢になります。その後の性格を確定する重要な時期ですから、大切に育ててあげましょう。