犬の不正咬合とは?
不正咬合とは、上の歯と下の歯が正常な位置になく、噛み合わせが悪くなっている状態のことを言います。
犬の歯は、乳歯のときは28本、永久歯に生え変わると42本になります。
わんちゃんの歯は、生後半年くらいの頃に乳歯から永久歯へと生え変わりますが、上の歯と下の歯がうまくしっかり噛み合わさることで、お互いが邪魔をしてしまわないようになってします。
正常な噛み合わせである場合には、臼歯がキレイに噛み合い、上顎にある切歯が下顎の切歯よりもやや前にあり、下顎にある犬歯が上顎の犬歯より前にある状態です。
しかし、不正咬合である犬の歯は、噛み合わせが悪い状態にあり、生まれつき歯並びや顎の長さに異常があることで噛み合わせが悪くなってしまうのです。
不正咬合の原因は何なのか、不正咬合であることにデメリットはあるのか、そして不正咬合の治療法について解説していきます。
犬の不正咬合の原因とは?
不正咬合の原因①「遺伝によるもの」
一部ではありますが、遺伝によって生まれつき不正咬合である犬がいます。
例えば、短頭種などがこれにあたります。
なぜ遺伝によって不正咬合である犬が生まれてしまうのか。
それは、人間の選択繁殖に原因があります。
人間の「こういった犬を生み出そう!」という判断による繁殖が、不正咬合である犬を生み出している場合もあるのです。
不正咬合の原因②「乳歯遺残によるもの」
乳歯遺残とは、その名の通り子供の歯が抜けずに残ってしまっていることを言いますが、特に小型犬に多いとされています。
正常な状態であれば、永久歯へと生え変わるはずの乳歯が、いつまでもとどまってしまうことによって、永久歯が成長することを妨げてしまうのです。
わんちゃんの乳歯は6か月ごろには正常であればすべて大人の歯へ変化しています。
しかし、この期間を過ぎても抜けることなく、残っている乳歯は遺残であると判断されます。
不正咬合の原因③「ケガ又は外傷」
子犬の頃に負ってしまった顎の関節の脱臼や、骨折が原因となり、顎が少しずれてしまったり、歯の成長のバランスが悪くなってしまうことがあります。
そのことが、不正咬合の原因となってしまうのです。
不正咬合であることのデメリットとは?
上の歯と下の歯の噛み合わせが悪いことにより、痛みが生じている可能性もあります。
痛みによって食事をすることができない犬もいるようです。
また、正常な状態である場合と比べて、歯石がつきやすいというデメリットもあります。
美観の問題として考えてしまう人もいらっしゃるのではないでしょうか。
不正咬合の治療法とは?
不正咬合の治療法①「抜歯」
もし乳歯が残っており、それが永久歯の成長を邪魔しているのであれば、永久歯の成長の妨げになってしまっている乳歯を抜歯します。
この治療法には、乳歯から永久歯へと生え変わる生後半年頃までに、噛み合わせが正常であるかの確認が必要です。
うまくキレイに噛み合わさっていない場合には、必要に応じて乳歯を抜歯します。
そうすることで、これから生えてくる永久歯の成長を妨げることを防ぐことができます。
また、場合によっては大人の歯を抜く場合もあります。
不正咬合の治療法②「矯正」
不正咬合であることに気づいたのが、歯が生え変わる時期を過ぎた後であった場合には、歯の矯正を行うことで、噛み合わせを整える治療が用いられることがあります。
歯の矯正は全ての病院で可能な治療ではありません。
まずはかかりつけの病院で問い合わせ、歯の矯正を行っているかどうか確認しましょう。
行っていないのであれば、歯の矯正を行っている病院を探します。
かかりつけの病院で相談しても良いと思います。可能であれば病院を紹介していただけることがあります。
まとめ
よく「しゃくれてる」なんて表現をしますが、実際に不正咬合である犬と暮らしている飼い主さんは、それほど気にしていない様子です。
愛犬の個性として考え、その個性が魅力的である犬もいます。
美観の問題として捉えてしまう人がいらっしゃるかもしれませんが、正直それは人間の都合なのです。
不正咬合であることによって、犬自身がつらい思いをしているのであれば、治療が必要だと思います。
食事をうまくすることができない、痛みがあるなどによって、日常生活に支障がある場合です。
しかし、噛み合わせが悪いからといって、必ず治療をしなければならないというわけではないのです。