大型犬にケージが必要な理由とは?
犬を家の中でケージに入れることに抵抗を感じる人がいるでしょう。「ケージって本当に必要なの?」という疑問に対して、犬の習性を見てみるといくつかの必要性がわかってきます。犬が安心できる場所とはどんなところかを考えてみましょう。
警戒心が弱まりリラックスできる
犬の先祖であるオオカミは横穴を掘って寝ていました。周囲を囲われた狭い穴倉の中で休むことで、敵から身を守りやすいからです。野生のオオカミにとって、自分の周りを囲われている空間は警戒心が弱まり安心できる場所でした。
身を守るための場所を持つというオオカミの習性は現代の犬たちにも受け継がれています。犬は狭い場所が好きであり、ケージの中という身を守れる場所は、犬にとって安心してリラックスするために必要です。
飼い主との信頼ができていても突然の災害や苦手なことは犬にとって大きなストレス。自分だけのプライベート空間=ケージがあれば、とても安心して過ごせます。
縄張りを認識しやすくなり問題行動が減る
犬には縄張り意識があり、自分の住む場所を守ろうとする習性を持っています。家の前を他犬が通るだけでも激しく吠えることがありますが、まさに縄張りを守ろうとしていることが理由です。
家の中で自由に過ごすことは、部屋の中すべてが犬の縄張りだと意識させることに繋がります。与えられた縄張りを必死で守ろうとして来客に警戒心を持ち、吠えるなどの問題行動となる場合も。
安心して過ごせるケージを与えることで、このような縄張り意識から解放することになり無駄吠えを予防できるでしょう。
また花火や雷などの大きな音が苦手な犬は、恐怖のあまり家から逃げてしまうこともよく聞きます。このような場合にもケージの中に入って精神的に落ち着くことができると犬も飼い主も安心です。
誤飲やケガから愛犬を守れる
飼い主の外出中などに誤飲やケガ、コードをかじってしまうなどの危険な行為をする犬は多いです。帰宅してみたら体調を崩していて病院に駆け込んだという飼い主もいるでしょう。
留守番中にケージを利用することでこのような事態を避けられます。また掃除や片付けなどで散らかっている間、ケージに入れておくと安心です。
長時間ケージに入れっぱなしは問題ですが、必要に応じて利用することで愛犬を誤飲やケガから守れる機会は増えるでしょう。
災害時の避難に役立つ
現代はいつどんな自然災害が起こるかわかりません。最近では自治体でも犬を連れて避難が認められていますが、ケージやサークルを用いることが一般的です。
普段からケージで過ごす時間がある犬は、ケージでリラックスができるのでストレスも少なくて済むでしょう。しかし一度もケージを使ったことがない犬は入ることさえ怖がるかもしれません。
人間でも不測の事態に慌てているなか、動物は強いストレスを抱えています。非常時に安心できる場所があることは精神面で重要でしょう。
大型犬にケージを手作りするメリット
小型犬のケージは量販店などでも購入しやすいですが、大型犬のケージとなると数も限定され手に入りにくいことがあります。力が強いので既製品をバラバラに破壊された飼い主もいるようです。
さらに大型犬は成長が早く子犬に合わせた大きさのケージではすぐに使えなくなることも。1年ほどで成犬の大きさに成長するので買い替えが必要になるのは大きな負担です。そのため、成犬になってからはフリーにしている家庭もあるでしょう。
そこで思い切ってケージを手作りしてみませんか?大型犬のケージを手作りするメリットを紹介していきます。
既製品よりも安く手に入る
まず第1のメリットは既製品よりもリーズナブルということです。
大型犬の市販されているケージは約30,000円~60,000円と様々ですが、大きいものはより高くなります。手作りケージの場合、使う材料は100均やホームセンターなどで揃えられるので既製品よりもかなり安く手に入れることが可能です。
犬を飼うことでかかる経費は、食費だけでも大型犬なら毎月約10,000円程度です。それ以外にも動物病院でのワクチン費用や様々なグッズなど必要になるため、ケージを購入することが難しいと感じる人も多いでしょう。手作りすることで少しでも負担が減ると幸いですね。
犬の成長に合わせてケージの大きさを変えられる
ケージのサイズは犬の大きさに合わせたものが最適。4本の足で立って上部にゆとりがあり、くるっと1回転できるくらいの大きさが望ましいです。
しかし前述したように、大型犬の場合子犬に合わせたサイズでは買い換えなければいけません。手作りケージなら犬の成長に合わせて拡張できるため成犬になっても使えます。
また大型犬といっても犬種によって体重差はかなり大きいものです。例えばラブラドールレトリーバーは約25~35kg程度ですが、ピレニーズでは約50~60kg、超大型犬では90kgを超える犬もいます。
体高もそれぞれ違いがあり、犬種に合わせたサイズという点では手作りを越えるものはないと言えるでしょう。
お部屋の雰囲気に合ったデザインで作れる
部屋の形状に合わせてケージを置きたい場所、または便利な場所があります。しかしなかなかぴったり合うケージは見つかりにくいもの。手作りならば思い通りのサイズに作ることが可能です。
またインテリアにこだわりのある飼い主であれば、犬のケージもデザインを追求したいところ。
どうしても画一的になってしまう既製品と比べて、手作りは材料や塗装をこだわることでおしゃれなデザインにできます。お部屋の雰囲気に合わせた材料選びをすると世界に一つだけの愛犬のケージが完成するでしょう。
大型犬は非常に存在感があるので、手作りのおしゃれなケージはお部屋の大きなポイントになります。愛犬がケージで休んでいる様子を眺めているとより幸せな気持ちに包まれそうです。
大型犬用ケージを手作りする方法
手作りの大型犬用ケージには木製や金属製の頑丈なものがありますが、ここでは手に入りやすい材料を使い、できるだけ簡単に作れる方法をご紹介します。
イレクターパイプを骨組みに使い、100均で売っているワイヤーネットを貼り付けていくというやり方です。
ステップ1:ケージの大きさ・形を決める
愛犬の体格に合わせて高さや幅を決めます。高さはゆとりを持って、幅は犬がゆったり横になれるように余裕をもたせましょう。
子犬の場合は成長に合わせて拡張させるため、ケージを置く場所のゆとりも必要です。室内トイレを置く場合や扉の位置も検討し、簡単な設計図を書いてから材料の買い出しに行きましょう。
ステップ2:材料を揃える
設計図に沿って必要なイレクターパイプ、ジョイント、ワイヤーネットなどの材料を調達します。
- イレクターパイプ
- パイプのジョイント
- 接続部専用の接着剤
- ワイヤーネット(ケージの大きさに合わせて準備)
- ワイヤーネット用のジョイント
- インシュロック(ワイヤーネットとパイプの接続に使用)
- 扉につける鍵
ステップ3:パイプで骨組みを組み立てる
イレクターパイプは鉄製で強度があり、犬がかじっても壊れません。長さの種類が豊富なのでカットしなくても組み立てられる場合もあるでしょう。パイプをカットする時はハンドカッターがあると女性でも簡単に切ることができます。
専用のジョイントで接続して骨組みを組み立てます。ただし、接続部分を犬がかんだりすると外れる可能性があるので、専用の接着剤を使うと頑丈になり安心です。
ステップ4:ワイヤーネットで覆う
骨組みの周囲にワイヤーネットをつけていきます。ネット同士の接続には専用の連結ジョイントを使い、骨組みとの接続には100均で売っているインシュロック(結束バンド)で止めます。結束バンドは多めに使用するのがおすすめです。
少し緩みがあると犬の身体があたったり頭や足で押したりしているうちにだんだん隙間が出てくるので、この作業はかなり丁寧に行いましょう。
ステップ5:扉に鍵をつける
鍵はさまざまな種類がありますので、頑丈な物を選びましょう。ワイヤーネットに止める際もしっかりと動かないようにして、隙間ができないことを確認します。2か所設置するとより安心ですね。
ケージ全体の強度をよく確認して完成です。ケージの上部に犬用グッズが置けるので空間を効率よく使えます。ケージを拡張する時にはパイプやネットを付け足すことで簡単に大きくできるのがメリットです。
パイプの色やワイヤーネットの飾りをつけたりするとオリジナル感が発揮できますね。
▼「犬のケージ」の基本を知りたい方はこちら
まとめ
大型犬は室外で飼われることが多く庭の犬小屋にいるイメージがありましたが、最近は室内で過ごすことも増えてきました。のんびりと穏やかな性格の子も多く存在感は非常に大きいです。犬の習性を理解し、室内でも安心してリラックスできるケージを与えてあげましょう。
最初からケージにすんなり入ってくれるとは限りませんので、少しずつ慣れていけるように飼い主が工夫してあげてください。自分からケージに入って眠ることができれば、「自分の場所」という認識ができたことになります。
今回ご紹介した手作りケージは費用も安くすみ、組み立ても簡単。軽いので設置や掃除がしやすいこともメリットです。他にもDIYが好きで木製のケージを手作りされている飼い主も。ぜひ手作りケージにチャレンジしてみてくださいね。