犬は柿を食べても大丈夫？
犬は熟した甘柿であれば、少量を与えても問題ありません。
ただし、柿は糖分が多く、食べすぎると肥満の原因になるおそれがあります。とくに糖尿病や肥満傾向のある犬、腎臓や心臓に持病がある犬は、与える前に獣医師へ相談するのが安心です。
渋柿や未熟な柿は、渋み成分であるタンニンが多く含まれ、犬の胃腸に負担をかけるため与えないでください。また、干し柿は添加物や種を含まない場合でも、糖分とカロリーが高く、頻繁に与えると肥満や糖尿病のリスクを高めます。
あくまで「食べられるが積極的には与えない」程度にとどめ、日常的なおやつには向きません。 柿を与える際は、まず愛犬の体調を最優先にし、不安がある場合は事前に獣医師へ確認すると安心です。
柿に含まれる主な栄養素と犬への影響
柿には犬の健康維持に役立つ栄養素がいくつか含まれています。主な栄養素とそれぞれが犬の体に与える影響を具体的に解説します。
ビタミンC
ビタミンCは抗酸化作用を持ち、犬の細胞の老化防止や免疫力の維持に役立つ栄養素です。犬は体内でビタミンCを生成できますが、ストレスや加齢で消耗することがあるため、補助的に食事から摂取すると体調管理に役立ちます。
β-カロテン
β-カロテンは犬の体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、視力を健康に保つ働きをします。
ただし、犬のβ-カロテンからビタミンAへの変換効率はそれほど高くありません。適量であれば問題ありませんが、大量摂取はビタミンA過剰症の原因となるため控える必要があります。
ペクチン（水溶性食物繊維）
柿に含まれる食物繊維、特にペクチンという水溶性食物繊維は、腸内環境を整え、便通を良くする効果が期待できます。ただし、過剰摂取すると逆に消化不良や下痢を引き起こす可能性があるため、与えすぎには注意が必要です。
犬への柿の安全な与え方
柿を犬に与える際は、必ず熟した甘柿を選び、消化しにくい皮・種・ヘタだけでなく、果実についている硬い花萼（かがく）や軸も完全に取り除いてください。与えるのは果肉部分のみとします。
喉に詰まることを防ぐため、小型犬から大型犬まですべての犬種で、柿を細かく刻んだりすりつぶしたりして与えるのが安全です。
犬に与えてもいい柿の量
柿は犬にとって主食ではなく、あくまでもおやつとして与えるものです。犬に与える1日のおやつ量は、1日に必要な総カロリーの10%以内が理想です。
柿は糖分や食物繊維が豊富であるため、この10％以内でも控えめな量にとどめることが望ましいでしょう。
以下に犬の体重別の適量の目安をまとめました。
| 犬のサイズ（体重） | 柿の目安量（1日あたり） | 分かりやすい目安サイズ |
|---|---|---|
| 小型犬（5kg程度） チワワ、トイプードルなど |
15g～20g | 約2cm角を2個程度 |
| 中型犬（10kg程度） 柴犬、ビーグルなど |
約30g | 約2cm角を3個程度 |
| 大型犬（20kg以上） ラブラドールレトリバーなど |
50g～60g | 約2cm角を5～6個程度 |
子犬やシニア犬の場合、消化機能が未発達だったり弱っていたりすることがあるため、さらに少ない量で様子を見るか、控えることをおすすめします。
犬に柿を与える際の注意点
柿は正しい方法と量を守れば犬が食べても問題ありませんが、犬の健康を守るために必ず知っておきたい重要なポイントがあります。特に、持病やアレルギーがある犬の場合、慎重に確認する必要があります。
タンニンの多い渋柿・未熟果は与えない
渋柿や未熟な柿には渋みのもとである「タンニン」が多く含まれています。タンニンを多量に摂取すると、犬の胃腸に負担がかかり、消化不良や便秘などの胃腸障害を引き起こすリスクがあります。必ず熟した甘柿だけを選びましょう。
干し柿は与えすぎ注意、基本的に避ける
干し柿は種や添加物が含まれないものであっても、糖分が凝縮されカロリーも非常に高くなっています。継続的に与えると肥満や糖尿病などの生活習慣病リスクを高める可能性があるため、積極的には与えないほうが安全です。
消化できない種・皮・ヘタは必ず除去
柿の種や皮、ヘタ、硬い花萼や軸は消化が難しく、腸閉塞（ちょうへいそく）という非常に危険な状態を引き起こす恐れがあります。
柿を与える際は必ずこれらを完全に取り除き、細かく切った果肉のみを与えてください。
腎臓・心臓病の犬は柿を控える
柿にはカリウムが比較的多く含まれています（100gあたり約170mg）。腎臓や心臓に疾患を抱える犬はカリウムの排出がうまくいかず、高カリウム血症という状態になる危険性があります。
持病がある犬は必ず獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
初回は少量でアレルギー症状を確認
犬にも食物アレルギーの可能性があります。初めて柿を与える場合は1cm角未満のごく少量から始め、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみ、目の充血などがないか数時間から1日は様子を観察してください。
異変があれば直ちに与えるのをやめ、獣医師に相談してください。
まとめ
犬は熟した甘柿を少量与える程度なら問題ありません。柿にはビタミンCやβ-カロテン、ペクチンなどの栄養素が含まれており、適量なら犬の健康維持にも役立ちます。
ただし、糖分が多いため与えすぎると肥満の原因になるほか、渋柿や未熟な柿、種・皮・ヘタなどは腸閉塞や胃腸障害のリスクがあるため必ず取り除いてください。
また、干し柿は糖分とカロリーが高いため、肥満や糖尿病リスクを高める可能性があります。持病やアレルギーがある犬の場合、与える前に必ず獣医師へ相談するようにしましょう。
