ラブラドールレトリバーの毛色は3種類
ラブラドールレトリバーの基本的な毛色は、ブラック・イエロー・レバー/チョコレートの3種類です。いずれも犬種標準で認められている毛色で、それぞれ異なる魅力があります。
同じ毛色でも色合いに違いが見られることがあり、毛並みや光の当たり方によっても印象が変わります。ここでは、3種類の毛色の特徴を紹介します。
ブラック(黒ラブ)
ブラックは、全身が黒い被毛で覆われた毛色です。日本では「黒ラブ」という愛称でも親しまれています。
ラブラドールレトリバーの短く密集した被毛は、光が当たるとつやが際立ち、深みのある黒色に見えます。全身が黒一色でまとまった、落ち着いた印象の毛色です。
イエロー
イエローは、黄色やクリーム系の被毛を持つ毛色です。明るく柔らかな色合いが特徴で、ラブラドールレトリバーを代表する毛色の一つとして知られています。
同じイエローでも色の濃さには幅があり、淡く優しい色合いの個体から、はっきりとした黄色みを感じる個体までさまざまです。
チョコレート(レバー)
チョコレートは、茶色系の被毛を持つ毛色です。「チョコラブ」という愛称でも知られ、犬種標準では「レバー/チョコレート」と表記されています。
ミルクチョコレートのような明るい茶色から、ダークチョコレートを思わせる濃い焦げ茶色まで、色調には幅があります。
ブラックやイエローとは異なる、深みのあるブラウン系の毛並みが特徴です。
白・フォックスレッド・シルバーなどの毛色
ラブラドールレトリバーには、基本の3色以外にも「ホワイト」「フォックスレッド」「シルバー」などの呼び方があります。
ただし、これらがすべて独立した毛色として認められているわけではありません。基本毛色の濃淡を表す名称もあれば、犬種標準には含まれない色もあります。
また、胸元に白い毛が見られることもあります。それぞれの毛色や模様がどのように扱われているのかを見ていきましょう。
白(ホワイト)・フォックスレッドはイエローの濃淡
白に近い毛色のラブラドールレトリバーは、「ホワイトラブ」などと呼ばれることがあります。しかし、ホワイトは独立した基本毛色ではなく、非常に淡いイエローを指す一般的な呼び方です。
一方、キツネの毛並みを思わせる赤みの強い色合いは「フォックスレッド」と呼ばれます。オレンジや赤茶色に近く見えることもありますが、こちらもイエローに分類されます。
ラブラドールレトリバーのイエローには、明るいクリーム色から濃いフォックスレッドまで幅広い色調が含まれます。そのため、ホワイトやフォックスレッドは、第4・第5の独立した毛色ではありません。
シルバー・灰色は基本3色に含まれない
シルバーラブラドールは、銀色や灰色がかった被毛を持つ犬の呼び方です。一般的なチョコレートとは異なり、淡いグレーや銀色を帯びた茶色に見えることがあります。
こうした色合いには、被毛の色素が通常より薄く現れる「希釈」と呼ばれる遺伝的な仕組みが関係する場合があります。
ただし、シルバーや灰色は、ラブラドールレトリバーの犬種標準で認められている基本3色には含まれていません。
なお、犬種標準で認められていない毛色であることと、その犬が純血種かどうかは別の問題です。シルバーという毛色だけを理由に、必ず他犬種との交雑であると断定することはできません。
胸の白い斑とミスカラー
ラブラドールレトリバーでは、ブラックやチョコレートなどの被毛に、部分的な白い毛が見られることがあります。特に胸元に現れる小さな白斑は、犬種標準でも許容されています。
そのため、胸に白い毛が少し混じっているだけで、犬種標準から外れた毛色や雑種と判断されるわけではありません。
一方、犬種標準で認められていない毛色や模様を、一般に「ミスカラー」と呼ぶことがあります。ただし、ミスカラーはラブラドールレトリバーの正式な毛色名ではありません。
また、全身が白っぽく見える淡いイエローと、胸の一部分に白斑がある場合は異なります。白い毛の有無だけで判断せず、毛色全体の特徴を見て区別することが大切です。
ラブラドールレトリバーの毛色と性格の関係
ラブラドールレトリバーの性格は、毛色だけで決まるものではありません。「ブラックは活発」「イエローは穏やか」「チョコレートはやんちゃ」といったイメージがありますが、実際の性格には個体差があります。
海外では、ラブラドールレトリバーの毛色と行動特性の関係を調べた研究が行われています。飼い主へのアンケート調査では、毛色と興奮しやすさ、訓練のしやすさなど、一部の行動に関連が見られた例があります。
しかし、別の研究では同じ結果が確認されておらず、毛色によって性格が明確に分かれるという科学的な結論は得られていません。
犬の性格や行動には、生まれ持った気質に加え、子犬期の社会化やしつけ、生活環境などが関係します。社会化とは、人やほかの犬、さまざまな音や場所に少しずつ慣れていくことです。
ラブラドールレトリバーを迎える際は、毛色のイメージだけで判断せず、実際の子犬の行動や親犬の気質、育ってきた環境などを確認しましょう。それぞれの犬の特徴を理解することが、相性のよいパートナー選びにつながります。
毛色が決まる遺伝の仕組み
ラブラドールレトリバーの基本的な毛色は、主に「TYRP1」と「MC1R」という2つの遺伝子の組み合わせによって決まります。
TYRP1はブラックとチョコレートの違いに、MC1Rはイエローの発現に関係する遺伝子です。
犬はそれぞれの遺伝子について、父犬と母犬から一つずつ型を受け継ぎます。その組み合わせによって、見た目の毛色が決まる仕組みです。
ブラックとチョコレートの遺伝
ブラックとチョコレートの違いには、TYRP1という遺伝子が関係しています。この遺伝子がある領域は「B遺伝子座」と呼ばれます。
基本的な仕組みを説明する際には、黒色に関わる型を「B」、茶色に関わる型を「b」と表します。
Bはbに対して優性のため、B/BまたはB/bの組み合わせでは、ほかの毛色遺伝子の条件がそろうとブラックになります。
一方、b/bの組み合わせでは、ユーメラニンと呼ばれる黒・茶系の色素が黒ではなく茶色として現れ、チョコレートの被毛になります。
つまり、ブラックの犬でもB/bであれば、見た目には現れていない茶色に関わる遺伝情報を持っていることになります。
イエローの遺伝
イエローの毛色には、MC1Rという遺伝子が関係しています。この遺伝子がある領域は「E遺伝子座」と呼ばれます。
一般的に、黒や茶色の色素を被毛に現す働きに関わる型を「E」、イエローに関係する劣性の型を「e」と表します。
E/EまたはE/eの組み合わせでは、TYRP1などの働きによってブラックかチョコレートになります。
これに対して、e/eの組み合わせでは、黒や茶色の色素が被毛に現れなくなり、フェオメラニンという赤・黄色系の色素によってイエローになります。
このため、イエローの犬もブラックやチョコレートに関わる遺伝情報を持っていますが、その色は被毛には現れません。
なお、イエローの細かな濃淡には、ほかの遺伝的な要素も関係しています。
親犬と違う毛色の子犬が生まれる理由
ラブラドールレトリバーでは、親犬と異なる毛色の子犬が生まれることがあります。これは、親犬が見た目には現れていない毛色の遺伝情報を持っているためです。
例えば、両親がブラックでも、どちらもイエローに関わる「e」を持っていれば、子犬がe/eとなり、イエローとして生まれる可能性があります。
同じように、ブラックの両親がともに茶色に関わる「b」を持っている場合、子犬がb/bとなり、チョコレートになることもあります。ただし、その子犬がイエローにならない遺伝子の組み合わせであることも条件です。
このように、外見が同じ毛色でも、持っている遺伝子の組み合わせは必ずしも同じではありません。
親犬の毛色だけでは、生まれる子犬の毛色を完全に予測することはできませんが、毛色に関わる遺伝子型を検査で調べることで、生まれ得る基本毛色をより詳しく把握できます。
まとめ
ラブラドールレトリバーは、毛色によって見た目の印象が大きく変わる犬種です。さまざまな呼び名がありますが、犬種標準で認められている毛色と、色合いを表す一般的な名称を区別して理解することが大切です。
また、毛色には遺伝的な仕組みが関係しており、同じ毛色の親犬から異なる色の子犬が生まれることもあります。毛色の違いを知ることで、ラブラドールレトリバーの多彩な外見をより深く理解できるでしょう。
ただし、毛色だけで性格や飼いやすさが決まるわけではありません。家族として迎える際には、好みの毛色だけでなく、それぞれの犬の健康状態や気質、育ってきた環境にも目を向けましょう。
どの毛色にもそれぞれの魅力があります。見た目の違いを楽しみながら、一頭一頭の個性を大切にし、日々の運動やお手入れ、健康管理を通して信頼関係を育んでいくことが大切です。



