ラブラドールレトリーバーの平均寿命は12〜13歳が目安
ラブラドールレトリーバーの平均寿命は、国内外の調査を踏まえると、12〜13歳前後をひとつの目安にするとよいでしょう。
アニコム損害保険の「家庭どうぶつ白書2025」では、2023年度のラブラドールレトリーバーの平均寿命は12.7歳でした。同資料では、各年齢の契約頭数と死亡解約の届け出をもとに生命表を作成し、0歳時点の平均余命を「平均寿命」としています。
一方、英国の大規模調査では、ラブラドールレトリーバーの寿命中央値は13.1歳でした。中央値とは、寿命のデータを短い順に並べたときに中央に位置する値です。
国内データとは調査対象や算出方法が異なるため単純には比較できませんが、いずれも12〜13歳前後が寿命を考える際の参考になります。
ただし、平均寿命は一頭一頭の寿命を決めるものではありません。実際に何歳まで生きるかには個体差があり、平均を下回る場合もあれば、大きく上回って長生きする場合もあります。
大型犬として見たラブラドールレトリーバーの寿命
ラブラドールレトリーバーは大型犬に分類されます。一般に、犬では体の大きな犬種ほど小型犬より寿命が短い傾向があり、英国の大規模調査でも、大型の純血種は小型・中型の純血種より寿命中央値が短い結果となっています。
同調査では、大型の純血種全体の寿命中央値が11.9歳だったのに対し、ラブラドールレトリーバーは13.1歳でした。そのため、大型犬だからといって、ラブラドールレトリーバーが特に短命な犬種というわけではありません。
なお、犬の体格と寿命に関連が見られる理由については、まだ完全には解明されていません。犬種による寿命の違いには体格だけでなく、遺伝的な背景など複数の要素が関係していると考えられています。
17〜19歳まで長生きした例も報告されている
ラブラドールレトリーバーでは、平均的な寿命を大きく超えて17歳以上まで生きた例も報告されています。
39頭のラブラドールレトリーバーを追跡した研究では、最も長生きした犬は17.9歳でした。また、研究内で比較に用いられた英国ケネルクラブの過去の調査データには、19.0歳まで生きた個体も含まれていました。
ただし、17〜19歳という年齢は平均的な寿命ではなく、長寿だった個体の記録です。「ラブラドールレトリーバーは19歳まで生きる」と一般化したり、19歳を犬種としての最高寿命と考えたりすることはできません。
ラブラドールレトリーバーの年齢を人間に換算した目安
犬の年齢を人間の年齢に換算する方法にはさまざまな考え方があります。ラブラドールレトリーバーについては、DNAのメチル化を人間と比較して年齢を換算した研究もあります。
DNAのメチル化とは、DNAにメチル基という小さな化学構造が付加される変化のことです。この研究では、ラブラドールレトリーバーと人間の加齢に伴う変化を比較し、犬と人間の年齢の関係を表す換算式が示されました。
- 3歳:約49歳
- 7歳:約62歳
- 10歳:約68歳
- 12歳:約71歳
- 14歳:約73歳
この換算では、若い時期ほど人間年齢が大きく進み、その後は年齢の上がり方が緩やかになります。よく知られる「犬の年齢に一定の数字を掛ける」という換算法とは異なる考え方です。
ただし、これはDNAの加齢変化を比較した研究モデルによる目安であり、すべてのラブラドールレトリーバーの身体状態や老化の程度を正確に表すものではありません。愛犬の年齢を考える際の参考値として捉えるとよいでしょう。
ラブラドールレトリーバーの毛色と寿命の関係
ラブラドールレトリーバーには、ブラック、イエロー、チョコレートの毛色があります。
毛色だけで一頭一頭の寿命を予測することはできませんが、英国の研究ではチョコレートの個体と、それ以外の毛色の個体で寿命に差がみられたことが報告されています。
英国のラブラドールレトリーバーを対象とした研究では、チョコレートの個体の寿命中央値は10.7歳、ブラックとイエローを合わせた非チョコレートの個体では12.1歳でした。
ただし、この結果から「チョコレートの毛色そのものが寿命を短くする」と考えることはできません。
チョコレートは潜性遺伝によって現れる毛色であり、研究では、特定の毛色を得るための交配によって遺伝的な背景が偏った可能性などが考察されています。
また、この寿命差は英国の一つの研究で確認されたもので、ほかの国や集団でも同じ程度の差が生じると確認されているわけではありません。
そのため、「ブラックなら長生きする」「チョコレートだから短命」と毛色だけで判断するのは適切ではありません。
毛色による寿命の違いは研究で示された傾向のひとつとして捉え、個体ごとの寿命とは分けて考えることが大切です。
ラブラドールレトリーバーに長生きしてもらうためにできること
ラブラドールレトリーバーの寿命には個体差があり、「これをすれば必ず長生きできる」という方法はありません。ただし、日頃の健康管理によって、健やかに暮らせる期間を支えることはできます。
特に意識したいのは、太りすぎを防いで適正な体型を保つこと、年齢や体調に合わせて運動を続けること、定期的に健康状態を確認することです。
若いうちから無理のない生活習慣を整え、年齢や体調の変化に合わせて食事や運動、健康管理の方法を見直していきましょう。
適正な体重・体型を維持する
ラブラドールレトリーバーは、体重の数字だけでなく体型も確認しながら、太りすぎを防ぐことが大切です。
ラブラドールレトリーバー48頭を生涯にわたって追跡した研究では、対照犬より25%少ない量を給餌したグループで、寿命の中央値が約1.8年長かったことが報告されています。
ただし、これは特定の条件で行われた研究であり、家庭で愛犬の食事量を一律に25%減らせば長生きするという意味ではありません。必要なエネルギー量は、年齢や体格、運動量、避妊・去勢の有無などによって異なります。
体型を確認するときは、体重とあわせてBCS(ボディ・コンディション・スコア)を参考にできます。BCSとは、肋骨の触れやすさや腰のくびれなどから、痩せすぎ・適正・太りすぎを判断する方法です。
定期的に体重と体型を確認し、増減が続く場合は食事量を自己判断で大きく変えるのではなく、動物病院に相談しながら調整するとよいでしょう。
年齢や体調に合った運動を続ける
適度な運動を続けることは、筋力や体力を保ち、適正な体型を維持するうえで大切です。
ラブラドールレトリーバーは活発に体を動かす犬も多いですが、必要な運動量には個体差があります。長時間歩かせたり激しい運動をさせたりすればするほど健康によい、というわけではありません。
散歩の距離や時間は、年齢、体力、気温、その日の体調などに合わせて調整しましょう。歩くペースが落ちる、途中で立ち止まる、帰宅後まで強い疲れが残るといった様子がある場合は、運動量を見直す目安になります。
年齢を重ねても、体調に問題がなければ無理のない範囲で体を動かす機会を保つことが大切です。愛犬の歩き方や疲れ方を観察しながら、その時々に合った運動を続けましょう。
定期健診と日頃の健康チェックを続ける
病気や体の変化を早めに見つけるためには、動物病院での定期健診と、家庭での日頃の健康チェックを続けることが大切です。
健康診断では、問診や身体検査のほか、年齢や健康状態に応じて血液検査や尿検査などが行われます。必要な検査の種類や受診頻度は、年齢や持病の有無などによって異なるため、かかりつけの獣医師と相談して決めましょう。
また、家庭でも食欲や飲水量、排泄の状態、歩き方、呼吸の様子などを普段から観察しておくと、いつもとの違いに気づきやすくなります。
体重の急な増減、食欲低下、元気がない状態が続くなど、普段と異なる変化が見られた場合は、「年齢のせい」と決めつけず、早めに動物病院へ相談しましょう。
ラブラドールレトリーバーで注意したい病気
ラブラドールレトリーバーは、あらゆる病気にかかりやすい犬種というわけではありません。ただし、関節や運動器の病気など、犬種として注意したい健康上の傾向が報告されています。
また、年齢を重ねるにつれて腫瘍性疾患が見つかることもあるほか、大型犬で起こることがある胃拡張・胃捻転症候群にも注意が必要です。
病気によって症状や緊急性は異なります。普段の歩き方や食欲、体の変化などを観察し、いつもと違う様子が続く場合は動物病院へ相談しましょう。
関節・運動器の病気
ラブラドールレトリーバーでは、股関節形成不全や肘関節異形成、前十字靭帯の損傷など、関節や運動器の病気に注意が必要です。
これらの病気はそれぞれ発症の仕組みが異なり、遺伝的な背景や体格、体重、骨や関節の発達など複数の要因が関係します。
股関節形成不全は、股関節の発育に異常が生じ、関節が不安定になる病気です。肘関節異形成は、成長期に肘関節が正常に形成されず、痛みや歩行異常につながることがあります。
前十字靭帯は膝関節を安定させる組織で、損傷すると急に後ろ足をかばったり、地面に足をつけにくくなったりすることがあります。
立ち上がるのを嫌がる、歩き方がいつもと違う、散歩の途中で立ち止まる、足を引きずるといった変化が見られた場合は、「年齢のせい」と決めつけず動物病院へ相談しましょう。
腫瘍性疾患
ラブラドールレトリーバーでは、腫瘍性疾患についても注意しておきたい傾向が報告されています。ただし、「ラブラドールだから必ず腫瘍ができる」という意味ではありません。
腫瘍は皮膚や皮下だけでなく、体のさまざまな場所に発生します。種類によって良性・悪性や進行の速さが異なるため、見た目だけで性質を判断することは困難です。
体を触ったときに新しいしこりを見つけた、以前からあるしこりが大きくなった、出血やただれが続くといった変化がある場合は、動物病院で確認してもらいましょう。
必要に応じて、細い針で細胞を採取して調べる細胞診や、組織の一部を採取して詳しく調べる生検などが行われることがあります。
胃拡張・胃捻転症候群
胃拡張・胃捻転症候群は、胃にガスや液体がたまって大きく膨らみ、さらに胃がねじれることがある緊急性の高い病気です。
ラブラドールレトリーバーだけに起こる病気ではありませんが、大型犬で発症することがあるため、飼い主が症状を知っておくことが大切です。
お腹が急に膨らむ、吐こうとしても何も出ない、よだれが増える、落ち着かず動き回る、急に元気がなくなるといった症状が見られることがあります。
胃拡張・胃捻転症候群は短時間で状態が悪化することがあります。疑わしい症状が見られた場合は家庭で様子を見続けず、すぐに動物病院へ連絡して受診してください。
ラブラドールレトリーバーがシニア期を迎える目安
ラブラドールレトリーバーが何歳からシニア期に入るかについて、すべての犬に共通する明確な年齢基準があるわけではありません。
大型犬は小型犬より早い時期から加齢による変化が現れる傾向があるため、ラブラドールレトリーバーでは7〜8歳頃から、体調や生活の変化をこれまで以上に意識しておくとよいでしょう。
ただし、老化の進み方には大きな個体差があります。同じ年齢でも活発に過ごす犬もいれば、足腰や感覚機能に少しずつ変化が出る犬もいるため、年齢だけでシニアかどうかを判断する必要はありません。
シニア期に見られやすい体や行動の変化
年齢を重ねると、口元や顔まわりに白い毛が増える、被毛の艶が変わるといった外見上の変化が見られることがあります。
行動面では、寝ている時間が長くなる、歩く速度がゆっくりになる、階段や段差をためらう、以前ほど長く遊ばなくなるなどの変化が現れることもあります。
また、視力や聴力が低下すると、呼びかけへの反応が鈍くなったり、暗い場所や慣れない環境で戸惑ったりする場合があります。
一方で、急に元気がなくなる、食欲が落ちる、立ち上がれない、歩き方が大きく変わるといった症状は、単なる老化とは限りません。
急な変化や生活に支障をきたす変化が見られた場合は、年齢のせいと決めつけず動物病院へ相談しましょう。
シニア期に整えたい生活環境と過ごし方
シニア期には、若い頃と同じ生活を無理に続けるのではなく、筋力や視力などの変化に合わせて暮らしやすい環境を整えることが大切です。
フローリングなど滑りやすい床にはマットやカーペットを敷き、よく通る場所の段差をできるだけ減らすと、足腰への負担や転倒を防ぎやすくなります。
寝床は落ち着いて休める場所に設け、立ち上がりやすさや体の冷えにも配慮しましょう。水や食事にも無理なく移動できるよう、生活動線を整えることも役立ちます。
散歩や遊びも完全にやめるのではなく、体調に合わせて距離や時間、ペースを調整します。その日の様子を見ながら、無理なく体を動かせる機会を保つことが大切です。
シニア期は「何歳になったか」だけを見るのではなく、その犬の歩き方や食欲、睡眠、反応など日々の変化に合わせて、快適に過ごせる環境を整えていきましょう。
まとめ
ラブラドールレトリーバーの平均寿命は12〜13歳前後がひとつの目安ですが、実際に何歳まで生きるかには個体差があります。毛色や年齢だけで寿命や健康状態を判断することはできません。
健やかな暮らしを支えるためには、太りすぎを防いで適正な体型を保ち、年齢や体調に合わせて無理なく体を動かすことが大切です。
あわせて、定期的な健康チェックを続け、普段との小さな違いに気づけるようにしておきましょう。
年齢を重ねると体力や行動に少しずつ変化が現れますが、急な食欲低下や歩き方の変化などを単なる老化と決めつけないことも重要です。
愛犬のその時々の状態に合わせて生活環境やケアを見直し、無理なく快適に過ごせる毎日を支えていきましょう。



