【獣医師監修】ダックスフンドの種類は?大きさ・被毛・毛色の違いを解説

【獣医師監修】ダックスフンドの種類は?大きさ・被毛・毛色の違いを解説

ダックスフンドの大きさによる3つの種類や、スムース・ロング・ワイアーの被毛タイプ、毛色の違いを詳しく解説します。性格や適切な運動量、しつけ、日常のケア、寿命の目安、椎間板ヘルニアなど注意したい病気も紹介。狩猟犬として発展した歴史や、健やかに暮らすための飼い方が分かります。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

ダックスフンドってどんな犬?

芝生の上で横向きに立っているダックスフンド

ダックスフンドは、ドイツを原産とする狩猟犬です。地中の巣穴に入り込み、アナグマなどの獲物を追う役割を担ってきました。

地面に近い短い脚と細長い胴体を持つ独特の姿が印象的ですが、この体型は狭い巣穴の中を進み、前脚で土を掘る仕事に適するよう形成されたものです。

家庭犬として親しまれている現在も、優れた嗅覚や粘り強さ、獲物を追う本能を受け継いでいます。

犬種名の「Dachshund」は、ドイツ語でアナグマを意味する「Dachs」と、犬を意味する「Hund」に由来します。日本では「ダックスフンド」のほか、ドイツ語の発音に近い「ダックスフント」と呼ばれることもあります。

また、ドイツでは「ダッケル」や「テッケル」という呼び名も使われています。「テッケル」は、狩猟や作業能力を重視する場面で用いられることがある名称です。

小柄で愛らしい印象を持たれやすい一方、もともとは自ら判断しながら獲物と向き合ってきた勇敢な犬です。見た目だけでなく、狩猟犬としての活動性や自主性も理解したうえで迎える必要があります。

ダックスフンドの種類は大きさと被毛で9種類

体格や毛質が異なる3頭のダックスフンド

ダックスフンドには、大きさによる3つの区分と、被毛による3つのタイプがあります。

これらを組み合わせると、「ミニチュア・ロングヘアード」や「カニーンヘン・スムースヘアード」のように、合計9つのバラエティーに分けられます。

さらに、レッドやブラック&タン、ダップルなど、さまざまな毛色や模様が見られます。ただし、毛色は大きさや被毛タイプのように、ダックスフンドの種類を分ける区分ではありません。

大きさはスタンダード・ミニチュア・カニーンヘンの3種類

  • スタンダード:オス 37cm超~47cm以下、メス 35cm超~45cm以下
  • ミニチュア:オス 32cm超~37cm以下、メス 30cm超~35cm以下
  • カニーンヘン:オス 27cm~32cm以下、メス 25cm~30cm以下

ダックスフンドの大きさは、スタンダード、ミニチュア、カニーンヘンの3つに分けられます。判定には体重や体高ではなく、生後15カ月を過ぎた時点で測定した胸囲が用いられます。

スタンダードは、オスが37cmを超えて47cm以下、メスが35cmを超えて45cm以下です。3つのなかでは最も大きく、骨格や胸部がしっかりとしています。

ミニチュアは、オスが32cmを超えて37cm以下、メスが30cmを超えて35cm以下です。日本で広く親しまれており、一般に「ミニチュア・ダックスフンド」と呼ばれています。

カニーンヘンは最も小さく、オスが27cmから32cm以下、メスが25cmから30cm以下です。「カニーンヘン」はドイツ語でウサギを意味し、ラビット・ダックスフンドと呼ばれることもあります。

子犬の時点では成犬時の胸囲が確定していないため、成長によって当初想定されていた区分と異なる大きさになる場合があります。

また、体重はサイズを決める基準ではないため、同じ区分でも骨格や体つきによって差が見られます。

被毛はスムース・ロング・ワイアーの3種類

  • スムースヘアード:短く密生し、体に沿うなめらかな被毛
  • ロングヘアード:やわらかく長い被毛と、耳・胸・脚・尾などの飾り毛
  • ワイアーヘアード:硬い上毛とやわらかな下毛、眉毛や口ひげのような飾り毛

ダックスフンドの被毛は、スムースヘアード、ロングヘアード、ワイアーヘアードの3タイプに分けられます。同じ大きさでも、毛の長さや質感によって外見の印象が大きく異なります。

スムースヘアードは、短く密生した被毛が体に沿って生えています。光沢のあるなめらかな毛並みによって、胴の長さや筋肉のつき方が分かりやすいタイプです。

ロングヘアードは、やわらかく光沢のある長い被毛を持ち、耳の下側や首、胸、腹部、脚の後ろ側、尾などに飾り毛が見られます。なめらかに流れる毛並みが、優雅な印象を与えます。

ワイアーヘアードは、硬く密生した上毛とやわらかな下毛を持つタイプです。目の上にある眉毛や、マズルに生えるひげが特徴で、ほかの2タイプとは異なる素朴で力強い表情を見せます。

ダックスフンドの毛色・模様の種類

  • 単色:レッド
  • 2色:ブラック&タン、ブラウン&タン
  • 模様:ダップル、ブリンドル
  • ワイアーヘアードに見られる毛色:ワイルドボア
  • 一般的な通称:チョコタン、シルバーダップル、チョコダップル
  • 犬種標準外となる毛色:ブルー、イザベラ、パイボールドなど

ダックスフンドには、単色、2色、模様の入った毛色があります。被毛タイプによって認められている色や模様が一部異なるため、すべての毛色が3つの被毛タイプに共通するわけではありません。

単色ではレッドが代表的です。濃淡には個体差があり、黒い毛が部分的に混じる場合もあります。

2色では、ブラック&タンやブラウン&タンがよく知られています。目の上やマズル、前胸、脚、尾の下側などに、地色とは異なるタン・マーキングが入ります。

模様のある毛色には、地色のなかに不規則な斑が現れるダップルや、濃い縞模様が入るブリンドルがあります。ワイアーヘアードでは、複数の色が混じり合ったワイルドボアも代表的です。

一般には「チョコタン」「シルバーダップル」「チョコダップル」などの呼び名も使われています。「チョコタン」はブラウン&タン、「シルバーダップル」はブラックを基調とするダップルを指すことが多い通称です。

一方、ブルー、イザベラ、パイボールドなど、販売時に珍しい毛色として紹介される色のなかには、犬種標準から外れるものがあります。

毛色の名称だけで判断せず、迎える際は親犬の健康状態や繁殖方針、子犬の飼育環境についても確認することが大切です。

また、ダップル同士の交配によって、同じマール遺伝子を両親から受け継いだ子犬が生まれると、聴覚や眼に異常が現れるリスクが高まります。珍しい模様を作ることだけを目的とした繁殖には注意が必要です。

ダックスフンドは種類によって性格が違う?

楽しそうな表情で駆けるダックスフンド

ダックスフンドは、明るく好奇心旺盛で、家族に深い愛情を示す犬種です。飼い主のそばで過ごすことを好み、甘えん坊な一面も見せます。

一方で、狩猟犬として自ら判断しながら獲物を追ってきたため、勇敢で粘り強く、独立心も備えています。自分の意思を曲げにくく、頑固に見えることもありますが、犬種本来の自主性によるものです。

警戒心が働きやすく、物音や見慣れない人に対して声で知らせる傾向があります。また、地面を掘る、臭いを熱心に追う、小さく動くものに反応するといった行動には、狩猟犬としての本能が表れています。

子どもやほかの犬との相性は、個体の性格や幼い頃の経験によって異なります。小鳥やハムスターなどの小動物には追跡本能が刺激される場合があるため、同じ空間で過ごさせる際は慎重な管理が必要です。

ダックスフンドを飼うときのポイント

散歩中に飼い主の足元で後ろを振り返るダックスフンド

ダックスフンドと暮らすうえでは、活動量に合った運動を取り入れながら、滑りにくく安全な室内環境を整えることが大切です。

食事は年齢や体格、活動量に合わせて適量を与え、おやつを含めた1日の摂取量を管理しましょう。体重だけでなく、肋骨の触れやすさや腰のくびれも定期的に確認すると、体型の変化に気づきやすくなります。

室内ではフローリングに滑り止めマットを敷き、階段や高い家具からの転落を防ぐ工夫を行います。ソファなどを利用させる場合は、急な飛び降りを避けられるようにペットステップやスロープを設置すると安心です。

必要な運動量

ダックスフンドは小柄な個体が多いものの、狩猟犬として発展してきたため、毎日の散歩と遊びが必要です。健康な成犬であれば、1日2回、合計30分から1時間程度をひとつの目安とし、サイズや年齢、体力に合わせて調整します。

散歩では距離を伸ばすことだけを重視せず、周囲の臭いを嗅ぎながらゆっくり探索できる時間を設けましょう。嗅覚を使う宝探しゲームや知育玩具を取り入れると、室内でも心身を適度に刺激できます。

子犬やシニア犬、治療中の犬は長時間歩かせず、疲れ方や歩き方を確認しながら短い運動を数回に分けます。急なダッシュや激しい方向転換、繰り返しのジャンプなど、体に無理がかかる動きは控えましょう。

暑い時期は早朝や日没後の涼しい時間を選び、地面の温度にも注意してください。運動中に息づかいが荒くなる、歩く速度が落ちる、座り込むといった様子が見られた場合は、無理をせず休ませます。

しつけのポイント

ダックスフンドのしつけは、子犬の頃から短時間ずつ繰り返し、望ましい行動を褒めて教える方法が適しています。

叱りつけたり力で押さえ込んだりすると警戒心を強めることがあるため、落ち着いて一貫した対応を心がけましょう。

トイレ、甘噛み、拾い食いの防止、呼び戻し、リードを引っ張らずに歩く練習など、日常生活で必要なルールから教えていきます。

家族によって指示の言葉や対応が異なると犬が混乱しやすいため、接し方を統一することも重要です。

物音や来客に反応して吠える場合は、声だけで制止し続けるのではなく、吠えるきっかけを確認します。窓の外が見えないようにする、来客時に落ち着ける場所へ誘導するなど、環境面の対策も取り入れましょう。

屋外では臭いや動くものに意識を奪われることがあるため、散歩中はリードを外さないようにします。

人やほかの犬、生活音、車、動物病院などに少しずつ慣らし、さまざまな状況でも落ち着いて行動できる経験を積ませることが大切です。

被毛・耳などのケア方法

被毛の手入れは毛質に合わせて行います。スムースヘアードはブラシやラバーブラシで抜け毛を取り除き、ロングヘアードは耳の後ろや脇、腹部、脚の飾り毛を中心に毛玉がないか確認します。

ワイアーヘアードは定期的にブラッシングを行い、毛質を維持したい場合は、専門知識のあるトリマーにプラッキングを相談します。

全身を短く刈り込む場合は、皮膚が紫外線や外部の刺激を受けやすくなる可能性もあるため、仕上がりや管理方法を事前に確認しましょう。

垂れ耳は内部に湿気がこもりやすいため、赤み、臭い、耳垢、かゆがる様子がないか日常的に観察します。ただし、綿棒を耳の奥まで入れたり、必要以上に頻繁な耳掃除を行ったりするのは避けてください。

歯磨き、爪切り、足裏の毛のカットも定期的に行います。足裏の毛が伸びると床で滑りやすくなるため、肉球にかかる毛を適度に整えましょう。

抱き上げる際は、片方の手で胸部を、もう片方の手で腰から後ろ脚の付け根付近を支え、体が不安定にならないようにします。

前脚だけを持って持ち上げたり、後ろ脚をぶら下げたりせず、急なねじれや落下を防ぐことが大切です。

ダックスフンドの平均寿命と注意したい病気

診察台の上で獣医師に触診されているダックスフンド

ダックスフンドの寿命は、一般に12~16歳程度が目安とされています。ただし、実際の寿命は大きさや遺伝的な体質、生活環境、日々の健康管理によって異なります。

年齢を重ねると、運動量や食欲、歩き方、視力などに変化が現れることがあります。定期的に健康診断を受け、普段と異なる様子に早く気づくことが、病気の早期発見につながります。

ダックスフンドのかかりやすい病気

ダックスフンドでは、遺伝的な体質や骨格などに関連する病気に注意が必要です。歩き方や目の見え方に変化が見られた場合は、自己判断で様子を見続けず、動物病院を受診しましょう。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板が変性し、その一部が脊髄や神経を圧迫する病気です。ダックスフンドは遺伝的に椎間板が早く変性しやすいため、発症しやすい犬種として知られています。

背中や首を痛がる、動きたがらない、後ろ脚がふらつく、立てないといった症状が見られます。急に歩けなくなった場合や、排尿・排便がうまくできない場合は、速やかな受診が必要です。

治療は症状の程度に応じて、安静や薬による保存療法、手術などが検討されます。体重管理や滑りにくい環境づくりは健康維持や転倒防止に役立ちますが、発症を完全に防げるものではありません。

進行性網膜萎縮症(PRA)

進行性網膜萎縮症は、網膜の視細胞などが徐々に変性し、視力が低下していく遺伝性の眼疾患です。初期には暗い場所で物にぶつかる、夜の散歩を嫌がるといった変化が見られます。

進行すると明るい場所でも見えにくくなり、最終的に失明することがあります。根本的な治療法は確立されていないため、家具の配置を固定する、段差を分かりやすくするなど、安全に暮らせる環境を整えることが大切です。

膝蓋骨脱臼(パテラ)

膝蓋骨脱臼は、膝のお皿にあたる膝蓋骨が本来の位置から外れる病気です。後ろ脚を上げる、スキップするように歩く、足を伸ばしてから歩き出すといった様子が見られることがあります。

治療方針は、脱臼の程度や痛み、歩行への影響、骨格の変形などによって異なります。症状が軽い場合は体重管理や運動の調整などを行い、繰り返し痛がる場合や進行が見られる場合には手術が検討されます。

ダックスフンドの歴史

茂みから顔を覗かせるダックスフンド

ダックスフンドの祖先にあたる犬は、中世のドイツで狩猟に用いられていたと考えられています。地中の巣穴に潜むアナグマを追い出すため、脚が短く、胴の長い犬が選択的に繁殖されていきました。

初期のダックスフンドは、現在よりも体が大きく、アナグマやキツネなどを相手にする猟犬として活躍していました。

地中だけでなく、地上で獲物の臭いを追跡したり、負傷した獲物を探し出したりする役割も担っていたとされています。

その後、狩猟の目的や獲物の大きさに合わせて、より小柄な犬も作られるようになりました。ウサギなどの小さな獲物を追うための小型化が進み、現在のミニチュアやカニーンヘンにつながる系統が形成されていきます。

被毛についても、狩猟環境に適応させるために改良が重ねられました。短く密着した被毛を持つタイプに加え、寒さや茂みへの対応を目的として、長い被毛や硬い被毛を持つタイプが発展したと考えられています。

19世紀になると犬種としての特徴が整理され、1879年にドイツで最初の犬種標準が定められました。その後、1888年にはドイツ・テッケルクラブが設立され、計画的な繁殖と犬種の保護が進められています。

狩猟犬として生まれたダックスフンドは、のちに家庭犬としても広く親しまれるようになりました。

現在も世界各地で飼育されていますが、その姿や行動には、長い年月をかけて培われた狩猟犬としての特徴が受け継がれています。

まとめ

並んで前を見つめる3頭のダックスフンド

ダックスフンドは、スタンダード・ミニチュア・カニーンヘンという3つの大きさと、スムース・ロング・ワイアーという3つの被毛タイプを持つ、個性豊かな犬種です。

明るく家族思いである一方、狩猟犬らしい勇敢さや独立心、優れた嗅覚も受け継いでいます。

健やかに暮らすためには、年齢や体力に合った散歩と遊びを取り入れ、食事量や体型を適切に管理することが大切です。滑りや転落を防げる室内環境を整え、被毛や垂れ耳、歯、爪などの手入れも継続しましょう。

椎間板ヘルニアをはじめ注意したい病気もあるため、歩き方や行動、目の見え方などに変化がないか日頃から観察し、異変があれば早めに動物病院を受診してください。

犬種の特徴を理解し、一貫したしつけと丁寧な健康管理を続けることが、長く安心して暮らすことにつながります。

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