キツネみたいな犬が知りたい!似ている点や犬種の特徴を紹介

キツネみたいな犬が知りたい!似ている点や犬種の特徴を紹介

犬は皆さんにとってなじみ深い動物ですが、実物のキツネを自然の中で見た方は少ないと思います。私は何度か野生のキツネを見たことがありますが、早朝の淡い光の中で見た時には、犬かな?飼い主はどこかしら?と、先ず思いました。そして目が慣れてくると、赤茶けた毛色に太い尻尾、尻尾の先っぽが白、もしくは黒なのが目にはいり、「あぁ、キツネだ!」とようやく認識できるようになります。そのくらい犬とキツネは似てみえるのです。

キツネみたいな犬っているの?

キツネみたいな犬っているの?

遠目で見れば一瞬、犬かと思ってしまうくらい似てみえるキツネですが、実は犬もキツネも生物分類上は同じ「ネコ目イヌ科」の動物なのです。

犬と猫は同じ食肉類グループで、いわゆる狩猟者同士。待ち伏せや忍び寄り方式の狩猟へと適応していったネコ科に対し、嗅覚を活かし追跡方式の狩猟者となったのがイヌ科というわけです。

犬とキツネは同じ「イヌ科」の動物

犬とキツネの違いはと言えば、同じイヌ科の中において犬はイヌ属であり、キツネは犬亜科の中のキツネ属という分類に分けられることです。

外見としては三角のピンとたった耳、前へ尖った鼻先など似ている部分があります。また、ほぼ肉食系の雑食性であることも似ています。

大きな違いは瞳孔の形です。犬の瞳孔は明るいところでも丸いままですが、キツネは猫と同じく瞳孔が縦長になります。鼻先の尖った犬の顔に、瞳孔縦長の猫の目とは、なんだか不思議ですね。

そして犬は基本的に群れの生き物ですが、キツネは犬と違い群れずに家族単位で行動します。

犬の場合は人との暮らしに添うようにと品種改良が繰り返し行われ、時間をかけペットとして飼育されやすく柔順になりました。ですがキツネの場合、野生のままなので人に慣れるという点では難しく、ペットとしては飼育しにくいと言えます。

犬には「キツネ顔」と表現される顔つきがある

一瞬、犬かと見間違うくらいという事は、逆に言えばキツネに似た犬をよく見知っているからこそ起きる間違いと言えますね。

私たち日本人にとって身近な柴犬は、その赤みを帯びた毛色や尖った鼻先など、アカギツネに似ています。

柴犬やポメラニアンの場合は、特に面長で目がきりっとしたツリ目のタイプが「キツネ顔」と呼ばれ、丸みを帯びた「タヌキ顔」とはずいぶん違って見えます。

どちらも祖先であるスピッツの血統を色濃く残していると言えます。「キツネ顔」の個体はきりっとシャープで、凛々しい印象です。逆に「タヌキ顔」は丸みを帯びて、幼い顔立ちの印象となります。

キツネみたいな犬種6選!

きりっとしたツリ目が凛々しい感じのする「キツネ顔」の6犬種を紹介します。

「キツネ顔」の犬は、本来スピッツ(鋭利な、尖ったという意味)系の犬種です。国際畜犬連盟では第5グループ「原始的な犬・スピッツ」となっており、よりオオカミに近い原始的な犬種と言われています。

シベリアン・ハスキーや柴犬もこのグループです。日本の在来種は全てスピッツ系で、アジアン・スピッツと呼ばれています。

柴犬

柴犬

柴犬の毛色には何種類かがありますが、最も一般的な赤みを帯びた毛色や、短毛で直毛などキツネの特徴によく似ています。性格は飼い主に対しては従順ですが、他の人に対しては警戒心が強く、賢く勇敢です。

ただ、ふさふさとしたキツネの尾と違い、柴犬の尾は筋肉の退化から丸まっているのが特徴です。特にマズルが細く長い面長顔の個体は「キツネ顔」と呼ばれ、縄文犬の面影を伝えると言われています。

ポメラニアン

ポメラニアン

ポメラニアンはドイツで中型スピッツを品種改良し小型化した犬種なので、鼻先がとがったスピッツの顔立ちを受け継いでいます。

ポメラニアン本来の毛色は白が一般的で、稀に黒がみられましたが、品種改良により多くの毛色を作り出し、現在はあらゆる犬種の中でも最も毛色の種類が多くなっています。

その中でもオレンジと呼ばれる毛色が、キツネの毛色に近いと言えます。

性格は友好的で活発ですが、飼い主への依存心が強いと言われています。やはり祖先のスピッツ系の「キツネ顔」と、交配によって作られた「タヌキ顔」があります。「キツネ顔」の方が体が大きめです。

ウェルシュ・コーギー・ペンブローク

ウェルシュ・コーギー・ペンブローク

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは耳がぴんと立っていて、体形は胴長で短足、そして短い尾というのが一般的ですが、本来は長くふさふさとしたキツネのような尾をしています。

イギリスのウェールズ地方で牧畜犬として飼育されており、牛に尻尾を踏まれて怪我をするのを避けるため、断尾の習慣が始まったとされています。

そして、耳や尻尾、毛色がキツネに非常に似ているため、キツネと間違えないように断尾されるようになったという説もあります。

国際畜犬連盟ではグループ1の牧羊・牧畜犬に分類されており、頭がよく好奇心旺盛な一方、警戒心も強いと言われており、性格的にもキツネに似ていると言えますね。

フィニッシュ・スピッツ

フィニッシュ・スピッツ

フィニッシュ・スピッツはフィンランド産のスピッツです。伝承として、北欧の猟犬とキツネとの間に産まれた犬の子孫と言われており、ひろく猟犬として活躍していました。

ピンとたった耳とふさふさとした尾、赤みを帯びた毛色がキツネの特徴に似ています。性格は人懐こくて寂しがり屋だと言われており、飼いやすい犬種として番犬やペットとして人気があります。

唯一の問題は、ペースの早い吠え声で獲物を追い詰めるスタイルの狩りをする、猟犬としての性質上、吠え声がよく通ることです。

シベリアン・ハスキー

シベリアン・ハスキー

シベリアン・ハスキーは進化分類上では、スピッツと同系の祖先をもつとされています。やはり細く尖ったノズル、立ち耳、そしてふさふさと長い尾がキツネに似ています。

性格は友好的で、所属集団への帰属意識が高いので社会性・忠誠心が強いと言われています。一方、独立心が強く頑固な一面もあると言われています。

ポンスキー

ポンスキーはポメラニアンとシベリアン・ハスキーとのミックス犬で、正式な犬種ではありません。

キツネに似た犬種同士の掛け合わせなので、ピンとした立ち耳、ふさふさした尾は似ていますが、シベリアン・ハスキーのきりっとしたツリ目のキツネのような犬になるか、ポメラニアンの丸い目を受け継ぐかは、それぞれの血統の出方で個体差が生じます。

性格は人懐っこく温厚で、甘えん坊なようです。

犬ではなくキツネを飼いたい!飼育できるの?

キツネに似た犬種をご紹介しましたが、やはりキツネみたいな犬ではなく本物のキツネを飼いたいという方も、近年増えてきているそうです。

日本においてキツネを飼うことができるかというと、法律的には問題がなく飼育は可能です。ただ、キツネは「エキゾチック・アニマル」の扱いになり、ブリーダーも少ないため入手はかなり困難です。

また、キツネ特有の「エキノコックス症」は人に感染すると、重篤な肝機能障害を引きおこします。

ペットとして人気のフェネック

ペットとして人気のフェネック

北アフリカの砂漠地帯や、サハラ砂漠に生息するフェネックというキツネが、海外では希少価値のあるペットとして流通しています。

CNNで「世界一かわいい動物」として紹介され、「イヌ科最小の動物」として根強い人気がありますが、1985年に「ワシントン条約付属書Ⅱ」に種として記載されました。

「現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの」として、海外からの商業目的の取引は可能ですが、輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要となっています。

フェネックはキツネの中ではペットとして最も知られており人気なので、最近は少ないですが日本にもブリーダーがいます。飼いたい人はペットショップや、ブリーダーのサイトで繁殖状況などチェックすると良いでしょう。

ほぼ犬と同じ飼育方法で飼うことができますが、砂漠で穴を掘って暮らす習性なので、屋外で飼う場合は、地下深くまで囲い込む必要があります。

性格は警戒心が強く臆病と言われます。ブリーダーによって繁殖された個体は、人に慣れたりする場合もありますが、犬のようにトイレの躾をすることはできません。

キツネの排泄物は臭いので、ペットシーツをこまめに換えるなど、常に清潔を保つ必要があります。

希少ペットのアカギツネ・ギンギツネ・ナレギツネ

ギンギツネ

日本でこれらのキツネを取り扱っている業者は少なく、海外からの輸入・取寄せとなります。エキゾチック・アニマルを取り扱うショップに依頼するのが一般的です。

性格は人懐っこいですが、臆病な面もありながら好奇心は強いようです。飼い方はフェネック同様ですが、やはり排泄物の臭いはきついです。

野生のキツネ

犬の子かと思って育てていたらキツネだった、というニュースがありましたが、野生のキツネは警戒心が強く、人に慣れにくいのでペットとして飼うことはお勧めしません。

キツネは犬よりも行動範囲が広いので、飼育するにはより広い場所が必要ですし、また排泄物の臭いが強烈なので、こまめにトイレ掃除をする必要があります。

そして野生のキツネは「エキノコックス症」や「狂犬病」に感染している場合もあります。野生のキツネを見たときは、うっかり嚙まれたりすることのないよう、充分に気を付けましょう。

キツネの感染症、エキノコックス症とは?

キツネがエキノコックス症に感染した野ネズミを食べたり、口に咥えたりすることで多包条虫という寄生虫に感染します。便と一緒に排出された虫卵がヒトの体内に入り込むと、重い肝機能障害を引き起こします。

日本ではキタキツネの生息する北海道だけに存在すると考えられていましたが、本土でも野犬からエキノコックスの虫卵が確認されています。

2021年10月には愛知県の知多半島でエキノコックスが定着したという国立感染症研究所からの発表がありました。

ヒトへは経口により感染し、潜伏期間は5年から15年と長く、無症状で自覚症状はありません。その後、発症すると肝機能障害が起き、末期には肝機能不全となります。

病巣の完全切除以外に治療法はなく、多包条虫が血流にのって肺や脳、骨髄など様々な臓器に転移をする、とても危険な感染症です。ヒトからヒトへの感染はありません。

動物病院は受け入れ可能?

キツネは一般の動物病院では、診療を断られることがほとんどだと思います。キツネを飼おうと考えている人は、飼う前にまず「エキゾチック・アニマル」を扱ってくれる動物病院が身近にあるか、確認をしましょう。

怪我や病気など、緊急時になってから探していては間に合いません。有事を想定しておくことは、動物を飼う際の基本の心構えです。

キツネを飼育するには、犬よりもいろいろな面で制限があるので、飼う前に充分に検討することをお勧めします。

まとめ

キツネの特徴は立ち耳、細く長いノズル、ふさふさとした尾、そしてきりっとしたツリ目などがあげられると思います。しかし、本物のキツネをペットとして飼うには多くの制約が生じます。

診療してくれる動物病院を確保する事、臭いに関する対策、穴を掘る習性があるのでそれに対応した囲い、また夜行性のため夜に甲高い声で鳴くので、周辺住民のために特に騒音対策もしっかりする必要があります。

臆病なキツネが落ち着ける環境を用意するのは、容易ではありません。

ですが、人との暮らしに寄り添うように改良されてきた犬の中にも、原始的な犬種と言われるスピッツ系にキツネに似た犬種がいます。

それらの犬種はペットとして長い時間をかけ改良されており、飼育に関して問題はありません。「キツネ顔」が好みという方は、そういった犬種を検討されてはいかがでしょう。

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