ブリュッセル・グリフォン|犬種の特徴と性格、販売価格の相場からブリーダーの探し方まで徹底解説

ブリュッセル・グリフォン|犬種の特徴と性格、販売価格の相場からブリーダーの探し方まで徹底解説

人間のような表情で“猿顔”とも呼ばれる希少犬種、ブリュッセル・グリフォン。性格や特徴、飼い方のポイントを詳しく紹介します。かわいい見た目の裏にある賢さや警戒心、値段相場や販売方法、寿命・かかりやすい病気まで、迎える前に知っておきたい情報をまとめました。

ブリュッセル・グリフォンの歴史

テラスの椅子の上でくつろぐブリュッセル・グリフォン

  • 犬種名:ブリュッセル・グリフォン(Brussels Griffon)
  • 原産国:ベルギー
  • 分類:小型犬/愛玩犬(コンパニオンドッグ)
  • 体重:3.5〜6kg
  • 体高:20〜28cm
  • 毛質:ラフコート(硬毛)/スムースコート(短毛)
  • 毛色:レッド、ブラック、ブラック・アンド・タンなど
  • 性格:甘えん坊・賢い・警戒心が強い・表情豊か
  • 寿命:12〜15年

ブリュッセル・グリフォンは、原産国ベルギーで19世紀初頭に作出された小型の愛玩犬種です。祖先は馬小屋などでネズミを捕る「ラット・キャッチャー」と呼ばれる土着犬で、当時はがっしりとした体格を持つ作業犬でした。

その後、短頭種のパグやキング・チャールズ・スパニエルとの交配を経て、短い鼻と豊かな表情をもつ現在の姿に改良されました。

「グリフォン」はフランス語で「針金状の硬毛をもつ犬」を意味します。ベルギー王妃マリー・アンリエットがこの犬種を愛好したことで、上流階級にも広まり、やがて愛玩犬として定着しました。

日本ではジャパンケネルクラブ(JKC)が、「ブリュッセル・グリフォン」(レッド系のラフコート)、「ベルジアン・グリフォン」(黒系のラフコート)、「プチ・ブラバンソン」(スムースコート)の3犬種を区別して登録しています。

いずれも登録頭数は少なく、ペットショップでの販売はほとんど見られない希少犬種です。

入手する場合はブリーダーから直接購入するのが一般的で、稀に保護犬として里親募集されるケースもあります。

ブリュッセル・グリフォンの特徴

床に伏せて正面を見つめるブリュッセル・グリフォン

ブリュッセル・グリフォンは、人間のような表情を持つユニークな外見が魅力の小型犬です。

その独特な顔立ちは、映画『スター・ウォーズ』に登場するキャラクター「チューバッカ」を思わせると話題になることもあります。愛らしい見た目の中に賢さと繊細さを兼ね備え、家庭での生活に非常に馴染みやすい犬種といえます。

ここではその身体的な特徴や毛質、日常のケアについて紹介します。

顔立ち

短く上向きの鼻と、やや下顎が前に出た「アンダーショット」と呼ばれる噛み合わせが特徴です。

大きく丸い瞳や口周りの飾り毛が印象的で、感情豊かな表情を見せてくれます。そのユニークな“猿顔”は、ブリュッセル・グリフォンを象徴するチャームポイントです。

耳と尾の形状

かつては外見を整えるために断耳や断尾が行われていましたが、現在は動物愛護の観点から推奨されていません。自然な耳は頭の高い位置についた垂れ耳または半立ち耳で、尾は背中の上方に軽くカーブを描きます。

体型

体高と体長がほぼ等しいスクエア体型で、コンパクトながら骨格がしっかりしています。小柄でも活発でバランスがよく、家庭で飼いやすい体格です。

被毛タイプ

ブリュッセル・グリフォンの被毛はラフコート(硬毛)とスムースコート(短毛)の2タイプ。

ラフコートは抜け毛が少なく、数か月に一度のトリミング(プラッキング)で毛質を整えます。家庭ではカット仕上げも可能です。スムースコートはトリミング不要ですが、短毛ゆえに換毛期は抜け毛がやや多めです。週2〜3回のブラッシングを習慣にしましょう。

体臭

ブリュッセル・グリフォンは匂いが少ない犬種です。ただし、顔のシワや口周りに汚れが溜まりやすいため、散歩や食後は濡れた布で優しく拭き取りましょう。これにより皮膚トラブルや匂いの発生を防げます。

個性的な外見と穏やかな気質を併せ持つこの犬種は、都会の住宅環境にもなじみやすく、家庭の中で飼いやすいかわいい小型犬として人気があります。

ブリュッセル・グリフォンの性格

飼い主の膝の上でうたた寝するブリュッセル・グリフォン

ブリュッセル・グリフォンは、感受性が豊かで飼い主との絆を何より大切にする性格の犬です。

愛情深く、常にそばにいたがる甘えん坊な一面と、高い知性による理解力を兼ね備えています。家庭では陽気で明るく、人との触れ合いを楽しむ社交的な性格です。

一方で、祖先の作業犬としての名残から警戒心が強く、見知らぬ人や音に敏感な反応を示すことがあります。幼い頃からの社会化トレーニングによって、穏やかで落ち着いた性格に育ちやすくなります。

ブリュッセル・グリフォンは非常に賢く、しつけの飲み込みも早い犬種ですが、時に頑固な面もあります。叱るよりも褒めて伸ばす「陽性強化」が効果的で、信頼関係を築くことでより素直に成長します。

感情表現が豊かで、まるで小さな人のように喜びや不満を表す姿も、この犬種の魅力のひとつです。

ブリュッセル・グリフォンの大きさ

正面を向いて原っぱに立つブリュッセル・グリフォン

ブリュッセル・グリフォンの大きさは小型犬として理想的で、体重は3.5〜6kg、体高は20〜28cm前後が目安です。体格は小柄ながら骨太でしっかりしており、抱き心地がよく安定感があります。

成長は早く、生後8〜10ヶ月でほぼ成犬サイズに達し、1歳頃には体格が落ち着きます。小さい体ながら活発で、室内でもよく動くため運動不足になりにくい犬種です。

マンションなどの限られた空間でも飼いやすいサイズ感が人気の理由のひとつです。

ブリュッセル・グリフォンの毛色の種類

並んで座っている毛色の異なる2頭のブリュッセル・グリフォン

ブリュッセル・グリフォンは、被毛のタイプと毛色によって分類されます。

日本ではジャパンケネルクラブ(JKC)が、「ブリュッセル・グリフォン」「ベルジアン・グリフォン」「プチ・ブラバンソン」の3犬種として登録しています。

ラフコートでは赤褐色のレッドが基本色で、黒または黒と褐色が混ざるタイプはベルジアン・グリフォンとして区別されます。

スムースコート(短毛)のプチ・ブラバンソンでは、レッド、ブラック、ブラック・アンド・タンなどの毛色が認められています。

つまり、ブリュッセル・グリフォンとベルジアン・グリフォンの違いは、主に被毛のタイプと毛色にあります。どのタイプでも表情豊かな顔立ちは共通しており、その珍しい外見が多くの愛犬家を惹きつけています。

ブリュッセル・グリフォンの値段相場

原っぱの上で並ぶ3頭のブリュッセル・グリフォンの子犬

ブリュッセル・グリフォンは日本でも非常に珍しい犬種で、国内での繁殖数が少ないため販売価格はやや高めです。一般的な値段は30〜50万円前後が相場で、他の小型犬と比べても高額な部類に入ります。

価格は血統や月齢、性別のほか、被毛タイプ(ラフコートかスムースコートか)や毛色(レッド、ブラック、ブラック・アンド・タンなど)によっても変動します。良血統やショータイプの子犬は高値になる傾向があります。

一般のペットショップでの取り扱いはまれで、実際の入手はブリーダーからの直販が中心です。購入時には健康診断やワクチン代などの初期費用が価格に含まれているかを確認しましょう。

なお、保護団体で里親を募集しているケースもあり、成犬を迎えたい人には選択肢の一つとなります。

ブリュッセル・グリフォンのブリーダーを探す方法

女性に抱きかかえられているブリュッセル・グリフォンの子犬

希少犬種のため、信頼できるブリーダーを探すことが重要です。

最初の一歩として、ジャパンケネルクラブ(JKC)の公式サイトに掲載されている登録ブリーダー情報を確認しましょう。犬種専門の愛好家クラブやSNSなどでも、繁殖方針や活動を公開しているブリーダーを見つけることができます。

見学を受け入れてくれるブリーダーを選ぶと安心です。親犬や兄弟犬の健康状態、飼育環境の清潔さを直接確認できるほか、膝蓋骨脱臼や呼吸器・眼の遺伝疾患に対する検査が行われているかもチェックしましょう。丁寧な説明とアフターフォローをしてくれるブリーダーは信頼度が高いといえます。

また、保護団体や譲渡サイトで保護犬・里親募集を探すのも一つの方法です。特に成犬を迎える場合、性格や健康状態が安定しているため、初めて飼う人にも向いています。

ブリュッセル・グリフォンの飼い方

屋外で飼い主と見つめあうブリュッセル・グリフォン

ブリュッセル・グリフォンは家庭での生活に適した小型犬で、人とのふれあいを強く求めます。ここでは、快適に暮らすための基本的な飼い方のポイントを紹介します。

運動量

運動は1日30〜60分を目安に、朝夕に分けて行うのが理想です。短頭種のため暑さに弱く、夏場は涼しい時間帯を選びましょう。屋内では知育トイなどで遊ばせると、頭と体の両方をバランスよく使えます。

しつけ

賢く覚えが早い反面、頑固な一面もあります。「陽性強化(ポジティブ・レインフォースメント)」を中心に、成功を褒めて自信を育てましょう。子犬のうちから人や音に慣らす社会化トレーニングも重要です。

環境管理

ブリュッセル・グリフォンは短頭種のため、体温調節が苦手です。夏は熱中症、冬は冷えに注意し、室温は24〜26℃、湿度は40〜60%を維持します。目が大きく突出しているため、家具の角や段差を避けて安全な空間を作りましょう。

お手入れ

ラフコートは抜け毛が少ない代わりに、数か月ごとのトリミング(プラッキング)が必要です。

家庭ではカット仕上げでも問題ありませんが、毛質を保つには専門サロンのケアがおすすめ。 スムース(短毛)タイプは抜け毛が中程度あり、週2〜3回のブラッシングで十分です。

匂いと歯のケア

体臭や匂いは少ない犬種ですが、顔のシワや口周りの飾り毛に汚れがたまりやすいため、濡れた布でこまめに拭き取りましょう。歯並びが密なため歯石がつきやすく、毎日の歯みがきと定期的な歯科チェックで予防します。

ブリュッセル・グリフォンの寿命

地面に座ってどこか遠くを見つめるブリュッセル・グリフォン

ブリュッセル・グリフォンの平均寿命は12〜15年で、小型犬の中では標準的です。健康寿命を延ばすには、適切な食事管理・体重コントロール・運動・室温管理が欠かせません。

短頭種ゆえに呼吸器系や熱中症のリスクがあるため、無理な運動や高温環境を避けることが重要です。年1回の健康診断で病気の早期発見に努め、飼い主とのコミュニケーションを大切にして穏やかなシニア期を迎えましょう。

ブリュッセル・グリフォンのかかりやすい病気

悲しげな表情でベッドの中にいるブリュッセル・グリフォン

ブリュッセル・グリフォンはその体型と体質により、いくつかの病気に注意が必要です。主なものとして、短頭種気道症候群、膝蓋骨脱臼(パテラ)、眼疾患、神経疾患、歯科疾患などが挙げられます。

短頭種気道症候群

鼻腔が狭い・喉が長いなどの構造によって呼吸がしづらくなる病気です。呼吸が荒く「ガーガー」と音がする場合は早めに受診を。肥満防止と温度管理が予防の基本です。

膝蓋骨脱臼(パテラ)

膝の皿がずれて足を引きずるような動きを見せたら要注意。滑り止めマットを敷き、高所からの飛び降りを避けることで予防できます。

眼疾患

突出した大きな目は、乾燥や擦り傷に弱く、角膜炎や白内障を起こしやすい傾向があります。涙や目やにの増加が見られたら獣医師に相談を。

神経疾患

まれに神経系の病気として、水頭症やキアリ様奇形に関連する脊髄空洞症が見られます。頭の形が丸く膨らむ、ふらつくなどの症状があれば早期に検査を受けましょう。

歯科疾患

小型犬全般に多い歯周病は、口臭や食欲不振の原因にもなります。毎日の歯みがきとデンタルケアで予防し、年1回の歯科検診を習慣にしましょう。

まとめ

芝生の上を走るブリュッセル・グリフォン

ブリュッセル・グリフォンは、人のような表情と愛らしい見た目で人気の犬種です。

賢く感受性が高い一方、繊細で頑固な面もあるため、褒めて伸ばすしつけが向いています。ラフコートではトリミングが必須、スムース(短毛)では抜け毛ケアが中心です。

暑さに弱い体質や呼吸器系の注意点を理解し、愛情を持って育てれば、長く寄り添えるかわいいパートナーとなるでしょう。

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