アーフェンピンシャーの特徴とは?性格や寿命、飼い方から価格相場まで

アーフェンピンシャーの特徴とは?性格や寿命、飼い方から価格相場まで

猿のような顔が愛らしい希少犬種アーフェンピンシャーの性格、飼い方、しつけのコツを解説。抜け毛は少ない?寿命はどのくらい?子犬の価格相場からかかりやすい病気まで、飼う前に知りたい情報を分かりやすくまとめました。

アーフェンピンシャーの特徴

正面を見つめながら路上に立っているアーフェンピンシャー

  • 正式名称:アーフェンピンシャー(Affenpinscher)
  • 原産国:ドイツ
  • 分類:愛玩犬/小型犬
  • 体高:25~30 cm
  • 体重:3~6 kg
  • 毛質:硬く短いワイヤーコート(剛毛)
  • 毛色:ブラックが主流(ほかにグレー、シルバー、レッド、ベルジュなど)
  • 性格:勇敢・忠実・好奇心旺盛・やや頑固
  • 平均寿命:12~14歳
  • 原用途:ネズミ捕り犬(ラットキャッチャー)
  • 公認団体:JKC/FCI/AKC などで公認

アーフェンピンシャー(英:Affenpinscher)は、ドイツ原産の小型犬で、その最大の特徴は猿を思わせる顔立ちです。犬種名の「アーフェン」はドイツ語で「猿」、「ピンシャー」はテリア系の犬を指します。

体は小さく筋肉質で、四肢や胴体がコンパクトにまとまったスクエア体型をしています。日本国内ではまだ希少ですが、その独特な外見が注目され始めています。

ここでは体格や被毛の特徴を詳しく解説します。

小さくても筋肉質な体型

アーフェンピンシャーは小型犬に分類され、標準的な体高は約25~30 cmで、体重は3~6 kg程度とされる文献が多く見られます(※犬種標準には体重の明記がないため参考値)。

全体としてがっしりとした筋肉質な体格で、体高と体長がほぼ等しい、いわゆるスクエア体型です。骨格がしっかりしているため、見た目以上に丈夫で安定感があります。

硬質な被毛と少ない抜け毛

アーフェンピンシャーの被毛は、硬く針金状(ワイヤーヘアー)の剛毛です。特に顔の周囲は被毛が豊かで、長い口ひげや眉毛が猿のような個性的な表情を作り出しています。密に生えているため、抜け毛は比較的少ない傾向があります。

日常的なお手入れとしては、定期的なブラッシングやトリミングが必要で、被毛の質感を保つために6~8週間ごとにプラッキング(抜毛)を行うことが推奨されます。

ブラックを中心とした毛色バリエーション

この犬種の典型的な毛色はブラック(黒色)です。日本のジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種標準でも理想色としてブラックを掲げています。

なお、アメリカのアメリカンケネルクラブ(AKC)ではブラックのほか、ブラック&タン(黒地に黄褐色の斑点)、グレー、シルバー、レッド、ベルジュ(ベージュ系)などの毛色も公式に認定しています。

猿のような顔立ちと短い鼻が魅力

アーフェンピンシャーを特徴づける最大のポイントは、猿のように短い鼻(短吻)と下顎が前に突き出た顔立ちです。大きな丸い瞳と、顔を縁取るような長い口ひげが相まって、愛嬌のある独特な表情を持っています。

短吻種に分類されますが、パグやフレンチブルドッグほど極端ではありません。耳は立耳または半立耳で高い位置に付き、尾は自然な形状の場合、高い位置でゆるやかにカーブしていることが一般的です。

アーフェンピンシャーの性格

芝生の上を歩くアーフェンピンシャー

アーフェンピンシャーは、小型犬ながら自信にあふれ、大胆で勇敢な気質を持つ犬種です。元ネズミ捕り犬だったため警戒心は強めですが、飼い主や家族には深い愛情を示し、忠実で献身的なパートナーとなります。

また非常に賢く、好奇心旺盛で遊び好きな面がありますが、一方でテリア系特有の頑固さもあり、自分で判断しようとする傾向も見られます。社会化をしっかり行えば、他の犬や子どもとの良好な関係も築けますが、過度に構われるのを好まないため接し方に配慮が必要です。

愛情深さと独立心を兼ね備えた個性的な犬であり、飼い主との信頼関係を深めることで、その魅力がより引き出されます。

アーフェンピンシャーの寿命

遠くを見つめているアーフェンピンシャー

アーフェンピンシャーの平均寿命はおよそ12~14歳とされています。

これは、小型犬の平均寿命である約14歳前後とほぼ同じ水準です。筋肉質で丈夫な犬種のため健康寿命が長くなる傾向がありますが、個体差や飼育環境によって寿命は変動します。

肥満防止や適切な運動、歯や関節、呼吸器など小型犬特有の健康管理、さらに年に一度以上の健康診断やワクチン接種、予防ケアを徹底することで、健康な生活をより長く維持することができます。

アーフェンピンシャーの飼い方

飼い主の足の間に座っているアーフェンピンシャー

アーフェンピンシャーは、小型で室内飼育に適した犬種ですが、活動的で知的な犬種のため、適切な運動量や被毛のケアなど、日常的な管理が大切です。飼育する環境を整え、心身ともに健康に暮らせるように配慮する必要があります。

運動量の目安は1日30〜60分

元々ネズミ捕りをしていた活発な犬種のため、適度な運動が欠かせません。運動量は年齢や健康状態によりますが、毎日合計30~60分程度を目安にしましょう。

散歩は1日2回に分けるのが理想的ですが、特に幼犬や高齢犬は短時間で複数回に分けて行うことで、負担を抑えつつ適度な刺激を与えることができます。

室内での遊びも効果的で、知育トイや飼い主とのコミュニケーション遊びを組み合わせると、精神的な満足度も高まります。

定期トリミングでワイヤー被毛を維持

ワイヤーヘアーと呼ばれる硬い被毛を保つために、定期的なトリミングが必要です。約6~8週間ごとにプラッキング(手または専用器具で古い毛を抜く手法)を行うことで、毛質を適切な状態に保つことが可能です。

家庭で行う場合は、コームやスリッカーを使った週2~3回程度のブラッシングを習慣づけ、被毛が絡まったり毛玉ができたりするのを防ぎましょう。

短吻種のため夏の温度管理が重要

アーフェンピンシャーは短吻種に分類され、暑さに弱いため夏場の散歩や室内温度の管理に注意が必要です。夏季は早朝や夕方の涼しい時間帯に散歩を行い、炎天下での運動は控えましょう。

また、クールベストを着用させたり、首輪ではなく胴輪(ハーネス)を使用したりすることで、呼吸への負担を軽減できます。

アーフェンピンシャーのしつけ

リードを持つ飼い主の方を見上げるアーフェンピンシャー

アーフェンピンシャーは非常に賢く理解力がありますが、テリア系特有の頑固さを併せ持つため、一貫性のあるトレーニングが重要になります。家庭内のルールを統一し、犬が理解しやすい環境を整えることが、落ち着いた振る舞いを身につけさせるポイントです。

一貫したルールと褒めるしつけが効果的

アーフェンピンシャーには、指示がぶれないように家族全員が統一したルールでトレーニングを行うことが必須です。

しつけは叱るよりも「できたことを褒める(ポジティブ・リインフォースメント)」方法を採用すると効果的です。ご褒美のおやつや言葉による賞賛をタイミング良く与え、犬が自主的に望ましい行動を選択するよう導きましょう。

子犬期の社会化で警戒心を軽減

警戒心が強めの犬種であるため、社会化訓練を子犬の時期にしっかりと行う必要があります。特に、生後3~14週の社会化期にさまざまな人や犬、生活音、外部刺激に慣れさせることが重要です。

この時期に社会性を育てることで、成犬になってから他人や他の動物に対する過剰な警戒心や攻撃性を軽減し、落ち着いた家庭犬として育てることができます。

アーフェンピンシャーの価格相場

キャリーから顔を出すアーフェンピンシャーの子犬たち

2025年現在、日本におけるアーフェンピンシャーの子犬の一般的な価格相場は30万~60万円程度となっています。

ただし、日本国内では非常に希少な犬種であるため、ペットショップでの取り扱いはほぼなく、専門のブリーダーから直接購入するケースがほとんどです。

購入を希望する場合は、子犬が生まれるのを待つ必要があることも多く、親犬の血統やショーでの実績次第では価格が100万円を超えることも珍しくありません。

さらに、海外から輸入する場合には輸送費や検疫費用などが別途必要になる可能性があります。

アーフェンピンシャーがかかりやすい病気

バスケットの中で休んでいるアーフェンピンシャー

アーフェンピンシャーは比較的丈夫な犬種ですが、小型犬や短吻種に共通して見られる病気にかかりやすい傾向があります。愛犬の健康管理のため、予防法や症状の早期発見方法を事前に把握しておくことが大切です。

ここでは特に注意したい代表的な病気について解説します。

膝蓋骨脱臼(パテラ)

膝蓋骨脱臼(パテラ)は、膝のお皿の骨が正常位置からずれてしまう疾患で、小型犬に多く見られます。先天的要因が主ですが、高所からの飛び降りや滑りやすい床なども原因となります。

歩き方に違和感がある、後肢を挙げるなどの症状が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。滑り止めマットを敷くなど床環境の改善で予防が可能です。

気管虚脱

気管虚脱は気管が押しつぶされて呼吸困難を起こす病気で、特に短吻種の犬に多く発症します。興奮した際や運動後に「ガーガー」という乾いた咳が頻繁に見られるのが特徴です。

首輪を避けハーネスを使用し、適切な体重管理を行うことで発症や症状の悪化を防ぐことができます。咳が長引いたり、呼吸が苦しそうな場合は速やかに受診しましょう。

レッグ・カルヴェ・ペルテス病

レッグ・カルヴェ・ペルテス病は、大腿骨頭への血流障害により骨が壊死する疾患で、遺伝的要因が強く、特に若齢の小型犬に見られます。

主な症状としては後肢の痛みや跛行(歩行時の違和感)で、早期発見が重要です。症状が現れたら動物病院での検査を受け、適切な治療を受けることが必要です。

白内障

白内障は、水晶体が白く濁り視力が低下する疾患です。主に加齢によって発症しますが、遺伝や糖尿病などによる若齢での発症もあります。目の濁りや物にぶつかるなどの異変に気づいたら、早期に獣医師に相談しましょう。定期的な目の検診で早期発見が可能です。

これらの病気は、日常的なケアや定期健診を徹底することで早期発見や予防が可能です。普段から愛犬の健康状態を注意深く観察し、異変を感じたら迷わず獣医師に相談する習慣をつけましょう。

アーフェンピンシャーの歴史

正面を見つめながら並ぶ3頭のアーフェンピンシャーの子犬

アーフェンピンシャーは17世紀初頭~中葉(1600年代)のドイツで誕生したとされる、長い歴史を持つ小型犬です。その祖先は、ヨーロッパ各地で農場や商店のネズミ捕りを任務として人々と共に暮らしていた「ラット・キャッチャー」と呼ばれる犬でした。

犬種名の由来は猿の顔

犬種名の「アーフェン(Affen)」はドイツ語で「猿」、「ピンシャー(Pinscher)」は「テリア系の犬」を意味します。その名前の通り、猿のような独特の顔立ちと、小型ながら勇敢でテリア気質を持つ特徴からこの名が付きました。

当初は実用的な役割を担う犬として活躍しましたが、独特な表情と愛嬌ある姿が貴族階級や裕福な商人にも好まれ、家庭犬としての人気も高まりました。

他犬種の作出に影響を与えた歴史

アーフェンピンシャーはそのユニークな容姿と性質から、後にベルギー原産のブリュッセル・グリフォンやドイツ原産のミニチュア・シュナウザーなど、世界的に著名な犬種の作出にも影響を与えたとされています。

犬種の発展の過程で交配に用いられ、これら新しい犬種の基礎犬としても重要な役割を果たしました。

国内では希少で入手が難しい

日本では近年まであまり知られておらず、現在も国内の登録数が少ない希少な犬種です。そのため街中で目にする機会は極めて限られており、入手する場合も専門のブリーダーを通じての購入がほとんどです。

希少性が高いため、日本国内での普及はこれからの犬種とも言えるでしょう。

まとめ

公園にいるアーフェンピンシャー

アーフェンピンシャーは猿に似た特徴的な顔立ちが印象的な小型犬で、愛情深く賢明でありながら、テリア系特有の頑固さと勇敢さを併せ持っています。抜け毛が少なく手入れは比較的容易ですが、被毛の硬さを保つためには定期的なトリミングやプラッキングが必要です。

また、希少性が高いため入手には専門ブリーダーを通じて待機することもあり、価格は30~60万円が相場ですが、血統次第でさらに高額になる場合もあります。

暑さに弱い短吻種であることや、小型犬特有の膝蓋骨脱臼、気管虚脱などへの注意が必要で、定期健診や適切な管理を徹底することで健康寿命を伸ばせるでしょう。

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