ロシアントイテリアの特徴
大きさ(体重・体高)
- 体高:オスメスともに20cm~28cm
- 体重:オスメスともに3㎏
- 分類:超小型犬
ロシアントイテリアは、同じ犬種とは思えないほど見た目の違う2種類の個体がいます。それぞれ、ロングヘアード、スムースヘアードと呼ばれています。
ロングヘアードは耳、喉元、尾にロングヘアーを持ち、チワワやパピオンを連想させる風貌です。一方スムースヘアードは、毛が短く引き締まった筋肉が露出しており、ミニチュアピンシャーのような風貌をしています。
ロングヘアードも長い毛の下には引き締まった筋肉をしており、体のつくりの雌雄差はほぼありません。
被毛(毛色・毛質)
- 毛質:ロングヘアードはダブルコート、スムースヘアードはシングルコート
- 毛色の種類:ブラックアンドタン、ブラウンアンドタン、ブルーアンドタン、レッド
毛色は4種類あり、レッドには1本の毛の根本と先端でシェード(濃淡の違い)が表れる個体もいます。
ロングヘアードは1歳になるにつれてダブルコートが生えそろいます。3歳ごろには耳の毛もフリンジのように長く伸びてパピヨンのようなバタフライイヤーになります。毛が長く絡まりやすいため、丁寧なブラッシングが必要です。
スムースコートはシングルコートで毛が抜けづらく、お手入れもとっても簡単です。
体の特徴
ロングヘアード、スムースヘアードともに成犬になっても体重3㎏ほどの華奢な体をしています。引き締まった筋肉を持っており、走り回ることが大好きです。
ロシアントイテリアはよくチワワと間違えられますが、ポイントを把握すれば見分けられます。ロシアントイテリアは小さな体の割に長い足が特徴的で、全身に対して小顔、目はチワワよりも小さいのがポイントです。
ロシアントイテリアの性格
- 友好的
- 社交的
- 活動的
- 陽気
基本的には社交性があり、友好的な性格をしています。一般家庭でも飼いやすい犬種です。ロングヘアードとスムースヘアードは多少性格に違いがあります。
ロングヘアードは陽気で、多くの懐きやすい性格をしています。一方スムースヘアードもおとなしい性格ではありますが、ロングヘアードに比べると荒い性格をしています。知らない人に吠えたり、警戒心が強くなったりすることがあります。
ロングヘアード、スムースヘアードともに、メスよりもオスの方が活動的です。
ロシアントイテリアの歴史
ロシアントイテリアは名前の通り、ロシア原産の犬種です。ルーツはトイマンチェスターテリア(別名イングリッシュトイテリア)です。もともとはスムースヘアードの1種類のみでした。
20世紀の世界大戦でロシア国内のトイマンチェスターテリアは大きく数を減らしてしまいました。世界大戦の影響で国外から純血のトイマンチェスターテリアを輸入できなくなり、ロシア国内に残っているトイマンチェスターテリアを掛けあわせて改良したのが、現在のロシアントイテリアです。
1950年代に被毛が少し長いスムースヘアードとスムースヘアードの掛け合わせでロングヘアードが出現しました。さらにパピオン、ミニチュアピンシャー、チワワも掛け合わせ現在のロングヘアードが確立しました。
新しい毛質のロングヘアードと、本来のスムースヘアードは共にロシアントイテリアと同じ犬種と定義されています。
ロシアントイテリアの価格相場
ロシアントイテリアは日本での登録が少なく、ペットショップで販売されることはほぼありません。ペットショップ価格は不明です。
ブリーダーからは、状況により価格は変動しますが、販売価格は12~29万円ほどです。ブリーダーのホームページより子犬情報を確認できます。
ロシアントイテリアを迎え入れる方法
ロシアントイテリアは2009年に初めて日本に輸入されたと言われていますが、日本ではまだまだ希少な犬種です。ペットショップで出会えることはほぼないでしょう。
ブリーダーのホームページより子犬情報を確認し連絡するのが最短手段です。日本にはロシアントイテリアの個体数が圧倒的に少ないため、他の入手手段として、海外輸入代行があります。
理想の個体を相談し、海外のブリーダーから購入、検疫、輸入までを代行してくれるサービスです。価格は驚くほど高額ですが、ロシアントイテリアの個体の多くはロシアにいます。どうしても家族に迎えたい方は検討してみてください。
ロシアントイテリアの飼い方
初めて犬を飼う家庭でも飼いやすい犬種です。必要運動量も少なく、お世話は比較的簡単です。毛の手入れはロングヘアードとスムースヘアードで異なりますが、他の犬種同様ブラッシングやシャンプー、必要ならトリミングに行く程度で十分です。
注意すべきは、餌量です。筋肉を保ちつつ肥満にならないように適切な餌の選択が大切です。
運動量
体が小さいため、長時間の散歩を必要としません。室内でのボール遊びや、ドックラン遊びで運動量は十分です。
ですが、犬にはたくさんの臭いを嗅ぎ、オスにはマーキングする習性があります。室内だけでは十分本能が満たされないため、気分転換にお散歩はするようにしましょう。
散歩する際、ロシアントイテリアは顔が小さいため首輪は抜けてしまう可能性があります。首輪でなく、ハーネスの使用がおススメです。
お手入れ
ロングヘアードはダブルコートで抜け毛が多く、ブラッシングは毎日行う必要があります。ブラッシングを怠ると、抜け毛が毛に絡まったままで皮膚が蒸れたり、毛が絡まり毛玉になったりします。シャンプーは月に1回ほど実施しましょう。
スムースヘアードはシングルコートでブラッシングは週2.3回で十分です。シャンプーはロングヘアードと同じく月1回程度実施しましょう。
しつけ
飼い主に従順でしつけやすく、初心者や集合住宅でも飼いやすいと犬種です。基本的に、飼い主が望む行動の後にたくさん褒めてあげれば、すぐにしつけができます。留守番もおとなしく待っていられるでしょう。
食事
子犬用、成犬用、シニア用と成長にあった総合栄養食を選ぶことが大切です。
総合栄養食は、フードと水のみで十分な栄養素を摂取できます。パッケージに一般食と書かれたものは、人間でいうおかずのようなもの。
小さな体の個体は、食べ過ぎると肥満になってしまいます。また、オヤツのあげすぎにも注意が必要です。ロシアントイテリアは華奢な骨をしているため、肥満になると足に負担がかかり、将来歩行困難になってしまいます。
ロシアントイテリアの寿命
ロシアントイテリアの寿命は12歳~14歳です。超小型犬の平均寿命が14.1歳であるのに対し、ロシアントイテリアはやや短命と言えます。
遺伝的に重篤な疾患はありません。超小型犬であるため室内でハーネスが引っかかる、物が落ちてくるだけでも怪我してしまいます。生活環境には怪我しないように注意が必要です。
ロシアントイテリアがかかりやすい病気
- 膝蓋骨脱臼
- 骨折
- 乳歯遺残
ロシアントイテリアは関節疾患に注意が必要です。膝蓋骨脱臼とは通称パテラとも呼ばれる膝の病気で、ひざのお皿がずれ、痛みが生じます。軽傷なら自然にずれたお皿が戻ることがあり、頻繁にびっこをひくようなら獣医に見てもらいましょう。
また、超小型犬は全体的に体の骨が細く骨折しやすいので注意が必要です。体重が増えれば、足への負担も大きくなるので、小さいころから肥満にならないよう健康管理が大切ですね。
ロシアントイテリアは乳歯遺残もよく発症します。犬は生後5か月ごろから乳歯が抜け永久歯に生え変わりますが、まれに乳歯が抜けず残ることがあります。原因はわかっていませんが、顎が小さい犬種によく見られます。
まとめ
日本ではまだほとんど出会えない希少犬種です。同じ犬種とは思えないほど異なる被毛を持ち、ロングヘアードとスムースヘアードに分けられています。トイマンチェスターテリアをルーツとし、ロシアで現在の2種類に改良されました。
生活にはあまり手がかからず、基本的なお世話で健康に暮らしていけます。特に気を付けるのは、食事です。肥満にならないように餌量とオヤツには気を遣う必要があります。
性格は社会的で陽気。飼い主だけでなく、家族全員に友好的に接してくれます。ロングヘアードの方が、スムースヘアードに比べ温厚な性格なため、初めて犬を飼う家庭にはおススメです。