犬には『時間』の感覚がない、という説が現状では濃厚
犬と暮らしていると、「時間がわかっているのかな?」と思うことはありませんか。いつも同じ時間帯に「散歩に行こう」と誘ってきたり、飼い主が帰宅する頃には玄関前で待ち伏せていたり…一見すると、時計が読めているとしか思えないような行動です。
しかし、現在の研究において、犬には『時間』という感覚はないという説が有力です。これは、時間が経過していることは感じているものの、何分、何時間経ったのかと『具体的な時間』は理解できていないという意味です。
『時間』という概念はなくても時間を認識・学習することは可能
前述したように、犬は私たち人間のように「もう1時間経った」など、具体的な時間を理解することはできていません。しかし、時間が経過していることは感覚的に認識しており、なおかつ大まかな時間感覚を学習することも可能です。
大まかな時間を感覚的に認識し学習するためには、さまざまな要素を組み合わせてパターン化させ、覚えていると考えられています。犬はどのような要素を基準に時間を認識しているのか、この記事で確認してみましょう。
犬と人間では『時間』の感覚や認識方法は異なるの?
そもそも犬と人間では『時間』に対してどのような感覚の違いが生じているのでしょうか。また犬はどこまで時間を認識できているのでしょうか。
犬と人間は体感時間が異なる
まず、犬と人間では同じ時間を過ごしていても体感時間が異なることを覚えておきましょう。例えば、私たちが1時間経ったと認識している時、犬の体感では約3〜4時間が経過していると言われています。
これは、私たちの寿命と犬たちの寿命が大きく異なるため、犬たちは私たち人間の約3倍もの早さで時間の感覚を覚えているのです。
したがって、私たちは1日24時間として生活していますが、犬たちにとっては1日約7時間程度の認識だといいます。
「過去」「現在」「未来」は認識できている
私たちは家族や友人などと会話する際、「あの頃は〜」「最近〜」「数年後は〜」など、過去や現在、未来について語ることがあります。犬も人間ほど明確な時間認識はありますが、過去、現在、未来を認識して行動しているのではないかと考えられています。
基本的に、犬をはじめとした動物は「今」を生きる動物です。しかし、過去に会った人と再会した際に親しみを込めた態度を取ったり、少し前に学んだことを学習できていたりと「過去」を振り返る様子を見せることは多々あります。
また、「後でね」などの飼い主の声かけに応じて待つことができたりと、ほんの少し先の未来であれば、「あともう少し時間が経ったら構ってくれる」など、「未来」を認識できていると考えられるでしょう。
犬が『時間』を認識・判別する参考基準は?
では、犬が『時間』を認識したり判別したりするとき、どのような要素を参考基準にして『時間』を感覚的に判断しているのでしょうか。
- 体内時計
- 周囲の明るさ
- 気温の変化
- 匂いの強弱
- 日々学習しているパターン
動物は体内時計といわれる日々の生活リズムが備わっていることが多いです。毎日同じような生活を送っている犬たちは、この体内時計が人間よりも格段に正確であると考えられています。
また、周囲の環境を見ることで大まかな時間を判断しています。例えば、「空が暗くなってきたからそろそろ飼い主さんが帰ってくる頃だ」というように、周囲から得られる情報で時間を把握しているのです。時計がなかった頃の時代の人々の生活を彷彿とさせますよね。
さらに、日々の生活パターンを学習することで、大まかな時間の把握に役立てていることも。飼い主の行動ルーティンなどがその代表的な例として挙げられます。
まとめ
犬は人間のように時計を見て正確な時間を判断することはできません。しかし、周囲の状況や体内時計、さらに飼い主のルーティンなどをパターン化して覚えることで、大まかな時間を認識しています。賢くユニークな犬の生態には、今後もますます期待が膨らみますね!