犬の目が赤い原因は?
犬の目が赤くなるのには、様々な原因が考えられます。また、黒目部分や白目部分、目の外側など、赤くなる箇所によっても考えられる原因は異なります。
どうして犬の目が赤くなるのでしょうか。愛犬の目が赤くなった際は、目が赤くなる前の愛犬の行動や現在の状況などから原因を探ることが出来るかもしれません。
ここからは、目が赤くなる主な原因を5つご紹介します。興奮や緊張などで精神的に高ぶっている
興奮や緊張などで犬の感情が高ぶっている時は、白目が充血することがあります。特に、トリミングサロンや動物病院へ行った際はストレスや緊張から充血することが多いです。
トリミングサロンでのシャンプー後に、目が充血しているとシャンプーが目に入ってしまったのではないかと心配になってしまうでしょう。
興奮や緊張などによる充血は、犬に痛みやかゆみはありません。愛犬の様子をみて、目を気にしていないようであれば興奮や緊張からくる充血の可能性が高いのであまり心配することはありません。
また、人間と同じように疲れている時や寝起きの場合も充血することもあります。
異物の混入などで犬の目が一時的に刺激を受けた
人間は目にゴミやまつ毛が入ると一時的に充血することがあるように、犬も異物が目に入ることで一時的に白目が赤くなることがあります。
犬は、人間と比べると地面との距離が近いので、お散歩中に砂や草の種が目に入り、充血することが多いといわれています。お散歩の後に目が赤くなっている場合は、一時的に異物が入っている可能性があります。
また、家の中でも床に落ちた抜け毛やホコリなどが目に入りやすいため、注意が必要です。
一時的な刺激であれば、涙で異物が流れて自然と充血も引いてくるので、あまり心配する必要はありませんが、なかなか充血が引かない場合は、異物入て目に傷がついている可能性もあります。充血が2~3日続いている、いつもと様子が違う場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
目の怪我や病気により充血や出血が起きている
目の怪我や病気の症状の多くは、目が充血したり、出血が起きています。ここからは、よくある目の病気を4つご紹介します。
結膜炎
結膜炎とは、まぶたの裏側から白目の表面を覆っている薄い膜に炎症が起きる病気です。
結膜は、目に異物が入るのを防いだり目に潤いを与えるなどの役割があります。しかし、袋状の構造となっているため異物が溜まり細菌やウイルスが繁殖しやすい箇所でもあります。
逆さまつげや異物混入、寄生虫などが原因の結膜炎は、感染しませんが、細菌やウイルスによる結膜炎の場合は、他の犬から感染することがあります。愛犬が犬の保育園や散歩中など、たくさんの犬に触れ合う機会がある場合は注意が必要です。
軽度の場合は、点眼薬の治療で完治することが多いので、早期発見、早期治療はとても大切です。いつもと違う場合は早めに動物病院を受診するのがおすすめです。
角膜炎
角膜炎とは、黒目の部分の無色透明の膜に炎症が起きる病気です。
角膜炎は、ドライアイやウイルス感染、逆さまつげなど様々な原因が考えられます。黒目の部分に炎症が起こるため、分かりづらいのも特徴。
最低でも月一回程度は、愛犬の目に光を当てて角膜に異常がないか確認しましょう。
緑内障
犬の目は、眼房水という液体をバランスよく産生、排泄しています。緑内障はその液体の排出がうまく出来なくなり、バランスが崩れて眼圧が高くなってしまった状態です。
緑内障の目の赤みは、白目の血管が太く赤くなるのが特徴で、眼球が大きくなり痛みも伴います。重症化すると失明の恐れもあるため、早期発見、早期治療が大切です。早めに動物病院を受診しましょう。
白内障
白内障とは、本来透明である水晶体が白く濁ってしまう病気です。軽度の場合は目が白く濁り、視力が低下するといった症状がみられます。
老犬に発症しやすく、白内障が悪化すると高眼圧や炎症を引き起こして目が赤くなる場合もあります。重症化すると失明する恐れも。
白内障になると視力が低下するため「物を避ける」「段差などの高さを把握する」「夜に行動する」など、以前までは当たり前のように出来ていたことも難しくなってしまいます。
見えにくいことから、怪我で目に傷がついてしまい充血する場合もあるため、愛犬の様子をよく観察することが大切です。
ドライアイになっている
犬もドライアイになるのをご存知でしょうか。ドライアイとは、乾性角結膜炎と呼ばれ、本来目に潤いを与える涙の質が悪くなったり、涙の量が減ってしまう状態のことです。
人間の場合、ドライアイになると「目がゴロゴロする」「目がかすむ」など目に違和感を覚えるため、軽度の場合は頻繁に目薬をさすことで対処するのが一般的でしょう。
しかし、犬はドライアイになっていることに気がつきません。言葉で伝えることもできないので、飼い主が気づいた頃には重症化している場合が多いといわれています。
愛犬の目をよく観察し、充血のほかに目をしょぼしょぼさせる、ネバっとした目やにが出ているなどの症状がみられたらドライアイの可能性があります。
ドライアイの原因は不明とされていますが、重症化すると失明する恐れもあるため、いつもと違う違和感を感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。
目以外の病気が原因で充血している
目が赤くなっていると、目に異常があるのではないかと考える方がほとんどです。しかし、目以外の病気であっても充血する可能性があるので注意が必要です。
充血の症状がある目以外の病気を2つご紹介します。
アレルギー
食べ物やハウスダスト、花粉症などによりアレルギー症状が起きている場合は目が赤くなることがあります。アレルギー症状の場合、目の病気や怪我とは異なり、目以外にもかゆみや赤みが出るのが特徴です。
他にも、くしゃみや鼻水など人間の花粉症と似たような症状が出る場合もあります。アレルギーによる充血は、両目に症状が表れる可能性が高いといわれています。
アレルギーの場合、飼い主が食べ物や生活環境のサポートを行う必要があるため、何に反応しているのか、アレルギーの原因を検査して、どのような対応が必要なのか、獣医師に相談しましょう。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症とは、子宮の中に膿が溜まる病気です。避妊手術をしていないメスに発症する病気で、避妊済みのメスに発症する心配はないといわれています。もちろん、オスは発症しません。
一見、目とは関係なさそうな病気ですが、症状の一つとして目が赤くなる場合があります。特に、目頭部分にある瞬膜は普段は目頭の下に隠れていますが、体調が悪いと腫れて目立つことがあるため確認すると良いかもしれません。
子宮蓄膿症は、重症すると命にかかわることも。早期発見、早期治療が大切です。目が赤くなっている他にも、食欲不振や陰部から膿が出るなどの症状がみられたら子宮蓄膿症を疑いましょう。
犬の目が赤い時に注意すべき症状
犬の目が赤くなっている時に、動物病院を受診すべきかどうか判断が難しいこともあるでしょう。
目の中にゴミが入ってしまった時や、緊張や興奮などから目が赤くなっている時は、様子をみてもいいかもしれません。
しかし、目の病気は症状が悪化すると失明する恐れがあります。充血が数日続いている、他の症状もみられるなど愛犬がいつもと違う場合は、早めに動物病院につれていくのがベストです。
ここからは、犬の目が赤い時に注意すべき症状を3つご紹介します。どれか一つでも当てはまる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
目がショボショボとしている
目の赤みの他に目が開かない、目をショボショボさせているなどの症状がみられる場合は、目の病気の可能性があります。早めに動物病院を受診しましょう。
目を頻繁にかいている
目を頻繁にかいている場合は、目に痛みやかゆみがある可能性が高いです。前足や後ろ足を使って顔をかく他にも、急に床に顔をこすりつけたり、机や椅子の角にわざと顔をこすりつけるなども目がかゆい可能性があります。
机や椅子などで目に怪我をしてしまうと、失明などにも繋がりますので、かゆみの原因が何か、動物病院で診てもらいましょう。
目やにが普段とは異なる
目やにの状態が普段とは異なっていないかをチェックしましょう。目やにが茶色い場合や臭いがある場合、伸びる場合は目に炎症がある可能性が高いです。
目の赤みが長期間続いている
腫れや涙、目やになど別の症状がみられない場合でも、赤みが長期間続いている場合は、目以外の病気の可能性もあります。
興奮状態での目の赤みや、ゴミなどが入ったことが原因であれば、赤みはすぐに引くことが多いですが、目の赤みが長期間続いている場合は、病気や目に傷がある可能性が高いでしょう。
2~3日様子をみても症状が改善しないようであれば、動物病院に連絡して状況を伝えて指示を仰ぐなどがおすすめです。あまり様子をみすぎるのも悪化させる可能性があります。自己判断せずに獣医師に相談しましょう。
目以外の様子が普段の様子と異なる
目以外の箇所に赤みがある、吐く、ぐったりとして動かないなどの症状がある場合はとくに注意が必要です。目以外の病気や怪我を発症している可能性が高いため、早急に動物病院を受診しましょう。
犬の目が赤い時の正しい対処法
愛犬の目が赤い時、目が赤いだけだからと軽視するのは危険です。すぐに動物病院を受診するのがベストですが、時間外や休診日などすぐに連れていけない場合も少なくありません。
そんな時に飼い主ができる正しい対処法をまとめました。
動物病院で目の状態を診断してもらい治療を受ける
愛犬の目が赤い時は、動物病院を受診して目の状態を診断してもらい治療をうけるのがベストです。目の病気の治療は目薬だけでなく、飲み薬や点滴、手術などが必要になる場合もあります。
かかりつけの動物病院が時間外や休診日の場合、状況にもよりますが深夜診療や24時間診療を対応している動物病院を探し、状況を説明するのがおすすめです。緊急の場合は、迷わず連れて行き、様子をみても問題なければ、翌日にかかりつけの動物病院を受診しましょう。
犬が目を手足や床で擦らないように保護する
目に痛みやかゆみがあると、犬が気にして目をかいてしまいます。かいてしまうことで傷やウイルスが入り症状が悪化してしまう可能性も。
目をかく仕草をしている場合は、動物病院へ連れて行くまでの間、かかないようにエリザベスカラーを装着して目に手や足があたることを防ぎましょう。
自宅にエリザベスカラーの用意がない場合は、クリアファイルや段ボールなどで首周りを覆うことで一時的に対処することが可能です。
市販の人間用の目薬は使用しない
犬の目が赤い時、つい家にある人間用の目薬をさしてあげたくなることもあるでしょう。しかし、人間用の目薬に含まれる成分で犬の目の状態を悪化させる可能性もあります。むやみに人間用の目薬を使用するのは危険です。
例えペット用の目薬であっても、病気によって使用する目薬は異なります。家にあるペット用の目薬を使用する場合も、獣医師に確認をとってから使用するように心がけましょう。
アレルギーの原因になりやすい原材料のオヤツを避ける
目が赤くなる以外にも、体をかゆがっている仕草や、体に赤みがある場合はアレルギーの可能性があります。
アレルギーは、食べ物やハウスダスト、花粉などさまざまな原因が考えられます。飼い主がアレルゲンを特定することは難しいでしょう。
何を食べた後に赤くなるのか、どんな場所や状況で症状が出るのかなどを観察し、怪しいと思われる食べ物は与えるのを止めて、動物病院で検査してもらいましょう。
動物病院に通院するまでの間は、アレルギーの原因になりやすい原材料のフードやおやつを避けた方が良いかもしれません。鶏のささみなど、原材料の少ないものを1種類にしぼって与えてみるのもいいかもしれません。
コンタクトレンズ洗浄用の精製水で目を流す
散歩から帰ったら目が赤くなった、砂の多い場所に行った後に目が赤くなったなどの場合は、目にゴミが入っている可能性があります。コンタクトレンズの洗浄液などで使用されている精製水で目を流してみるのも良いかもしれません。
目にゴミが入っていることが原因であれば、目の赤みはすぐに引いていくでしょう。流しても目の赤みが引かない場合は目に傷がついている可能性があります。早めに動物病院を受診しましょう。
犬の目が赤くなるのを防ぐための対策
愛犬の目が赤くなった時は動物病院を受診する、洗浄液で流す、目をかかないように対策をするなど早期発見、早期治療を行うことで改善することが出来るでしょう。
しかし、家族の一員である愛犬には出来れば目をかゆがったり、痛がる前に対応してあげたいですよね。ここからは、犬の目が赤くなるのを防ぐための5つの対策をご紹介します。
目やにや涙をこまめに拭いて犬の顔を清潔にしておく
涙や目をこまめに拭いてあげて犬の顔を清潔にしておくことで、目にウイルスやゴミが入らないように予防しましょう。また、顔をこまめに拭いてあげることで犬の目をチェックする習慣がつくため、目の違和感にいち早く気付くことが出来るでしょう。
目の周りの毛を短くカットして眼球に入らないようにする
トイプードルやマルチーズなど、シングルコートの犬は全身の毛が長く伸びるのが特徴です。毛が眼球に入ることで目の傷や細菌が入る原因になります。
目の周りの毛を短くカットしてあげることで、毛が眼球に入らないように心がけましょう。
散歩時に犬が草むらに顔を突っ込まないようにする
草むらは尖った木や草の種、虫などが目に入りやすいため注意が必要です。散歩の時は犬が草むらに顔を突っ込みすぎないように注意しましょう。
フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は、鼻と目の距離が近いため、草や木が目に入りやすいといわれています。また、植物や花粉にアレルギーを持っている犬は、草や木が目に入らなくても過剰に反応してしまう可能性があるため避けた方が良いでしょう。
アレルギーの原因になりにくい原材料のフードを与える
毎日食べているドッグフードやおやつはアレルギーの原因になりにくい原材料のものを選びましょう。牛肉や小麦、乳製品などはアレルギーの原因となりやすい原材料とされています。
また、アレルギーの症状はアレルゲンとなる原材料を過剰に食べることが原因で発症します。
犬によってアレルギー症状が表れる量は異なりますが、アレルギー症状がない場合は、鹿肉の次は馬肉のフードを与えるなど、ローテーションすることでアレルギーになるリスクを下げることが出来るかもしれません。
部屋の掃除をこまめに行う
部屋の掃除はこまめに行い、愛犬が普段生活する部屋を清潔に保つことも大切です。部屋を清潔に保つことで、ハウスダストなどのアレルギーや目にゴミが入ることを防ぐことが出来ます。
また、こまめに掃除を行うことで部屋の確認ができ、とがったおもちゃや家具の出っ張りなど、目に傷がつきそうな原因となるものを発見することができます。
まとめ
犬の目は焦点を合わせる能力が低く、人間に比べると目での認識は低いとされていますが、飼い主を見間違えることがあるように目で見て認識している部分も多いです。また、アイコンタクトなど飼い主とのコミュニケーションを取るためにも、視力はとても大切です。
動物病院へ受診するのがベストですが、自宅で出来る予防や対処法についてもご紹介しました。
目の病気や怪我は、重症化すると失明する危険性があるため軽視してはいけません。早期発見、早期治療を行うことで治療にかかる時間や、愛犬の負担も短くすることができます。
自宅で出来る対処方は、あくまでも応急処置として、目に違和感を覚えたらすぐに動物病院を受診しましょう。
いつまでも愛犬がキラキラとした瞳で飼い主を見つめられるようにサポートしてあげて下さいね。