犬が中毒症状を起こしてしまった!日常に潜む危険

犬が中毒症状を起こしてしまった!日常に潜む危険

食品の中には犬に摂取させると中毒症状を引き起こすものがありますが、食品以外にも微量の摂取で中毒症状を引き起こすなどの影響が出る、体に有害な毒物が存在します。今回は愛犬を危険な中毒症状から守るために知っておきたいことについて学んでいきましょう。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬が中毒を起こしてしまうもの

花を取ろうとする子犬

犬はどんなもので中毒症状を起こすのでしょうか?与えてしまいがちな食品や、油断してしまいがちな身近にあるものを中心に、犬が中毒を起こすものをいくつか取り上げてみました。

  • 犬に中毒を起こす主な食品
  • 犬に中毒を起こす危険な野菜の部位
  • 犬に中毒を起こす植物
  • 犬に中毒を起こす家にある身近なもの

犬に中毒を起こす主な食品

チョコレートの山

  • 玉ねぎ(ネギ類)
  • チョコレート(カカオ)
  • ぶどう
  • コーヒー・紅茶(カフェイン)
  • アルコール
  • アボカド
  • マカデミアナッツ(ナッツ類)
  • キシリトール

それぞれ、犬の体重あたりの中毒症状を起こす摂取量があり、極少量であれば症状がでないこともありますが、基本的に与えることはおすすめできません。
玉ねぎ(ネギ類)に至っては、犬が玉ねぎそのものを摂取していなくても、玉ねぎを加えて調理したものに関して、犬は中毒症状がでることがありますので絶対に与えないでください。

犬に中毒を起こす危険な野菜の部位

トマト

  • ジャガイモ
  • トマト
  • モロヘイヤ
  • リンゴ
  • サクランボ
  • エゴマ

ジャガイモは芽や緑化した皮(未成熟なものや緑色に変化したもの)中毒症状が見られ、トマトは未熟なものや葉、茎、花、モロヘイヤは鞘や種子、リンゴ・梨・さくらんぼは未熟なものや葉、種子の部分、エゴマは種子からできたエゴマ油なら大丈夫ですが、エゴマの葉を犬が摂取すると中毒症状が見られることがあります。

犬に中毒を起こす植物

チューリップ

《犬に中毒を起こす危険度が高い植物》

  • ユリ科植物(スイセン、スズラン、チューリップ、ヒヤシンス、イヌサフランなど)
  • トリカブト
  • クリスマスローズ
  • チョウセンアサガオ
  • イラクサ
  • フクジュソウ
  • ワラビ
  • ギギタリス

《犬に中毒を起こす注意すべき植物》

  • オシロイバナ
  • アヤメ
  • アマリリス
  • ポインセチア
  • ボタン
  • キキョウ
  • アメリカシャクナゲ
  • ジンチョウゲ
  • ランタナ
  • ツタ
  • トチノキ
  • アイビー

犬の散歩や外出先、室内においてある観葉植物や花、庭にあるものなど、犬たちの暮らしの中にも植物は身近にあるものです。
中には毒性が強く、犬が食べると死に至るものもあり、国内において身近に存在する植物の中で、犬に中毒を起こす危険とされているものはかなり多いので、細心の注意が必要です。

犬に中毒を起こす家にある身近なもの

たばこ

  • 人用の鎮痛薬
  • 風邪薬(アセトアミノフェン・アスピリン)
  • 非ステロイド性抗炎症薬(イブプロヘンなど)
  • たばこ(ニコチン)

など、ご紹介できなかった殺虫剤や防虫剤の部類はもちろん、除草剤、洗剤などは極少量で犬に中毒を起こし、犬の体にとても有害となります。
こちらに関して犬家の皆様は、普段からペットの手の届かないところに置くなど配慮されている方が多いと思いますが、これを機会にぜひもう一度、犬に中毒を起こすものがないか家の中をチェックしてみてください。

犬の中毒の症状と致死量

ぐったりする犬

犬の中毒に至る致死量や症状、対処法までをわかる範囲で詳しく解説していきたいと思います。
※こちらでは致死量=中毒症状を起こす量で記載しています(アルコールを除く)。

玉ねぎ(ネギ類)

《犬の致死量》犬の体重1㎏あたり、15~20g
《犬の症状》摂取後1~数日後に、有機チオ硫酸化合物が犬の赤血球を破壊することで、溶血性貧血を起こす

チョコレート(カカオ)

《犬の致死量》犬の体重1㎏あたり、テオブロミン100㎎。カカオ成分の多いダークチョコレートでは約20~30g

《犬の症状》摂取後、数時間~半日後にデオブロミンやカフェインが原因となって、犬に嘔吐や下痢、動悸、興奮、けいれん、ふるえ、昏睡、多尿や尿失禁、てんかんなどの症状を引き起こす

ぶどう

《犬の致死量》ぶどうは犬の体重1㎏あたり20g前後、レーズンでは犬の体重1㎏あたり3g前後
《犬の症状》摂取後2~3時間で犬は嘔吐、下痢、腹痛を起こし、3~5日後に犬は腎不全を引き起こす

コーヒー・紅茶(カフェイン)

《犬の致死量》犬の体重1㎏あたり、カフェイン約140㎎
《犬の症状》嘔吐や下痢、動悸、興奮、ふるえ、けいれん、昏睡、多尿や尿失禁、てんかんなどを犬が引き起こす

アルコール

《犬の致死量》犬の体重1㎏あたり、5.5~6.5ml、摂取後半日から1日以内に、犬の約半数が死亡する。アルコールの度数10%なら、犬の体重1㎏あたり、約50ml
《犬の症状》犬の嘔吐や下痢、ふるえ、意識障害、血圧低下、けいれん、呼吸障害

アボカド

《犬の症状》果実、葉、種子、樹皮に含まれるペルジンが原因となって、犬に嘔吐や下痢、胃腸の炎症、心筋障害などを引き起こし、犬が死亡することもある

マカデミアナッツ(ナッツ類)

《犬の症状》原因物質は不明。犬に虚脱や沈うつ、運動失調、震えなどを起こす

キシリトール

《犬の致死量》犬の体重1㎏あたり0.1g。犬の体重10㎏で1粒が目安
《犬の症状》摂取後30分でけいれんを起こし、犬は低血糖に。肝不全を引き起こすこともある

ジャガイモ

《犬の症状》犬の腹痛、嘔吐、下痢、呼吸困難、意識障害など

トマト

《犬の症状》犬の腹痛、下痢など

モロヘイヤ

《犬の症状》犬の食欲不振、嘔吐、体温低下、心拍微弱

リンゴ・梨・さくらんぼ

《犬の症状》犬の嘔吐、興奮、あえぎ、ふらつき、けいれん、麻痺など

犬に中毒を起こす危険度が高い植物

《犬の症状》犬の呼吸困難、心不全、突然死など

犬に中毒を起こす注意すべき植物

《犬の症状》犬の嘔吐、下痢、腹痛、肝機能障害など

人が飲む鎮痛薬や風邪薬(アセトアミノフェンやアスビリン)

《犬の症状》嘔吐、元気がなくなる、歯茎の色の変化、貧血、腎不全、肺炎など

非ステロイド性抗炎症剤(イブプロフェンなど)

《犬の症状》犬の嘔吐、消化管出血、発作、低血圧、徐脈、頻脈、心房細動、代謝性アシドーシス、昏睡、急性腎不全、高カリウム血症など

タバコ(ニコチン)

《犬の症状》犬の興奮、よだれ、嘔吐、下痢。大量に摂取した場合、震えやけいれん、虚脱、昏睡症状を引き起こすこともある

犬の中毒症状が出た時の対処法

救急箱

犬に過酸化水素水を使って吐かせる(タバコを除く)

過酸化水素水1kgあたり1~2mlを目安に、上限30mlの範囲でスポイトなどを使い、犬の口の脇から少しずつ飲ませます。勢いよく犬の口に入れると、犬が誤嚥性肺炎を引き起こすことがあるため注意してください。

その後、15分経過しても犬が吐かない場合はスポイトで水を飲ませ、嘔吐しやすくします。さらに5分経過しても吐かない場合は、過酸化水素水1kgあたり0.5~1mlを目安に、もう一度飲ませます。

※犬に過酸化水素水を投与すると胃粘膜から出血を起こすこともありますので、十分注意してください。できるだけ犬に過酸化水素水の投与は控えてください。

犬の舌の付け根を押す

軍手などをはめて手を保護した上で、犬の口の中に指を入れ、舌の付け根を押して刺激することで吐き出させます。

まとめ

子犬を抱きあげる女性獣医師

こちらの記事でご紹介させて頂いたものに関しては、犬に中毒症状がでたら吐かせることで対処が可能となっています。

しかし、犬が摂取してしまったものの量などによって、中毒症状が出ても吐かせることが当てはまらないケースもあり、ご紹介出来なかった、殺虫剤や防虫剤の部類、洗剤や除草剤などの中にも、吐かせずに、すぐ動物病院に連れていくほうが良いものもあります。

犬に中毒症状がでた時の対処法は、あくまで参考程度にご覧頂き、犬に安易な処置は行わず、速やかに獣医師の診察を受けるか、動物病院に連絡を入れて、指示を仰ぐようにすることを優先させることが大切です。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 TIKI

    今回記事を読んで、普段知っていたもの以外にも沢山中毒症状を起こすという事を知りビックリしました。
    アボカドやトマトなどは我が家では食卓によく出るものなので、愛犬にパクッと取られないように注意したいです。また、ユリ科の植物なども口に入れないように注意したいと思いました。
    日頃からこうした知識はしっかりと持っていたいですね。
  • 投稿者

    20代 女性 芽衣子

    犬にチョコレートや玉ねぎを与えるのは死に至るから、絶対にダメだとは聞いたことがありましたが、野菜や果物を含め人間が普段口にするものが、こんなに多くあるとは知りませんでした。
    特にトマトやブドウは、人間にとってはヘルシーで健康に良い食べ物なので驚きでした。

    私の家では愛犬に、犬用のおやつを与えませんが、健康に良いからと私が果物を食べる時に愛犬にも果物を与えているので、ちゃんと調べてから食べさせないと愛犬の命に関わる大きな原因に繋がるんだと記事を読んで反省しました。
  • 投稿者

    20代 女性 コエリ

    食べ物の部分により食中毒を起こす危険があるという事を初めて知りました。
    愛犬のご飯をつくる際も注意しないといけませんね。
    観葉植物や、タバコについては道端に落ちてる時もありますよね。散歩中も注意しなければならないと改めて感じました。
  • 投稿者

    40代 女性 ぱん

    犬の中毒はわたし達の生活のなかで、身近にあり得ることです。
    わたしの知人の犬(スパニエル)は先日チョコレートケーキをホールごと丸々食べてしまい、緊急病院に行くことになってしまいました。
    飼い主さんがその日の職場で配るオヤツとしてバッグに入れておいたケーキを、犬は見てない隙に取り出して食べたようです。その子は病院でケーキを吐き出させられ無事だったから良かったものの、与えてなくても勝手に食べてしまうこともあり得るので、気を付けてくださいね。

    また最近ハーブの効果が見直されていますが、犬にとって良いハーブと悪いハーブがありますので、ハーブだから体に良いといって簡単に与えないようにしてください。
    タイムやローズマリー、カモミールは良くても、バジルやアロエなど毒性があります。
    観葉植物としてもお部屋に置きがちですが、調べてから購入し、また置く場所を考えることをおすすめします。
    そして植物の毒性の高い部分は葉、球根、茎からの樹液など植物によって様々です。
    綺麗だからといって切り花をさした花瓶の水により腎不全を起こした例もありますので、細心の注意が必要となります。

    色々と考えてしまうと神経質になりがちですが、愛犬にとって安全で心地よい環境を与えて楽しく過ごしたいですね。
  • 投稿者

    女性 colo

    犬にとって危険なものが多いところと言えば台所ですね。玉ねぎはもちろん他のねぎ類やじゃがいもなども危険です。以前、野菜ボックスを台所の床に置いたところ、その中からにんじんを選んでがりがりかじっていたことがありました。玉ねぎも入っていたので、血の気が引いたのは言うまでもありませんね。危険なものがある場所にはゲートを設置したり、ものを高い場所に移動するなど、予防と対策が何より必要になります。
    他にも、カップ麺を容器ごと歯でちぎって中身を食べてしまったことがあります。インスタントラーメンは包まれているし大丈夫と思っても、それが食べ物だとわかる子もいるので注意してください。

    害虫駆除の薬剤にも注意が必要です。ゴキブリ駆除の薬剤は犬も気になる匂いのようです。実際愛犬が食べてしまいました。すぐ気が付いたので塩水で対処しました。タバコを食べてしまった場合、塩水は吸収を早めてしまうので禁忌です。

    一番安全なのは犬の体重1kgに1~2mlのオキシドールを飲みこませることです。胃の中で酸素ガスに変化するので、ゲップのように吐き出させることができます。酸素に変化するので害はありません。飼い主がおどおどしてしまうと犬も不安になってしまいます。不安なら獣医さんの指示を仰ぎながら素早い処置をしてください。
  • 投稿者

    20代 女性 まるこ

    有名な食べ物もいくつかありましたが、こんなに色んな食べ物が食べられないなんて知らなかったです!この記事に出ているものはどれも普段の食事に出てくるような食べ物ばかりなので、本当に気を付けないといけないなと感じました…。
    我が家はキッチンに行く場所に、とおせんぼガードをしているので犬が入れないようになっています。そこに生ゴミもあるので基本的には食べられる心配がないようにしています。
    またテレビで高さのある食卓テーブルに置いてあるごはんをジャンプして食べる犬を見たことがあり、食卓テーブルの出来るだけ真ん中にごはんを置くようにしています。もしくは誰か見張りがいる様にしています。
    やはり犬の食べられないものを全て排除することは出来ないと思うので、触らせないようにするのが一番だと思います。
  • 投稿者

    20代 女性 まお

    わたしは愛犬が中毒症状になったことは幸いないのですが、赤ちゃん、子供がいる家族は要注意したほうがいいですよ!大人であるわたしたちは愛犬にむやみにご飯など与えたりしませんが、赤ちゃん、子供は本当にあげちゃいます!愛犬ももらえると思って近付くようになるし、本当に危険です。与えない環境を作りたいですが中々難しいのが現状の我が家はこの記事を読んで何かあったときにも対応できるようにしようと思います。
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