犬がいびきをかく原因とは
かわいいうちの犬が、いびきをかく・・・。実は「犬のいびき」というのはよくある話で、仕事をしているともっとすごい話もあるくらいです。
私は普段獣医をさせていただいてるのですが、昔、動物病院に来院した飼い主さんの中には、「愛犬のいびきが家族の誰よりも大きくて、近所迷惑になって困っています」という方もいたくらいです。
人間では、最近いびきをかく人は、”睡眠時無呼吸症候群”という命にも関わる病気の可能性が高いこともわかってきましたし、たかがいびきだと思って甘く見てはいけません。
そんな犬のいびき、放置しても良いのか悪いのか。獣医師として、できるだけわかりやすく説明します。
まず、いびきをかく人は、深く眠っているようにみえて眠りが浅い傾向にあります。呼吸しづらい状態が続くことで、肺の酸素が不足しやすく息苦しさが続き、その結果「眠りが浅くなる」ということになります。
これは、もちろん犬でも同じです。大きないびきをかく犬は、昼間でもウトウトしている時間が長く、ぼんやりとして活気がなくなる場合もあるんですよ。愛犬のことも良くチェックしてみましょう。
犬のいびきの原因を知る
さて、犬のいびきの原因を探ってみましょう。
人間のいびきの原因は、鼻と喉をつなぐ部分のたるみにあると考えられています。しかし犬の場合は、同じように咽頭部のたるみ(軟口蓋過長)だけでなく、犬独特の鼻の形状も原因のひとつ。
犬のいびきの原因を理解することで、いびきの治療が必要なのかを判断する必要があります。犬のいびきは日常の対策で改善できる事もあるので、原因の特定をすることが重要になります。
いびきをかきやすい犬種
犬のいびきの原因に、犬独特の鼻の構造と書きましたが、そこには犬種も関係してきます。一口に犬と言ってもその鼻の作りは犬種・または個体差により様々です。
では、いったいどのような犬がいびきをかきやすいと言えるのでしょうか。あなたの愛犬とも照らしあわせてみてくださいね。
短頭の犬種はいびきにご用心
短頭種のワンちゃんたちはいびきの名手です。短頭種の犬たちも、もともとは狼と同じ細長い鼻道を持っていましたが、そのまま少しずつ改良を重ねて鼻を短く上向きにされて、現在のような形になっています。
ですから、鼻道が曲がっており空気が通りにくい構造になっているということですね。
その構造が原因で、鼻から肺までの空気の通り道が細くなり、いびきをかきます。笛やホイッスルで音が出る原理と同じ理由でいびきが出やすいのが短頭種のワンちゃんです。
さらに、上向きの鼻は、鼻の穴の蓋のような部分があります。この部分は、ヒクヒクと動いて鼻にはいる空気の量を調整して、犬の鋭い嗅覚をアシストしています。
ところが、短頭種やトイ種のワンちゃんでは、この蓋の部分が大きめにできている子が多いんです。
そのせいで睡眠時や運動時に息がしづらく、フガフガ苦しそうにする場合がみられます。
トイ種の犬
犬にはさまざまな大きさの犬種があります。祖先である90kgを超えるオオカミから、現在のティーカッププードルやチワワまで、実は体の構造はほぼ同じなんてびっくりしますよね。
ですが、体の小さいトイ種の犬たちは、鼻から肺までの距離が短く、鼻道が曲がっています。特に、
- 眠る姿勢によって、ヒューヒューいうような音が聞こえる(スースーではない)
- ちょっとしたことで咳こみやすい(これは病気の場合もあるので要注意)
- 水を飲む時や飲もうとするときに、ケホケホっとむせやすい
という事がおこりやすいトイ種の犬は、いびきをかく場合があります。
唇の垂れたタイプの犬はいびきをかきやすい
大型犬で多いのが、ラブラドールレトリバー・ゴールデンレトリバー・セントバーナード・ニューファンドランドなどの犬種です。これらの犬種は、鼻と喉のあいだにある軟口蓋というひだが、生まれつき大きい場合があります。
水を飲む時にフガフガ、ゲホゲホしやすい犬はいびきをかく場合があります。
補足:肥満犬はいびきに注意
犬種に関係なく、肥満傾向のあるワンちゃん。人間と同じで、軟口蓋に脂肪がつくことでたるみ、いびきの原因になることも。ダイエットすることで、改善するいびきもあるので、適正体重を大事にするように生活しましょう。
犬のいびきの対処法
さて、ここまで犬のいびきについて書いてきましたが、その危険性はいったいどこにあるのでしょうか。かわいい小さなグウグウといういびきであれば、にっこり笑ってビデオでも撮っておきましょう。
また肥満気味の犬であれば、ダイエットでいびきがとまることもありますので、危険性は低いです。
犬のいびきが大きいときは要注意
もしも愛犬が、大人の男性よりも大きい音でいびきをかくという場合は、治療が必要な場合もあります。動物病院でご相談いただければ、原因の診断や対策も可能ですよ。
治療としては主に「手術」が採用されていますが、ダイエットや生活習慣を変えることで改善する場合もあるので、気軽に受診しましょう。
軟口蓋切除手術
犬のいびきを治す手術として挙げられるのが、「軟口蓋切除手術」です。これは、鼻と喉の境目にある軟口蓋というひだを短くする手術になります。
喉の部分を切り取るため、全身麻酔で非常に注意の要求される手術となります。かかりつけ医とよく相談して、必要かどうか判断してもらいましょう。
生まれつき軟口蓋が長い場合もあれば、肥満で軟口蓋が垂れ下がっている場合もあります。適正な体重を保つことを心がけましょう。
鼻孔形成術
また「鼻孔形成術」を行い犬のいびきを治すこともあります。これは、鼻の入口の「ヒクヒク動く部分を短くする」手術です。とくに鼻ぺちゃの短頭種では、いびきの原因になることも多く手術をすすめられることもあるでしょう。
これも全身麻酔で、行われます。鼻先で出血しやすいので、注意して行う必要があります。
犬のいびきを小さくする方法
人間でも枕を体にあったのもにすると、いびきがとまる人がいますよね。犬でも同じ原理で、いびきを小さくすることができる場合があります。
ドッグベッドなどを使ったり、ぐっすり眠ったらそっと丸めたタオルを首の下にいれてやることで音が静かになることも。意外と枕のすきなワンちゃんも多いので枕をつかって高さや硬さを工夫してみましょう。犬のいびき対策として有効です。
犬のいびきのまとめ
睡眠時無呼吸症候群は犬にもある可能性が・・・
はっきりと科学的データとしては出ていませんが、病院にいらっしゃる飼い主さんの言葉から、犬にも睡眠時無呼吸症候群がある可能性は高いと思います。
「大きいイビキをずっとかいているのに、急に止まって『フゥ~』っとなるんです。」
人間の呼吸サイクルと犬とでは若干の違いがありますが、おそらく無呼吸状態があるのかもしれませんね。
体のために、飼い主の安眠のためにも大きないびきはなるべくない方がよいと考えてください。
私も、ラブとゴールデンのミックスと暮らしていた頃は、いびきが結構きこえてびっくりしました。
適正体重であれば、それほど気にならない場合も多いいびき。
きちんと体重管理することも大事だと知っておいてくださいね。
ユーザーのコメント
40代 女性 りく
女性 ブー助
30代 女性 38moto
シーズーもいびきがよく出る犬種だと思います。うちでは顎の下に枕を置いて少し頭の位置を上げるだけで改善しました。鼻というより喉の辺りを気にするといいと思います。呼吸のしやすい角度にしてあげるといびきも止められることがありますよ。
もし、いびきが段々酷くなっていたり、呼吸困難になるほど悪化している場合は早々に動物病院で原因を調べる必要があります。隠れた病気の可能性も視野に入れておきたいところです。
30代 女性 おはら
トイ種で水を飲むときに咳こみやすい子は、いびきをかきやすいのですね、うちはパピヨンですが水を飲むと必ず咳こみます。やはりいびきと関係があるのかもしれません。そして確かに、平な場所で寝ているときの方がいびきをかく率が高いです。毛布やドッグベッドのふちなどに頭をのせて寝ているときには、それほどいびきをかきません。犬にとっても人間と同じように、その子にあった枕の高さが大事なのかもしれません。犬にも睡眠時無呼吸症候群の可能性があるとは驚きでした。愛犬につらい思いをさせないためにも、体重管理は大切ですね。
40代 女性 シュガー
睡眠時無呼吸症候群は、人間だけでなく犬にもあるのか。そりゃそうか、と記事を読みながら反省しました。
水を飲んだら咳き込む、寝ているときにヒューヒュー寝息がなってる、など思い当たる節はあります。
愛犬は鼻ペチャ犬ではないので、日頃からイビキをするということは今のところありませんが、頻度が増えてきたら動物病院へ相談に行こうと思います。
ちなみに、仲良しのボストンテリアの女の子はうそイビキをします。寝たふりをするときにイビキをしながら、でも目が開いていますし、耳が動いています。器用な子がいるものですね。
女性 コロ
水を飲む時にむせたり、ご飯の時も喉か鼻辺りから音が出るようになったのでさすがにマズイと思い、獣医さんと相談しながら減量しました。体重が落ち着くといびきも改善されたので、やはり病気予防のためにも肥満はいけないですね。
女性 みかん
気になったので、先日動物病院へフィラリアの薬をもらいに行った際に見てもらったら、気管が細いのかもしれないとのことでした。加齢によるものだろうと。今のところ生活に支障がないので良いですが、ひどくなると気管を広げる処置をしないといけないそうです。
女性 ゴン吉
高齢になると気管が少し潰れて呼吸しずらくなることでいびきになる犬もいるそうです。