立派な犬歯、大きな奥歯、犬の歯といえば、このように立派なイメージがあるかと思います。
しかし、意外なことに犬の歯は折れたり割れたりしやすく、そういった症例も多くみられます。
犬の歯はどんな原因で折れてしまうのでしょう?また、歯が折れてしまうとどうなるのでしょう?
ここからは、犬の歯の破折について詳しく紹介していきましょう。
犬の歯は折れやすい?
噛む力が強くサイズも大きい犬の歯は、一見丈夫なように見えます。しかし、歯が折れていたり割れていたりする犬は、飼い犬のおよそ27パーセントとも言われています。つまり、4分の1の犬が歯を破折しているのです。その中でも特に、上顎第四前臼歯に破折が多く見られると言われています。
犬種としては、ボーダーコリーやコーギー、ラブラドールなど、活動的な犬に症例が多く、老犬よりも若い犬に起こりやすい傾向にあるようです。
歯の折れには2種類
歯の破折は、その状態によって2種に分けられます。これには、歯髄と呼ばれる神経や血管が含まれる歯の組織が関わっています。
単純性破折
歯髄を含まない部分が折れたり割れたりしてしまった状態。
複雑性破折
歯髄を含んだ部分が折れたり割れたりしてしまった状態。細菌の感染リスクが高く、特に早期治療が必要となります。
犬の歯が折れる原因
犬の歯が折れるのは、主に硬いものを噛むことが原因です。ガムやおもちゃ、家具、木など、犬は様々なものを噛む性質があります。
歯の汚れを取るためにも効果的だと、デンタル系おもちゃを与えたことのある人も多いかと思います。しかし近年では、こういった硬いものを齧ることによる歯の破折がかなり多い、ということがわかっています。
あまり硬すぎるものは危険であり、歯が折れることはもちろん、折れた歯で口内を傷つけてしまうこともあります。硬いものを噛む以外の原因としては、落下や転倒、喧嘩、事故などが挙げられます。
犬の歯が折れるとどうなる?
歯が折れると、その鋭利な断面が口の中を傷つけてしまうことがあります。また、複雑性破折の場合は特に危険。口内には菌がたくさん存在します。
歯髄に至る部分まで破折している場合、口の中に歯髄が常に露出した状態となってしまいますが、これはつまり、常に歯の中核が細菌に晒されている状態であることを指します。すると、歯髄や歯の根元に細菌が入り、炎症を起こし、重症化する可能性が高くなるのです。
歯が折れているときの症状
犬の歯が折れている場合、下記のような症状が見られます。歯が折れて痛みのある状態なので、口に物を入れるのを嫌がったり痛がったりします。
- 食べ方がいつもと違う
- 口を触られるのを嫌がる
- 歯磨きを嫌がる
- あまり物を噛まなくなる
- 腫れが出る(口や目の下など)
歯が折れたときの対処
折れた歯は再生できません。口内を傷つけたり細菌感染したりしないように、早めに抜歯する必要があります。(歯を温存する場合もありますができる病院が限られます)とにかく、早期発見早期治療が求められます。
大事な歯を守るために
歯は、食べることに直結する重要な組織です。犬は自分で加減できないので、硬すぎるものは与えない、衝撃には気をつけるなど、歯に負担を与えないように飼い主が気をつけてあげることが必要です。
また、口内の異常は意識してチェックしていないと気付きにくいものです。毎日の健康チェックのひとつとして、口の中を観察するようにしましょう。
さいごに
犬の歯の破折についてご説明しました。犬の噛みたい欲求は強く、それを止めることはストレスのなることもあります。
しかし、あまり硬いものを常に齧らせていると、歯に負担が。この折り合いをつけるのは難しいですが、飼い主さんがこれを上手く調整してあげることが大切です。
また、歯や口に異常がないか日々のチェックも欠かさず行いましょう。